白鵬、2度「猫だまし」に北の湖理事長が激怒「前代未聞。考えられない」

2015年11月18日6時0分  スポーツ報知
  • 支度部屋で取組について聞かれた白鵬は、意味深な笑顔を浮かべながら猫だましのポーズを見せた
  • 立ち合いで栃煌山(右)に奇策の猫だましを繰り出す白鵬
  • 2度目の猫だましを繰り出し、寄り切りで下した白鵬(右)

 ◆大相撲九州場所10日目 ○白鵬(寄り切り)栃煌山●(17日・福岡国際センター)

 全勝で単独トップを走る西横綱・白鵬が前代未聞の行動に出た。東関脇・栃煌山との一番で「猫だまし」の奇襲に出て寄り切った。白鵬は「とっさではない」と狙っていたと説明。史上最多35回の優勝を誇る大横綱のまさかの奇策に、北の湖理事長は「前代未聞。考えられない」と痛烈に批判した。

 誰がこんな奇策を予想しただろう。白鵬は立ち合いで手をたたく、まさかの「猫だまし」。勢いよく当たってきた栃煌山をあざ笑うかのように左に動き指1本触らせない。そして振り返って向かってくる栃煌山に、2度目の「猫だまし」。そこから右四つで組み止め寄り切った。

 勝負がつくと、うっすらと苦笑いを浮かべた白鵬。無傷10連勝も決め「今日はなにもしゃべらないよ。冗談、冗談」と上機嫌で支度部屋に戻ると暗に“計画的犯行”を認めながら、おもむろに手をたたき、再現をしながら得意げに話し始めた。

 「うまくいったかどうかは分からないけど、勝ちにつながったのでうまくいったことにしましょうかね。とっさではない」

 だが、北の湖理事長は全力士の挑戦を正々堂々と受けて立つべき横綱らしからぬ相撲内容を痛烈に批判した。「考えられない。前代未聞じゃないの。歴代(の横綱)でもそんな人はいない」。土俵下の藤島審判長(元大関・武双山)も「まさか、という感じですね」と驚きを隠せなかった。

 前兆はあった。この日の朝稽古では仕切り線から大きく下がった所で仕切り、胸を出した幕下力士を困惑させた。その後の報道陣とのやりとりの中でも、「立ち合いの時はどこまで横にズレて仕切っていいのかな」と冗談交じりに話すなど、奇策に興味を示していた。

 横綱昇進後初めてとなる休場明けの今場所。力士人生15年目で初の「猫だまし」ややぐら投げを繰り出すなど「楽しんでますよ」と気負いもなく順調に白星を積み重ねている。理事長の厳しい見解を報道陣から問われると「また変な質問だね」と不敵な笑みを浮かべながら制した横綱。「白鵬劇場」はいつまでも続きそうだ。(安藤 宏太)

 ◆猫だまし 主に小兵が大型力士に繰り出す奇襲戦法。相手の顔の前で両手をパチンと打ち、動揺させて有利な形へ持ち込むのが目的。神経過敏な猫を驚かせる例えから名称がついた。歴代横綱に対しては1962年九州場所で平幕の出羽錦が大鵬に、78年初場所で大関三重ノ海が北の湖に行った例があるが、ともに敗れた。平成以降では舞の海が数回用いた。

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