【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)が17日、EU条約に基づく集団的自衛権の行使を初めて決めたのは、過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討に向けて欧州の連帯をアピールするためだ。
EU条約は「加盟国に対する武力攻撃」があった場合に、他の加盟国が集団的自衛権を行使して「可能な限りの援助と支援を実施しなければならない」と定めている。パリ同時テロを巡り、オランド仏大統領は「戦争行為」だと訴えていた。
具体的な協力のあり方については未定だ。EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表は「フランスへの支援は2国間協議によってなされる」と説明した。今後、仏政府がEU加盟国と個別に交渉して詰めていく。
ルドリアン仏国防相は具体的な集団的自衛権の行使の手法について「シリアにおけるフランスの介入への協力かもしれないし、フランスが実施するほかの作戦への支援かもしれない」と述べるにとどめた。
IS掃討への欧州の連携強化では北大西洋条約機構(NATO)による集団的自衛権の行使も焦点となっている。01年の米同時テロの際は米国が主導する形で、初めてNATOの集団的自衛権が行使された。仏など欧州のNATO加盟国もアフガニスタン攻撃に参加した。今回、フランスは現時点でNATOの集団的自衛権の行使は求めていない。
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