ハートネットTV「エンジンの鍵 みつけた〜発達障害とのはざまで〜」 2015.11.17


私がその学校を訪ねたのはおととしの春の事でした。
全国から不登校の小中学生が集まる全寮制の学びや。
こんにちは。
(笑い声)その中にみんなの輪になじめない少年がいました。
同じ境遇の仲間にも固く閉ざした心。
そのかたくなさの訳を私は知りたいと思いました。
幼い頃に発達障害の疑いが強いと診断を受けた少年。
感情を爆発させる場面に何度も遭遇しました。
触んな!加藤君これ本番でやったら…ああ。
俺…トラブルは次々と起きました。
ところがある事がきっかけで彼はたくましく成長を遂げていきます。
どのようにしてきっかけをつかんでいったのか。
2年半にわたる成長の記録です。
少年はおととしの春この中学校に入学しました。
加藤優衣人さん。
はい。
広島県福山市の親元を離れてこの日から寄宿舎生活を始めます。
(拍手)小学校4年の時体育の授業でバカにされて友達に対する不信感が募っていった加藤君。
次第に自信を失っていきました。
早退を繰り返すようになり小児科の病院を受診します。
診断は発達障害の疑いが強いというもの。
毎日3種類の処方薬をのみながら過ごしてきました。
そんな加藤君が自らインターネットで探し出したのがここおかやま希望学園でした。
え〜謝ったやんか。
不登校や発達障害に悩む小中学生を専門に受け入れる学校です。
電気消します。
はい消して下さい。
教師も寮に宿直して24時間体制で見守っています。
同じ悩みを持つ仲間との生活が始まりました。
生徒たちが楽しみにしているのはみんなが集まる食事の時間です。
でも加藤君はクラスメートと離れて食事をとっていました。
自分から1人でいる事を選んでいるように見えました。
加藤君の担任になった…音楽が専門です。
入学して最初の楽器演奏の授業である事が起きました。
加藤君はピアノを担当する事になったのですが…。
仲間に促されても弾こうとしません。
やんの?一番上の音だけ弾こう。
一番上の音だけ。
分かんねえよ。
(ピアノの音)見て見て見て。
私には初めから諦めてしまっているように見えました。
島中先生が優しく指導しますが積極的には弾こうとしません。
持久走嫌な人手挙げて。
(一同)は〜い。
加藤君が小学校4年の時自信を失うきっかけとなった体育の授業。
この日は1,500メートルを走り抜く持久走です。
(島中)やり方分かるね〜。
(島中)位置について…。
(スタートの合図の音)うそっ速っ。
(島中)速すぎる速すぎるあと20。
6分37。
ほかの子は次々とゴール。
でも加藤君はあと5周残っています。
あと5周。
行ける行ける。
死ぬ〜!大丈夫。
足が…足が…。
ここまでやったのもったいない。
足が〜!なんとか立ち上がってほしい。
私が心の中で祈ったその時でした。
シャトルランだってさ…。
これは持久走じゃ大丈夫。
行こう。
今からまだ行ける。
頑張れ〜!あと5周だ。
頑張れ!ラスト頑張れ〜!先にゴールしていた生徒たちの輪が広がります。
(チャイム)最後頑張れ〜!
(島中)12分。
12分11。
(拍手)加藤君走り切りました。
内容がすばらしい持久走で。
(一同)ありがとうございました。
最初に声をかけてくれた女子生徒がやって来ました。
「みんなにかんしゃ」。
仲間の支えで自信を1つ取り戻しました。
学校生活も軌道に乗ったかに見えたその年の9月。
思いも寄らない事が起きました。
それは運動会の練習をしていた時の事でした。

(加藤)うあっ!おらっ!加藤君が突然暴れだしたのです。
触んな!自分のチームが負けた事に関係があるようでした。
手痛いんじゃ!俺は!なのにさせんなよこらっ!ああ。
俺…島中先生が寄り添ってようやく落ち着いた加藤君。
しかしその後も似たような暴発を頻繁に起こすようになりました。
学校側が記録した資料です。
ほかの生徒に暴力を振るう。
立て続けに20件余りのトラブルを起こしたのです。
発達障害のある生徒を数多く受け入れてきた学校でしたが今回ばかりは違いました。
加藤君を自宅待機としたのです。
ほかの生徒への影響を考慮した苦渋の選択でした。
希望を見いだしたやさきの厳しい処分。
自宅では母親の美紀恵さんが仕事を休んで向き合っていました。
一緒に悩んできたため心を患い安定剤をのむ日々を送っていたのです。
勉強道具全部向こうなんだっつうの。
加藤君を再び学校へ迎えられるように担任の島中先生は方法を探り続けていました。
家での様子や治療歴などをお母さんに詳しく聞いた島中先生。
よりよい治療法があるのではと考えて専門医へ協力を求める事にしました。
たどりついたのは岡山市内にある思春期専門の精神科外来でした。
今年1月。
加藤君は受診を始めました。
診察に対応した…牧野医師が重視したのは暴力を振るってしまった時の心の動きでした。
ああそうだったんだ。
診察の結果牧野医師が下した結論は意外なものでした。
診察の結果を牧野医師から聞く島中先生たち。
暴発の原因は発達障害だけによるものではないという所見に驚きました。
自分の都合が悪くなった時他人の振る舞いや発達障害のせいにして責任転嫁しているのではないかというのです。
加藤君が3年生になるタイミングを見計らって自宅待機が解かれました。
加藤君には自分の行動に責任を持ってほしい。
島中先生は新しい取り組みを始めました。
じゃあ金曜までね今んところ予定しときましょう。
朝一日の目標を自分で決めます。
一日が終わったところで目標を達成できたのか振り返ります。
自分の言葉を自分で守る。
これを先生と一緒に毎日続ける事にしました。
書き始めて1か月余り。
目標にある傾向が生まれました。
それは友達との接し方についてのものでした。
みんなに受け入れられ友達の輪の中で姿を見る事も多くなってきました。
ところが6月に入ったある日。
昼食の時間の事でした。
(物音)だから先生がな先生がおらんとお前は死んじゃうのか?分かる?
(泣き声)食堂での席順を守らなかった女子生徒に対して力任せにテーブルをたたいてどなってしまったのです。
島中先生は何があったのか加藤君に聞きました。
(島中)加藤君にとって今マイナスやそれは。
それが謝れって言うんかとかどうのこうのとかやかましいんじゃんなもん。
このあと授業へ戻りたいと言った加藤君を先生は止めませんでした。
午後先生が職員室へ戻ろうと歩いていると加藤君が待っていました。
このあと加藤君は女子生徒のもとへ謝りに行きました。
それから1か月後の放課後。
加藤君は2年生の後輩と一緒にいました。
手にしているのはベースギター。
弾き方は島中先生から教わりました。
おととしは弾く事を拒んでいた楽器。
それが今では掛けがえのない相棒になっていました。
もう理由はないってやつ。
いってえ。
大変だわ。
夏休みが始まる4日前。
島中先生はあるものを渡すため加藤君に声をかけていました。
これが4月5月6月。
それは加藤君が書いてきた全ての目標を先生がまとめた紙です。
はい。
目標を書き始めて2か月後の言葉です。
今加藤君はトラブルを起こさずに学校生活を送っています。
鍵かけて…加藤君には最近将来への目標が出来ました。
それは音楽科のある高校への進学です。
スタートラインに立った加藤君。
目的地に向けて力強く走りだしました。
2015/11/17(火) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV「エンジンの鍵 みつけた〜発達障害とのはざまで〜」[字][再]

幼い頃に発達障害の疑いがあるとされた少年。感情を制御できなかったが、ある事がきっかけでたくましい成長が始まる。少年が自分の力で歩き出すまでを追った2年半の記録。

詳細情報
番組内容
幼い頃に発達障害の疑いがあるとされた少年。感情を制御できず友人関係が悪化、小学4年生の頃から早退を繰り返すようになった。しかし、不登校の子を専門に受け入れる全寮制の中学校に入学し、あることがきっかけで、たくましい成長が始まる。少年を見守る周囲の大人たちが、彼が本来持っている力をどのように引き出し、成長を促していったのか。それを彼はどう生かしていったのか。少年が自分の力で歩き出すまでの2年半の記録。

ジャンル :
福祉 – 障害者
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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