変じゃないですか? ぼくたちが子供のころ夢中になっていた仮面ライダー、その最新作では男2人が合体してライダーに変身するんですよ! しかも基本フォームは、右半身がメタリックな緑で、左半身がマットな黒という、左右非対称デザイン。
それが平成ライダー11作目となる最新作『仮面ライダーW』。しかしなぜ、2人で合体変身なんですか? 番組プロデューサーの東映・塚田英明氏にうかがいました。
「ドラマ的に〈探偵〉を主人公とした事件ものがやりたかったんです。となると弊社『相棒』のようなコンビが主役の『バディもの』が定番。それをライダーでやってみたとき、1号&2号や、龍騎&ナイトじゃない形でと考えた結果が2人で変身なんです」
物語では、風都という街を舞台に、行動派の左翔太郎と、頭脳派のフィリップという相いれない2人の探偵が、怪事件を解決すべく共闘する姿を描いているとか。
とはいえ、どうしてこんなデザインに?平成ライダーのキャラクターデザインを手がける石森プロの早瀬マサト氏を直撃。
「アシンメトリーな意匠は決して珍しくなくて、すでに原作者の石ノ森章太郎が『キカイダー』でやっていること。突拍子もないデザインに見えて、実はかつてのV3やアマゾンも、1号、2号とは相当かけ離れた衝撃的な姿でしたし、石ノ森が遺したアイデアにもかなり奇抜なものがあるんですよ」
平成ライダーのデザインや要素を考える際、石ノ森章太郎の旧作や、未使用のスケッチにヒントを求めることもあるとか。
「『W』でいうと、マスク外側の段々と、中央のつるっとしたラインは、ちょうどV3のマスクデザインを逆に入れ替えた格好です。それに触覚、赤い複眼に、平成初のマフラーも付いている。平成ライダーの中では、けっこう昭和ライダーっぽいデザインなんですよ」
放送前に賛否両論を巻き起こしたライダーはヒットする、という法則もあるだけに注目。久々にチェックしてみては?
熊山 准