日本のチカラ 2015.11.15


沖縄といえば青い空に海。
そして赤瓦屋根の風景。
その赤瓦が今形を変えて生活シーンを飾っています。
(スタッフ)今水滴いっぱいついてるじゃないですか。
これがね自然に乾いてくんですって。
(女性)へえー。
赤瓦コースターは海外へ。
(拓史さん)現代のスタイルに合った商品を瓦でどうやって提案するかっていうのが重要なんだと思います。
『日本のチカラ』今週は赤瓦コースター。
赤瓦の魅力と可能性を感じてみてください。
厚みは7ミリ。
赤瓦から始まった種類も今ではカラフルな品揃え。
アロマオイルの香りを広げるスティックなどもあります。
この赤瓦コースターの特徴は水を吸い蒸発させるという事。
沖縄本島南部の与那原町に赤瓦コースターを作っている工場があります。
新垣瓦工場です。
瓦コースターの発案者で営業企画担当の新垣拓史さん。
こちらは代表でコースター作りを担当する新垣文男さん。
2人は親子です。
赤瓦コースターは赤瓦の原料となる土を使っているものと白土に色素を混ぜて作っているものがあります。
だからカラフルな種類が出来るんです。
そうですね土のやわらかさとかでも…。
64年前に創業したこの工場ではもともと屋根瓦を作っていましたが今は屋根瓦から撤退してコースター作りへ。
アロマ関連商品も展開しています。
約1000度ですね。
レースのコースターは下に置くと黒ずんでうまく焼けないんです。
まだ勉強中ですね。
一気に10枚20枚重ねて焼けるんだったらいいんですけど。
文男さんの奥さんやお婿さんそして拓史さんの奥さんの他8人がコースター作りに携わっています。
ひでとらくんは新垣瓦工場の看板犬。
赤瓦コースターの到着を楽しみに待っている人たちがいます。
文男さんが向かったのは与那原町内にある知的障がい者福祉施設。
(文男さん)はいそっちからいってよ。
(女性)きたよ。
かれこれ10年以上赤瓦コースターの仕上げをこちらの皆さんにお願いしています。
(文男さん)うんみんな丁寧に本当よくやってくれてますよ。
ねえリョウタ。
(吉田さん)これで給料もらうからね。
ちゃんとプロの意識を持ってやらないといけないからという事で…。
僕らも妥協をしないでちゃんとチェックしてやり直しもさせたりしてるんで。
(吉田さん)そうそうそう。
外国までね飛行機乗って行くんだよっちゅう話をよくやっているんですが。
あの…自分たちが作ったのがね向こうのお店に並ぶという事がまた素晴らしいねっつって。
すごいよね。
ユウタねえ飛行機乗って行くんだよ。
この瓦が外国までねえ。
厳かな仏教文化と都会の賑わいが調和した都市バンコクはタイの経済文化の中心地です。
2012年にオープンしたアジアンティーク。
1500軒ものショップの中に新垣瓦工場は2カ所店舗を設けています。
福祉施設で仕上げられた商品はタイでも販売されています。
拓史さんは毎月タイへ行き現地の売れ行きを確認します。
お客さんはほとんどが観光客です。
タイも瓦…素焼きの瓦なんで似たような。
それで沖縄の瓦を…。
(女性)シー…。
(拓史さん)そうそうシーサーとか。
そうそう。
なかなかでもこの絵もねなんかこうタイらしくてばっちり。
やっぱり瓦のその特性を使って水滴…うまくこう使ってるんでいいなと思う。
ショップの店員ワーさんが売れ筋商品を教えてくれました。
(ワーさん)ベストセラー…ディスワン。
(スタッフ)ディスワン?イエスベストセラー。
拓史さんディスプレーの仕方に気をつけるようこまめにアドバイスしていますが…。
これさこっちに出るとこう横になっちゃうから奥に。
ついつい日本語でしゃべってしまいます。
タイ語に英語どちらも得意ではありません。
そもそも物価が低いタイで拓史さんが販路を広げたのはアロマオイルの仕入れ先として注目していたからでした。
(拓史さん)仕入れ先のタイのアロマオイルをそのままタイで使ってでうちのコースターとかアロマの瓦だけをタイに送ってタイで全部セットにしてしまえばその低い物価でも勝負出来るんじゃないかっていうのがきっかけですね。
今では毎月2店舗でコースター100枚アロマ関連100個が売れているそうですが…。
(スタッフ)まずはご自身ではどう…?
(拓史さん)いやまだまだですね。
全然まだまだ。
(スタッフ)理想は1カ月に何枚ぐらいのイメージ?そうですね倍ぐらいはいきたいですね。
拓史さんの目標達成にはまだ遠いようです。
与那原町で作られている赤瓦は地域ブランド沖縄赤瓦として商標登録され沖縄の優良県産品としても知られています。
与那原町が赤瓦生産の町となったのには理由があります。
正式には泥岩ですよね。
この辺に瓦工場が集まってきたんじゃないですかね。
昔はクチャだけでしたが今は赤土と混ぜて作っています。
屋根瓦を作り続けている八幡昇さんによりますと昔はこのように一つ一つが手作業。
一つの屋根で数千枚もの瓦が必要だったので手作業で均一な形を作り上げる職人が重宝されたそうです。
これは雄瓦。
(八幡さん)これもう全部仕上がってるやつですね。
そして雌瓦がこちら。
(八幡さん)いいですか?はい4枚。
機械がなくてもこのように軽く叩くだけで4枚の雌瓦が出来ました。
雌瓦の上に雄瓦をのせて屋根は作られます。
もちろん今では機械化されて一度に大量生産しています。
仕上げていきたいという気持ちでやってますね。
ところで土は黒っぽいのになぜ赤くなるのでしょうか?
(八幡さん)もともと土は鉄分が多いもんですからその…焼成温度によってね赤くなったり黒くなったりするんですけど沖縄のは大体が平均して赤くなりますね。
さらに与那原には瓦を焼く過程で必要なものが届きました。
(比嘉さん)昔はやんばるからの船やんばる船がこちらに着いてですねいろいろな物資材木とかですねそういったものがこちらに荷揚げされておりました。
材木はですね建物とか建築資材にも使われていたんですが赤瓦を焼く時の薪ですね。
そういう形で使われてたものがあったようです。
与那原は昔沖縄本島北部から船で建築資材が運ばれた流通と製造の町。
終戦直後の瓦建築ブームからコンクリート建築の普及とともに赤瓦の需要は減り与那原町内に20軒近くあった工場は4軒に。
赤瓦生産量はこのところ横ばいです。
赤瓦を作り続けている工場では先人の知恵を今に受け継いでいます。
(八幡さん)昔はこのこういうあれは一般はね使用禁止だから。
地位のねやっぱし士農工商でしょ昔は。
武家とかこの…首里城…首里のね近辺の偉い人しか使えないから。
与那原で作られた赤瓦はここでも使われています。
首里城です。
(玉城さん)えっと中国の影響を受けている部分は赤い壁の色と丸い柱を使用してる部分とかなんですけども。
あと琉球独自はもちろん赤い屋根の瓦の色です。
海の色は青色で建物の屋根の色は赤という沖縄のシンボル的な象徴的な色だと感じて頂けてると思っています。
はい。
この昔ながらの風景を残すため首里の一部などが景観形成地域に指定されていて赤瓦の使用には助成金も出されています。
新垣瓦工場の初代菊信さんは与那原町で屋根瓦作りをしていた妻菊さんの実家で学んだのち独立。
花鉢も製造するなど時代とともにスタイルを変えてきました。
そして拓史さんは今コースターを展開しています。
(拓史さん)現代のスタイルに合った商品を瓦でどうやって提案するかっていうのが重要なんだと思います。
工場の経営はいつも時代の流れを敏感に受け止める姿勢とともにあります。
こちらはご近所さん新垣さんの家。
初代菊信さんが50年以上前に屋根瓦を作りました。
この前漆喰塗り替えしましたよね。
その後どんなですかね?
(文男さん)おじさんこの瓦五十何年前に?
(洋一さん)53年ぐらいになるんじゃない?
(文男さん)ドル時代に…。
いや覚えてない僕は。
(洋一さん)これ見ればね自分の親父の作ったのわかるそうだ。
この瓦紋見れば。
(文男さん)あの頃は手作りの瓦ですよおじさん。
機械じゃなくて手作りの。
(洋一さん)やさ。
その時分は。
うちの親父の瓦を僕がまた五十数年で塗り替えて…。
(洋一さん)やんやー。
父親が作った赤瓦の屋根。
その漆喰を塗り替えた文男さん。
赤瓦屋根は修繕すれば50年100年と持つんです。
さて赤瓦コースターの特徴は使ってみればわかります。
吸水と蒸発です。

(スタッフ)これってなんだと思いますか?
(女性)えっ?赤瓦…?
(スタッフ)そうそうそうそう瓦なんですよ。
沖縄っぽくてかわいいです。
(女性)なんか珍しいですよね瓦のって…。
布のが多いからすごいいいと思います。
(男性)コースター代わりなんだね。
(女性)かわいい。
(男性)かわいいねコースターね。
(稲福さん)観光客の方が多いので…。
ジュースを出す前にこれを置くじゃないですか。
結構わあ!って喜ばれる方よくいらっしゃいますね。
まあずっと使っていくと少し吸水性っていうのは落ちるとは思うんですけどもやっぱりその…置いていてどんどん吸っていってくれて乾かしてっていうふうにうちは使っていますね。
吸水性に目をつけたのは拓史さん。
赤瓦に氷が入ったコップを置いた時水滴を吸っていく様子をたまたま見てコースターの商品化を考えました。
赤瓦コースターを使い込んでいくとまたそれも味わいになる。
拓史さんはそんな魅力も引き出したんですね。
赤瓦コースターの特徴吸水と蒸発について詳しく調べてもらいました。
(與座さん)こちらにありますのが沖縄の赤瓦丸瓦あるいはですね雄瓦と呼んでいる製品です。
(與座さん)こちらに例えば赤瓦には無数の不規則な穴があり水分を吸収します。
焼き物は焼き締まりの具合によって穴の多さが変わり水を吸った赤瓦は日差しで温められます。
すると…。
本土の瓦には釉薬が塗られていますが沖縄の赤瓦は素焼き。
沖縄の強い日差しや風雨に耐える性質を生んでいます。
(與座さん)そういった赤瓦が持っている吸水性とかそういった特徴をですね生かしてる製品だと思います。
非常にいい発想だと思ってます。
とはいえ商品を作り始めた頃は苦労の連続。
(スタッフ)…と言いますと?
(文男さん)それはちょっと勘弁して…。
土は焼くと曲がってしまうため圧力をかける必要がありますが屋根瓦の機械では強すぎる。
機械作りに多くの時間と費用を費やしました。
またアイデアを商品にしても売り出し方がわかりませんでした。
(文男さん)というか僕らはもう流通っていうんですかねそういうの全然わからなくて。
卸屋さんを通しなさい。
僕ら名刺は瓦工場ですから本当相手にされなかったですね。
もし…もしっていうか自分が考えた商品だったら売り切れなかったんじゃないかなって思いますね。
やっぱり息子が作ったからなんとか…やってあげたいっていうのかなそういう…。
今思えばですよ。
結構周りから反対が多かったもんですから。

(お囃子)与那原町には400年以上前から続いている綱引きの歴史があります。

(お囃子)綱引きが終わったあと綱は屋根の漆喰に利用されるそうです。
この地域に根ざし屋根瓦作りの工場を構えてきた歴史と息子の新たな発想のはざまに立った文男さん。
屋根瓦からコースター作り一本でやっていくそう決めるまでに色んな思いを抱えてきたに違いありません。
商品を売り込むため拓史さんは精力的に沖縄県内でも販路を広げています。
(拓史さん)アロマストーンが…。
(屋嘉部さん)地元の方はコースターが多くて。
まあアロマも最近は買って頂いたりとか…。
ただ要望としてやっぱりなんか…香りが種類もっとあったらいいねっていうのが。
やっぱり楽しみながら生活の中のスタイルの一部になっていければと。
タイの首都バンコクに拓史さんが再び渡りました。
ここで開かれるタイ政府主催の総合商品展示会に新垣瓦工場の商品を出品するためです。
この展示会に世界中のバイヤーが注目しています。
ロシアやイギリスインドに韓国など世界中の企業489社から1353ものブースが出された大規模な展示会とあってデパートや免税店個人商店などのバイヤーが訪れます。
日本からも全国商工会連合会として各地の商品が展示されました。
(拓史さん)実際お店でこんなふうに並ぶんだ。
このままうちのお店に入れてくれって言われるのが一番早いので話が。
そういったディスプレーにしてます。
展示会初日にはこんな出来事も。
タイ商務省副大臣が拓史さんのところに足を運んでアロマプレートに関心を示したのです。
この会場で様々な国のバイヤーと直接意見を交わしながら拓史さんは世界のニーズを感じ取っています。
(女性)ハウメニーイヤーズ?
(通訳)何年ぐらいで今まで…。
(拓史さん)何年ぐらい?はい創業…。
シックスティーイヤー…60年。
シックスティー。
シックスティーイヤーズ。
シックスティーイヤーズ。
ぜひ工場の方に見学させて頂きたい…。
ぜひ。
ウェルカム。
ナイス!ハハハ…。
(拓史さん)デザインはとっても重要で…。
あとまあ海外に行けば行くほど歴史は重要視されますね。
歴史があってデザイン性が高くてっていう商品は好まれます。
(ワンナワスさん)人が生活していくと生活のライフスタイルも変わっていくので…。
そういうなんか沖縄っていう島の企業さんでもそういうなんか今の…現代のライフスタイルに商品を合わせて作っていこうっていう努力はやっぱりタイの企業さんも見習うべきじゃないのかなと思いますね。
海外のマーケットの広さと赤瓦の歴史を受け止めながら拓史さんはさらに世界のニーズを探っています。
翌日拓史さんは次の店舗へ。
ただ一人異国の地で動き回る拓史さんが海外展開で見えてきた事とは…。
(拓史さん)マレーシアのお客さんがアロマプレートのゾウのパターン各色10個ずつ買っていってそれを今日納品した。
妻です。
(スタッフ)いかがでしたか?どんな話をしたんですか?あっちはまあ元気そうでした。
ふとした時に連絡あるとやっぱ嬉しいのでやっぱ支えになってるんだなって実感しますね。
(拓史さん)企画出来る商品開発のプロの人が沖縄の赤瓦見た時に多分僕らが想像もつかないようなものをこれ作れませんか?とかって多分言うと思うんですよ。
その視点に立って考える事が出来れば可能性は本当に色々あると思いますねまだまだ。
タイは本当にひとつやっぱ協力態勢も整ってますしアロマオイルも産地ですし…。
とりあえずうまくいくようにモデルを作ってそれを例えばカンボジアとかマレーシア隣のミャンマーベトナムとかでも応用出来るんじゃないかなと思ってるので…。
とりあえずまずは一つ一つ目の前の事からっていうところです。
『日本のチカラ』次回は宮城県。
海辺の小さな工場が作る復興のジーンズです。
2015/11/15(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本のチカラ[字]

沖縄の風景を彩る赤瓦屋根…今、カラフルでおしゃれなコースターに形を変えて使われています。カフェや雑貨店では、使い込むほどに味が出る人気の商品。その秘密とは!?

詳細情報
◇番組内容
今話題の「赤瓦コースター」は「吸水」と「蒸発」という特徴があり、使い込むほどに味が出る人気の商品です。これを作っているのは与那原町にある瓦工場の父と息子。息子が商品化したコースターは赤瓦色から始まり、今ではカラフルでおしゃれな品揃え。もともと屋根瓦の工場だったが、親子はコースターづくり1本にする決意をしました。息子は新たな販路を開拓するため、タイにもショップを構え、売り込みに奮闘中。
◇番組内容2
赤瓦生産の町、与那原町に代々工場を構えてきた父がなぜ、コースター作りに経営を変えていったのか、一方で世界のニーズを読みながら海外で一人、商品を売り込む息子の挑戦を描きます。
◇番組内容3
全国各地の「魅力あふれる産業」を通して、地域の歴史や文化・人々の英知や営みを学び、日本の技術力・地方創生への道・温かいコミュニティー、生きるヒントを描き出す、教育ドキュメンタリー番組。
◇ナレーション
本橋亜希子(沖縄テレビ・元アナウンサー)
◇音楽
高嶋ちさ子「ブライト・フューチャー」
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:沖縄テレビ
協力:文部科学省/中小企業基盤整備機構
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.minkyo.or.jp/

この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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