総合診療医 ドクターG「右の手足が…」 2015.11.12


(花)いっぱい取れたね。
(耕造)ねえ。
うまそうだろう?ハハハハ。
(花)おいしそう。
うっ…うわっあぁ〜!患者を襲った突然の異変。
お父さん大丈夫?どうしたんだい?大丈夫か?思わぬ症状が右手右足に表れていた。
あれ?手足がおかしいぞ。
おじいちゃん時と一緒だ。
それは8年前脳梗塞で亡くなった患者の父親とよく似た症状だった。
患者が向かったのはかかりつけ医がいる近所の病院。
(陽子)すいません。
そこで…
(角)できるだけ安静にしていて下さい。
医師の指導のもと薬による治療を続けた。
しかし…再びかかりつけ医を訪ねると予期せぬ言葉が告げられた。
念のため別の病院で診てもらって下さい。
紹介状を書きました。
紹介されたのは地域の中核病院。
・吉村さん診察室へどうぞ。
先生。
私よくなるんでしょうか?患者を救え!やばいぞこれ。
ある病名を言われてるんですがそうじゃない可能性があるって事ですよね。
お父さん自分でしょ。
でも最初から「脳梗塞」っていう名前が出てるって事はそうじゃないって事?これで脳梗塞だったらびっくりしますよ。
どうやって展開するんだろうと…。
でもじゃあ何なんですか?いや〜分かんないね。
見た感じもう…それではドクターGの登場です!はい!今回のドクターGは総合病院国保旭中央病院塩尻俊明先生です。
(拍手)よろしくお願いします。
先生のところに紹介で来た患者さんの実例ですけども。
こういうケースは多いんですか?多いですね。
実際私が最初に診た時もこのかかりつけの先生と同じように判断を下したんじゃないかなと思います。
最初のお医者さんがね自分の診察間違ってんじゃないかって認める時ってやっぱりつらくないんですか?僕らのミッションっていうのは…
(助川)みんな大きな気持ちで。
言いたい事言えるような関係まで信頼があるといいのかしら。
「他の病院行きたいんですけど」言えるようなフランクな関係だと確かにいいと思っています。
塩尻先生がいるこの病院は千葉県東部の中核病院。
一日3,000人が受診する。
「病名が分からない」「十分な医療設備がない」など地域のかかりつけ医では対応しきれない症状が出るとここに紹介されてくる。
お久しぶり。
ありがとうございます。
聞こえますか?はい聞こえます。
気を付けてね転ばないように。
そこが一番心配だからね。
骨やっちゃうとね入院になっちゃうからね。
地域の病院との二人三脚で患者の命を守る。
その中心にいるのが塩尻俊明先生だ。
病気の正体を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(玉ちゃん)今の見てどうですか?脳梗塞っていうのは考えるかなと思うんですけれどもそれが日々悪化してるというのが脳梗塞と合わないかなと思って。
これが悩みの種ですね。
森野先生こういうふうに紹介されてくる患者さん見た事あります?
(森野)救急外来で地域の病院から紹介されて来たというケースは見た事あります。
(玉ちゃん)それ紹介ですよね?たらい回しじゃないですよね?だと思うんですけど。
たらい回しはやめて下さい。
(玉ちゃん)はい。
小牧先生自分じゃ分からない症状にぶつかった時どうしましょう?上級医の先生と相談しながら診察をして検査をして患者さんの容体が分かればいいなというふうに思ってます。
さあそれでは再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
正しい病名にたどりつき患者を救う事ができるのか?ドクタージェネラル!吉村さんですね。
(2人)はい。
右の手足にまひがあると聞きました。
はい…。
薬のんでリハビリやってるんですけどまだ思うように動かないんです。
収穫の忙しい時に大変でしたね。
あ…はい。
右側がうまく動いてない事に驚いてそれで慌てて角先生のところに行ったんです。
はい。
先ほど角先生から詳しく聞いています。
紹介状受け取りました。
・よろしくお願いします。
主訴は「右半身の筋力低下」とありますが…・はい初診は7月24日。
畑作業中に転倒した際右の手足にまひが見られたという事でした。
あっ先生。
(角)ど…どうしました?
(耕造)手足が変なんですよ。
つまずいて転んだだけなんですけどね。
けがはありませんでしたか?それは大丈夫ですけど。
(角)これ強く握ってみて下さい。
握れませんか?・つま先が上向きに曲げる事ができず…。
・顔面にはまひもなくろれつも回っていました。
親父も脳梗塞で死んだのを周りもみんな知ってて…。
・お渡ししたCT画像は2日後に来院された時に撮影したものです。
はい。
・はっきりとは写っていませんが…今みていますが…可能性はあるかもしれませんね。
・はい。
高血圧高コレステロールや喫煙習慣などのリスクがあります。
ぜんそくなどの持病や既往歴はありません。
半年前にインフルエンザ2か月前に破傷風の予防接種をしました。
2か月前の定期健診時と比べ3日前の…・血圧も上がりましたが明らかにADLも低下し歩行さえつらくなってるそうです。
体温を測ってみると…・発熱が脳梗塞では説明できないのでおかしいなと思いまして。
(体温計の電子音)はい。
下がっていますね。
(陽子)おとといの朝下がりました。
そうですか。
ええ。
もうだるくて。
(陽子)リハビリを始めてから日を追うごとにだるくなってきたようで…。
え〜っと…。
(耕造)
立ち方や歩き方の姿勢を直したり…手の運動なんかもやりました
(陽子)
家でも娘と一緒に随分やってました。
それから1週間もすると…
(花)お父さんリハビリやろう。
ん…ああ…。
ちょっとねお父さん今日だるいんだよ。
え…。
お母さん今日お父さん具合悪そう。
あなた大丈夫?
(耕造)ん…う〜…。
それ以来畑にも出られなくなりました。
吉村さん車椅子から立つ事はできますか?はい。
よいしょ…。
あぁ…。
ありがとうございます。
座って頂いて結構ですよ。
はい。
よいしょ…あ痛たたた。
太ももが随分痛そうですね。
はい。
あの〜リハビリの筋肉痛だと思うんですけど。
はい。
右も左も両方です。
研修医はかなり悩んでますけど。
(玉ちゃん)さあいきましょう。
こちらでございます。
吉村耕造さんの来院時の基礎データです。
(玉ちゃん)先生どうですか?この数値は。
私の病院に来た時には熱は下がっていましたけど血圧はやはりかなり高い。
(玉ちゃん)高いですよねこれは。
ではちょっとCT見て頂いて。
何でした?微細な梗塞があると。
こっち左側ですね。
我々じゃ分かんないですよね。
いいかな?近くで是非。
(宮崎)これで分かっちゃうんだ。
これが結局2日後に撮られたやつですね。
そうですね。
さあそれでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
はいどうぞどうぞ。
う〜んこれどうなんだろう。
(宮崎)迷ってる。
(玉ちゃん)血圧が高いって事は生活習慣とかも気になりますよね。
最初はやっぱ脳梗塞って診断したんですよね。
「ある病気」って言ってましたけど。
周りはびっくりしたでしょうね。
(玉ちゃん)ねえ。
あんな若い娘さんがいるんだから倒れてられないよ。
ろれつが回ってるというのね。
我々よくろれつ回んなくなりますからね。
(玉ちゃん)それ酒飲むとですけどね。
明け方とか。
危ないなこの症状は。
(玉ちゃん)過度の飲酒ですけど。
さあ…ちょっと森野先生今ちょっと悩んでる感じですよ。
まあいいんです。
クイズ番組じゃないんですから。
さあ研修医の皆さんが病名を書き終わったようです。
(玉ちゃん)一体どんな病名が出てくるんでしょうか。
それでは一斉にお出し下さい。
フリップオープン。
(玉ちゃん)まず矢野先生からどうぞ。
(玉ちゃん)森野先生。
(玉ちゃん)小牧先生。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負。
カンファレンススタート!じゃ早速始めたいと思います。
今日はリラックスするためにファーストネームでいきたいと思います。
じゃあまず最初に光一先生からこの病気説明して頂いていいですか。
頭というか脳の中に固まりができていろんなところに症状が出ると。
脳や脊髄にある中枢神経に炎症が起きる病気です。
手足のしびれや筋肉の痛みなどさまざまな症状が出ます。
症状は…どうしてこの病気を挙げたか説明して頂いてよろしいですか。
(矢野)日がたつにつれ悪化しているという事がこの病気に当てはまるところかなというふうに思いました。
ただ血圧が上がるとか発熱するとかはちょっと合わないかなというふうに思ってます。
この病気は脳の中の病気なので熱が出るというのは確かに合わないかもしれないですね。
続いて杏子先生お願いします。
多発性筋炎というのは全身のいろいろな筋肉に炎症が起こる自己免疫性の疾患です。
(玉ちゃん)自己免疫?太ももや首腕などの正常な細胞に炎症を引き起こします。
筋力の低下や痛みが表れ発熱する事もあります。
この患者さんVTRの最後で太ももが両方痛いというふうな訴えがあって当てはまるかなと思いました。
あとは発熱も説明はつくかなと思うんですが右の腕と右の足のまひというのは当てはまらないかなと思います。
どちらかというとこの病気はどういうふうなパターン?両方の…上腕だとか。
そうですね。
右左の肩の辺りとか太もも辺り両方あるっていうのが多いですよね。
じゃあ続いて遼平先生お願いします。
(小牧)読んで字のごとくですけど「血管」に「炎」という炎症があるような病気の総称です。
炎症によって血流が滞ると手足のまひや筋肉の痛み発熱を起こします。
合わない点はどうですか?突発に発症してるっていうのが血管炎とは合いにくい。
合わないはずです。
血管炎徐々にくる?はい。
うんいいですね。
なるほど。
3人が挙げたのはいずれも…しかし患者が転倒した時右手にも右足にもまひが表れていた。
もうちょっと少し半身の力が入らないっていう病気鑑別を第2案第3案を挙げてみたいと思うんですけど何か他に鑑別診断挙げてみましょうか。
脳梗塞というのは一応挙げてもいいかと思います。
脳梗塞は脳の血管が血液の固まりなどによって詰まる病気で半身のまひが突発的に表れます。
脳から出ている神経は首の辺りで左右が交差しているため左の脳に梗塞が起きると右半身がまひします。
吉村さんのCT画像についてこう言っていた。
この方右手足でしたよね。
でこちら左の…黒いかなぁっていう。
(玉ちゃん)そうなんですか?分かんないよ。
小さな…。
こんなの写り具合じゃないですか。
左の脳に僅かに黒い部分があるようにも見える。
実際に脳梗塞があった患者の画像と比べてみると…。
確かに疑わしい。
合わない点はどうですか?脳梗塞自体で熱が出るのかと言われると疑問が残ります。
熱が出て脳梗塞も起こしえるような病気って何か今思い浮かばないですかね?感染性心内膜炎が。
言われた。
熱を持った半身まひの人を感染性心内膜炎疑うねというのはよく口にするので…。
心臓に細菌が入り込む事で起きる病気です。
弁に付着した細菌が血流に乗って流れ出し脳梗塞を起こす事があります。
筋肉痛やだるさ発熱が表れます。
おじいちゃん時と一緒だ。
感染性心内膜炎で脳梗塞が起きたとすれば右半身のまひは突然起こったと考えられる。
しかし研修医たちが鑑別に挙げた病気ならばまひは徐々に表れていたはずだ。
2週間前の転倒よりも前の事を詳しく問診で聞き出さなければならない。
どうしても僕らは「いつからですか?」とかね「どうやったら悪くなりますか?」って医療情報を集めたいからどんどん聞きたいわけだけど2週間前に起こってる事ですよね。
我々も…例えば「以前も同じような症状があったか」とか。
遡って聞いてみようっていう事。
でも僅かな…難しいですね。
難しいよね。
ゲストの皆さんも2週間前の事聞かれた時にどういうふうにすると思い出せるのでしょうかね?なるほど。
すばらしいですね。
農家の方ですと確かに作業の段取りっていうのが季節によって決まってますから。
(助川)意外と長雨を覚えてたりね。
(宮崎)お箸を取り落としちゃったとか…。
うんそれもいいですよね。
家族が観察していてどうも…本人は昨日からって言ってるけど1週間前からそうだったななんて事が分かる事もありますよね。
いい着目点かなと思います。
あとビデオで出てましたけど痛み…言ってましたよね。
あれ気になりますよね。
じっとしてても痛いのかあるいは動かした時痛いのか触った時に痛いのかというような事は聞きたいです。
あ〜なるほど。
次は診察をしたいと思うんですけど…
(玉ちゃん)何だ?こういうふうに両手を前に出してもらって指をピンと伸ばしてくっつけてもらいます。
これ何ていうんですか?
(宮崎)「お手を拝借」じゃないの?
(笑い声)杏子先生どういうふうにやるんですか?この状態で目をつぶってもらいます。
(玉ちゃん)どうなるとまずいんですか?
(森野)頑張って保とうとしててもこういうふうに落ちてしまう。
バレー徴候は脳が正常に働いているかを調べる身体診察です。
手を伸ばしている時には脳から「手を伸ばせ」という指令が出続けています。
脳に障害が起きるとその指令が届かなくなり腕が内側に曲がりながら下がっていきます。
もし脳の機能が落ちてしまうと大体…寝てる時と同じで丸まろうというふうに体が…。
同じような事が片方だけで起これば右側だけにどんどん曲がっていく姿勢になっていくというのがバレー徴候。
他に診察一般身体所見で何か取っときたいとこってありますか?感染性心内膜炎を疑うんでしたら聴診で心雑音がないか。
正常な心臓の音は…。
(正常な心臓音)これは心臓の弁が閉まる時に出る音です。
感染性心内膜炎になると弁が細菌に侵されて閉まりにくくなりこのような音になります。
(雑音混じりの心臓音)ザーザーと聞こえると。
ですから聴診器を当てたいって事ですね。
光一先生この病気挙げてくれたんでしたっけ?はい。
なるほど。
今後第2VTRでねどういうふうに情報が入ってくるのか確かめていきたいと思いますので。
さあいよいよドクターGならではの問診が始まります。
(玉ちゃん)どんな問診が繰り出されるんでしょうか。
再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!太ももの痛みについて伺います。
今…痛いです。
座っていても痛いです。
手足のまひが出た時の事を教えてほしいんですが。
畑で転んだ時だったよな。
お昼すぎですよね。
はい。
お昼ご飯は畑でとられたんですか?その時何か…
(耕造)
昼ご飯はいつも一度家に戻ってとりますけど…
疲れた疲れた。
今さそうめんゆでてるからさちょっと待っててね。
あっ俺昼飯いいや。
ちょっと疲れたから寝るわ。
あの日は疲れて昼寝していたんだ。
変な姿勢で寝ていたんだと思います。
それで起きた時に…
あ〜痛っ…。
痛みというよりは…
しびれて…
そんな感じ…かなぁ
よいしょ。
あっ!?あぁ〜。
それで立ち上がろうとしたら足までなんか変な感じで…
そうです。
だからそのうち治るんだろうなと思ってたんですよ
くっそ〜…ったくしびれちまいやがったよ。
そうです
うわっあぁ〜!あ…あぁ…。
耕造さんどうしたんだよ?大丈夫かよ?転倒した日より前に何か…手作業ですか?う〜ん…何だろう。
あなたほら誘引はどうなの?
(耕造)
枝が伸びる方向を調整するために枝と針金をひもで結ぶんですが…
夏の誘引は7月の上旬の頃ですよ
という事は…
はい
ひもを結びずらそうにしてなかった?ああ…。
(耕造)
結ぶ時指先でひもをつまめなくなったんです。
でもみんななってますから関係ないと思うんですけど
おいどうしたい?耕造さんもついになったか。
えっ?その3本の指だよ。
つまめなくなったんだろう?そういう時はなこうやって手を振りゃいいんだよ。
え〜?こうやってですか?良くなっただろ?え?
大して良くはならなかったけどそんなもんなのかなぁと思いました
右手を見せて下さい。
はい。
薬指の…あっ左右違いますね。
その手では顔をうまく洗えないのでは?そうなんです。
水をすくった時に…こぼれちゃうんです。
(耕造)
あれはまだ誘引作業をやってたからえ〜…3週間くらい前だなぁ
耕造さん指の調子どうだい?いやそれがほら指が閉じられなくなっちゃったんだよねほら。
ところで奥さん耕造さんの食欲この1週間はどうですか?そうですね…。
ごちそうさま。
はい。
あなた全然食べてないじゃない。
(陽子)
このところ急に食べなくなりました
せめて梨ぐらい食べないとね〜。
ね〜。
いただきます。
ん!今年の甘くておいしいね。
ほんと?ほんとだ。
ほらお父さんも食べないと。
ほんとだ…今年の梨は甘いな。
うん。
ね!それでは身体診察をします。
手のひらを上にして両腕を前に伸ばして下さい。
目をつぶって。
結構です。
胸の音を聞かせて下さい。
(心臓音)なるほど。
先生何か分かりましたか?先生。
吉村さんの病気見当がつきましたよ。
えっ?
(宮崎)うわ〜。
分かっちゃったんですか?この第2VTRでもう診断できてると。
(玉ちゃん)見当ついたって言ってましたね。
いろいろやりましたね。
問診からちょっとした検査とかね。
心臓もクリアだったね。
何なんだろうな〜。
さあそれでは研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
やってましたね。
でも大丈夫でした。
心臓も大丈夫だったわけですから。
音もね。
(宮崎)手がちょっと…「振れば治るよ」って。
あれ治ってなかった。
(玉ちゃん)いいかげんですね。
よく言いますよね。
でも顔を洗う時にこうやって水がこぼれちゃうって日常生活の中でそういうのが分かるんですね。
(助川)本当はあの段階で行かなきゃいけなかったんだね。
(玉ちゃん)そっかそっか夏のあの時期で野良仕事やってそうめん食わないわけないもん。
食いたくてしょうがないもん。
(宮崎)でもあの農作業と絡めてこれがやりにくくなったからってあれやっぱり見事っていうかなるほど分かりやすいですね。
さあ研修医の皆さんは病名を書き終わったようです。
どうですか自信の程ありますかね?これを診断できた先生はすごいなと思いました。
(玉ちゃん)早くも敗北宣言なんでしょうか。
さあそれではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン。
(玉ちゃん)さあ矢野先生からいきましょう。
(玉ちゃん)森野先生。
(玉ちゃん)小牧先生。
それでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート!はいじゃあ最終カンファレンス始めていきたいと思います。
どうでしょう…じゃ光一先生先ほどの病名と同じですね。
時間がたつにつれいろんな症状がいろんなところに出ているのがこの病気に合うところで。
あと食欲がないのもこの病気は精神症状が出る事があるのでそれで説明できるかなと思って同じ病気を挙げました。
経過を追っていろんな症状があったっていう事でこの病気を挙げて下さったという事ですね。
なるほど。
じゃあ杏子先生さっきと病名を変えてますのでまずこの病気の説明をして頂いてもよろしいですか。
「ギランバレー症候群」っていうのは何らかの感染症があってそれをきっかけに手足ですね四肢にまひが起こるような病気です。
細菌やウイルスによる感染やワクチンの接種などによって起きます。
運動や感覚をつかさどる末梢神経に障害が出るため手足に力が入らなくなります。
この方は何かそういうきっかけは…。
角先生からの紹介状とかはどうですか?紹介状…。
(宮崎)あれっ?うん。
打ってましたね。
6か月前にインフルエンザと破傷風の予防接種を受けていましたね。
そのワクチンが自己免疫を誘発するという事もありえますよね。
合わない点は?熱とか食欲低下というのはこれで起こるかなと…。
末梢神経の病気なんで全身の熱は出にくいかなと。
じゃあ遼平先生先ほどは血管炎という事でしたけども更に詳しい病名が付いてます。
この病名をまず説明して頂いていいですか。
結節性多発動脈炎という病気は血管炎の中の割と中等度から小型の血管を障害する病気です。
手のしびれとかもくる事が一応ありますので挙げました。
血管は大動脈などの「大血管」「中小の血管」「毛細血管」に大別されます。
この病気はそのうちの中小の血管だけに炎症が起きます。
節が連なるような形で炎症が起き血流が滞ると筋肉痛や発熱が表れます。
神経細胞に栄養が行き届かなくなると手足のまひが起きます。
合わない点は?えっと…合わない点…。
指がああなっちゃう事もありえますか?
(小牧)はい。
これが多分神経まひだと思ったんですけど。
やっぱりこの薬指気になりますよね。
(宮崎玉ちゃん)気になりますね。
薬指の左側と右側同じように感じますか?気になった。
何で薬指なんだろう?これは神経ですけどこっちから半分…。
(玉ちゃん)描いちゃいましたね。
半分と。
ぐわっと描きますね。
描いちゃいますねぇ。
(小牧)すごいうまい。
(助川)水性ですか?
(笑い声)分かりやすいかも。
すげぇ分かりやすい。
赤いほうこれもこうきてこれこっち側回ってきますね。
(助川)あっ違うんだ。
そうなんですよね。
おっとっと。
どうでしょうねこれ。
この薬指を境にですね我々の末梢の神経って分かれるんですね。
(宮崎)いや〜不思議。
なんかこれゴーンなんて…。
ビリリッとするやつ。
そうですねあれは尺骨神経っていうのは肘の一番浅い所を通ってますからゴツンなんてぶつけるとジーンってしびれた事って誰しもありますよね。
(宮崎)ありますね。
手や指を動かす神経のうち親指側の正中神経と小指側の尺骨神経は薬指の真ん中で分かれています。
右手が不自由になった吉村さん。
2つの神経の…時系列時間とともにいろんな症状出てますから右半身の力の入りにくさを少し整理していきたいと思います。
何から始まったですか?
(森野)1か月前の右手の症状が一番最初かなと思ったんですが。
これ何で気付いたんでしたっけ?「誘引」というんだそうですね。
あれで気付いた。
あれは何神経かな?青いほうで…よく手首を使う方ここのこの3本のほうにくる場合があります。
さっき「手を振れば治るよ」ってあながちうそじゃないんですか?手を振る事で多少楽になる事は確かにあるんですね。
よく手首を使うお仕事ですからね実際あるんでしょう。
あれはこっちの3本だったんですね。
次は?顔…。
水が漏れちゃって洗えないっていうの。
それがどのぐらい前でした?
(矢野)3週間前。
(玉ちゃん)手ってすげえな。
力の入り方開く閉じる。
感覚の分布は薬指を境目にしてそれぞれを…役割を果たしてるという事ですね。
(宮崎)それで薬指の左右を。
吉村さんはまず親指側の正中神経がまひ。
その後しばらくして尺骨神経のまひが起こり始めた。
先にまひが始まった…足は?
(森野)右足…。
足下がってましたっけ?どうですか?ちょっとVTR見てみます?歩くところで。
(森野)これですね足。
(宮崎)つま先が上がらない。
(助川)これこれこれ…。
これってつま先を上げる力が弱いんじゃないかという事ですから順番的にはまず正中がきて尺骨がきて最後に腓骨神経っていう…この辺り。
こういう順番できてた。
123と3つの神経がバラバラに起こってきた。
いろんなところで起こってる事という事ですか。
そのとおりです。
吉村さんは…順にまひしていった事が問診で明らかになった。
全部そろってしまえば右半身とやっぱり思ってしまいました。
でもさっき作業の話を聞いたり生活の話を聞く中で順番があったというのが問診で分かってきたんですね。
問診って大事ですね。
(玉ちゃん)大事大事。
もう一つ残ってる「痛み」に着目したいと思うんですけどこれどんな…VTRで痛みについて患者さんはお話ししてましたか?…って事はどんな病態を考えますか?そういう事なの?それでじっとしてても痛い…。
神経がきてて太ももの筋肉にも炎症がありそうだと。
(小牧)共通したもの?末梢神経にも必要で筋肉にも必要なものって。
という事は?血管炎がありそうだっていう事が見えてきましたよね。
筋肉に栄養を運ぶ血管に炎症が起きると周囲の筋肉の組織にも炎症が広がり痛みや熱を発します。
血管炎であれば筋肉の炎症と手足の神経のまひ2つの症状の説明ができる。
この病名を挙げてくれましたけど血管炎起こさない病気は除外していきましょうか。
多発筋炎。
起こさないです。
うんそうですね。
(玉ちゃん)消えた。
感染性心内膜炎も熱があって脳梗塞になるって非常によかったんですけども血管炎起こすかっていうと…。
(矢野森野)起こさない。
(玉ちゃん)消えた。
多発性硬化症は?
(小牧矢野森野)起こさない。
これも脳と脊髄の病気でしたね。
ギラン・バレー。
症状は起こらないです。
これもじゃあ消しましょう。
…という事ですね。
血管炎以外の病気は全て除外された。
患者は中小の血管に炎症が起きる…血管にはいろんな太さのものがあって心臓から出る太いのから中型小型それからもっと毛細血管のようなレベルまである。
だから神経や筋肉に影響を及ぼすっていうのはどういう血管がやられた病気なんでしょうかね?末梢の小さい血管がやられたら。
先のほうの非常に毛細血管とか。
あとどういう病気が?
(玉ちゃん)何だそりゃ!顕微鏡的?
(森野)その名前のとおり…それから太いのと毛細血管の間ぐらいの血管に炎症が起こった場合にはこの結節性多発動脈炎がこの辺で起きますね。
結節性多発動脈炎は中小の血管に炎症が起きる病気。
一方顕微鏡的多発血管炎はそれより小さい毛細血管にも炎症が起きます。
出してくれた2つの病気これをなんとか鑑別していきたい。
なぜかというと…これを区別する何か…。
う〜ん…。
今僕らが手にしている情報で今日はもうちょっと頑張って迫りませんか。
(小牧)迫ります。
もうちょっと頑張ろう。
えっとこの方…2か月間の間に。
ここで血圧か。
かかりつけ医から受け取った紹介状によると2か月前に比べ3日前の血圧は明らかに高くなっていた。
どういう状態があればこんな事が説明できますか?腎臓に血液を送り込む腎動脈には血流が減るとそれを感知して血圧を上げるホルモンを分泌する仕組みがあります。
腎動脈は中小の血管に分類されます。
毛細血管の血流が減っても血圧を上げる仕組みは働きません。
そうですね。
腎臓に向かっていく動脈にもし血管炎を起こして血流が悪くなると血圧が下がったとセンサーが感知してこれは上げなきゃいけないだろうという事で体は血圧を上げる方向に向かうホルモンを出すわけですね。
毛細血管のレベルだと血圧を上げる事は難しいですよね。
とするとそこに炎症を起こし狭くなれば血圧を上げるホルモンが出るんじゃないかと。
随分迫ってこれてきたと思いますので…。
それでは皆さん最終診断いいですか?せ〜の!正解です。
(拍手)
(拍手)精密検査で病気が確定し治療を始めた吉村耕造さん。
ステロイド剤で炎症を抑えながら今も梨を作り続けている。
今回の症例を通して問診何が大事かっていうと聞き方ですよね。
生活の中でどういう事がつらいのかできないのかという事を聞く事で…最初僕も脳梗塞なんじゃないかと思っていました。
ところが診察をしていくうちにこれは順番があると分かってぼくらも気付いていく。
患者さんが何を苦しんでいるのかつらいのかを理解できればこれが今「寄り添う」っていう一つの意味になるんじゃないかなと思っています。
患者さんへの優しい医療をね展開できていければいいなと思っています。
頑張りましょう。
はい。
(玉ちゃん)ありがとうございます。
さあ小牧先生どうでした?
(小牧)やはり問診が一番難しくそして大事なとこであるので今日このお話聞かせて頂いた事を生かしてあしたからの患者さんの役に立たせていければいいなと思います。
(玉ちゃん)ありがとうございます。
さあ森野先生どうでした?生活に寄り添って話を聞くというのは今後やっていきたいなと思います。
(玉ちゃん)はい。
矢野先生。
やっぱりもっとたくさん勉強する事があるなと思ってあしたから頑張ろうと思いました。
いいきっかけになりました?この番組は。
なってます。
(玉ちゃん)ありがとうございます。
俺はねここ20年ず〜っと人生相談の仕事してるんですが似てるなぁと思うんです。
例えばね最初に言ってきた悩みと終わりとが違う事があるんです。
多々あるんです。
今日は似てるなぁと思って。
問診お互いに問うって事が大事だなと思いました。
問診のテクニックってほんとにいろんな人生経験というかいろんな事が必要ですよね。
お医者さんて大変だなと思うけどどうぞ頑張って下さい。
(玉ちゃん)頑張って下さいよ皆さん。
塩尻先生今日はありがとうございました。
研修医の皆さんもお疲れさまでした。
さて次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるんでしょうか。
さようなら!お疲れさまでした。
お疲れさまです。
2015/11/12(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「右の手足が…」[字][デ]

病名推理エンターテインメント「総合診療医ドクターG」。右の手足に麻痺が起き、近くの医者に診てもらったが治らないと訴える患者。詳しく問診すると全く違う病名が…!!

詳細情報
番組内容
梨農園を営む50代の男性が、右の手足が思うように動かなくなり倒れた。男性の父親は数年前に脳梗塞で亡くなっている。同じ病気なのか?しかしドクターGは、見事な問診と身体診察で、患者本人も気づかないようなささいな症状を見つけ出し、見事に病名を探り当てた。まれにみる超難問に、研修医たちは悪戦苦闘。目からうろこの診断法や人体の神秘にまで話が及び、ゲストも大興奮!
出演者
【出演】総合病院国保旭中央病院医師…塩尻俊明,【ゲスト】宮崎美子,ドリアン助川,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

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