京都南署鑑識ファイル 嵐山〜保津峡日舞家元殺人 2015.11.17


(囃子)
(二条辰之助)日本舞踊の所作には日本人が受け継ぐべき奥ゆかしさと華やかさが同居しているんですよ。
(辰之助)裏返せばそれがなくなったからこそこういうギスギスした時代になったと言えるかもしれません。
私は皆さんにそれを取り戻していただきたい。
そのお手伝いをしている訳ですね。
(桂美保子)辰之助さんのマスコミ活動はそれが目的という事ですね?
(辰之助)はい。
最近の若い人達は日本舞踊を堅苦しいと思っている方が多いですから。
でもそんな事はないんですよ。
二条流の中に辰之助さんのマスコミ活動に対して反対の意見もあると伺いましたが。
新しい事をするには何事も抵抗が伴うもんです。
二条流は単なる日舞の一流派という枠を超えてこれからも活動していきたいと思ってます。
ありがとうございました。
(美保子)今日は全国何万人という二条流のお弟子さんだけではなく今やお茶の間の奥様達の憧れ二条辰之助さんにお話を伺いました。
はいカット。
どうもありがとうございました。
さっきの質問は必要ないんじゃないですか?あっ深い意味はありませんから。
うちにはワイドショーのネタになるような事はないよ。
恐れ入ります。
(二条美晴)お疲れさまでした。
家元はまだなのか?はい。
まだいらしてないようです。
今日は取材だってちゃんと伝えてあるはずだろ!電話してみろ。
はい。
あの…じゃあ私達はそれまで外回りの実景を撮影してますので。
家元いらしたらお知らせください。
はい。
(美保子)どうもお邪魔しました。
(舌打ち)家元は俺に恥をかかせる気か。
(二条真太郎)遅れてらっしゃるだけやろ。
それより伝統ある稽古場で撮影させるのはよしたらどうや。
やっかみはみっともないぞ。
そんなんやない。
私はただ…。
(河原崎恭子)家元まだいらしてないんですって?もうとっくにお着きのはずです。
(二条姫香)恭子さん。
家元をお連れしたんやないの?私は家元のお忘れになった扇子を届けに。
何のためにお前に家元の面倒を見させてると思ってるんだ。
こういう事がないようにだろ!ごめんなさい。
すぐ捜してきますから。
どこにいるんや…。

(ディレクター)ずっとパンしとこうか。
わあー!
(ディレクター)カメラカメラ回しとけ!
(久坂竜子)りつ子ちゃんりつ子ちゃん電話やで。
志賀さんから電話。
(円城寺りつ子)もうお腹いっぱいだから…。
ああもう寝ぼけてんと志賀さんから電話やで。
緊急連絡やて。

(志賀隆造)いつまで寝てる気だ。
休みだからって携帯電話の電源を切るなと言ってあるだろ!あの…切ってたんじゃなくて充電し忘れてて電池が…。
渡月橋近くの河原で変死体が見つかった。
変死体!?至急現場に急行してくれ。
私達も今から向かうから。
はい!
(パトカーのサイレン)行ってきまーす!頑張ってや。
はーい。
(パトカーのサイレン)
(玉木ケイ子)頭部の傷が致命傷のようね。
落ちた時の傷かそれとも殴られたのか…。
土手からここに落ちて頭を打ったんじゃないですか?石に血がついてます。
円城寺!あんた遅れてきたのをごまかそうとしてない?ああ…。
それからそっちへフラフラ歩いて行って絶命したみたいですね。
フラフラってどうしてそんな事がわかんのよ?移動している人から血が落ちると滴下血痕ができるんです。
それで方向とスピードが大体わかる…。
血痕の方向がそっちへ歩いた事を示してるしそれほど血痕が落ちてないって事はゆっくりと歩いたって事ですから。
ねえ本当にそうなの?詳しく調べればはっきりするでしょうがまあ間違いないでしょうな。
ほお…。
あれでも鑑識の神様と言われた父親の血を少しは受け継いでるって事なの?うんどうでしょうかね?今はまだまだですが亡くなった父親以上になる可能性だってありますよ。
足を滑らせたんでしょうか?突き落とされたという可能性もある。
とりあえず解剖してみないとな。
(海老原太)主任。
あっお疲れさま。
家元!どうしてこんな…。
うちの家元に間違いありません。
本名二条菊男。
二条菊春さんですね。
あれ!?あの人…。
何だ知ってるのか?ええ。
大学時代テニス部で仲良かった友達のご主人。
日本舞踊の二条流の師範で最近よくテレビに出ている人ですよ。
二条流ねぇ…。
(曽我部元春)死因は頭部打撲による外傷性脳内出血。
頭を強く打って脳内出血を起こして亡くなったと…。
ねえ即死?いや少しの間は意識があったかもしれない。
胃の内容物の消化具合からすると死亡推定時刻は午前11時前後…。
うう〜ん…。
何か気になる事でもあるの?うん。
胃の中にねイミプラミンが溶け残ってたんだ。
抗鬱剤。
それ土手で見つけた薬ケースに入ってた。
やっぱりこの人のだったんだ。
でも通常の服用する量よりもかなり多いんだよね。
多い?うんあの薬剤は飲む分量を間違えるとめまいや動悸それに幻覚なんていう副作用も…。
じゃあもし無理やり飲まされたとしたら?突き落としたりするのも簡単だろうね。
ええっ!?ごはん付き合ってくれるんじゃないの?また今度ね。
いつもそればっかりじゃん。
殺人事件の可能性があるのよ。
署に戻らなきゃ!はい。
事故ですか?そうよ。
それが結論!かなり多量の薬も飲んでたんですよ。
二条菊春は躁鬱で通院していたの。
この薬もそこで処方されたものだったわ。
だから薬を飲んでいても何もおかしくないしその量が多少多かったとしても殺人とは結び付かないわね。
突き落とされた可能性も捨てきれないと思いますけど。
可能性はあっても証拠はなし。
大体あなた達が何も見つけられなかったんじゃない。
私達の判断に文句があるんだったらそれを覆すだけの証拠を見つけて来なさいよ。
それがあなた達鑑識の仕事でしょ!?それを言いに?遺体の遺族への引き渡し今日でしょ!?鑑識立ち会ってよね。
それを言いに来たの。
じゃあ。
あっ!それからそのシャツ服務規程違反よ。
何よ面倒くさい事は全部こっちに押し付けるんだから。
面倒くさいとは何だ。
それも大事な仕事だぞ。
面倒くさがっているのは向こうのほうです。
じゃあ行ってきまーす。
結局事故なんですよね?なのに解剖しなきゃいけなかったんですか?はい。
我々には亡くなった方がどうして死んだのかきちんと確かめる責任があります。
事故じゃない場合もありますから。
そうですよね。
すみません。
家元があまりにもおかわいそうで…。
お気持ちお察しいたします。

(足音)
(高坂義男)ああ…。
行っちゃいましたか?どうしたの?これ亡くなった方が身に付けていた時計とかの私物なんです。
渡そうと思ったのに自分うっかりしてて。
いいわよ。
私後で届けてあげる。
はい?りつ子さんが?珍しい。
珍しいって何よ?いえりつ子さんはやさしい先輩です。
嘘っぽいのよ。
すっごい…!りつ子!?久しぶり。
どうしたの?ああちょっと仕事でね。
勇太君!?大きくなったねぇ。
いくつ?
(河原崎勇太)6歳。
もうそんなに。
私達もそれだけ会ってなかったって事よ。
ああそっか…。
ああ立派なお屋敷ねぇ!何万人もの弟子を束ねている家元だもの。
へえ〜!ここに…。
これ家元の持ち物。
わざわざありがとう。
今お茶淹れてくるから。

(辰之助)俺が跡目を継ぐ。
それでいいだろ?家元だってそのつもりだったんだ。
確かにお前の舞は素晴らしい。
お前が継ぐのが筋やと思う。
だがなお前に任せてホンマに二条流は大丈夫なんか?辰之助さんのお陰で二条流はどんどん大きくなってるんやわ。
大きくするだけが二条流の理念やない。
今でも全国に何万人という弟子がいるんや。
これ以上弟子を増やして二条流の精神と技をちゃんと末端まで伝える事ができるんか?私は二条流の伝統を壊す事だけは許さへん。
相変わらず甘いな。
すべては二条流が繁栄してなんぼのもんだろ。
伝統だの理念だのっていう古いものにしがみついていたら今の時代おしまいだって事がお前にはわかってない。
真太郎さんあなた口ではその気がないやなんて言いながら実は二条流を継ぎたいんやないの?違う!
(梅本)私らは真太郎さんが継ぐのもいいと思うけど。
(春木)そうや。
お2人共家元の甥子さんで血は繋がってんのやから。
家元が辰之助さんを後継者に指名なさってた訳じゃないんやから。
指名してはったようなもんやないの。
せやから辰之助さんのマスコミ活動を応援してはったんでしょ。
いやぁけどそれは…。
決まりだな。
(姫香)告別式の段取りはどないするん?ああ…。
いろいろバタバタしてて。
家元にお子さんはいらっしゃらなかったの?うん。
ご兄弟もみんな亡くなってて。
身寄りがないの?甥と姪はいるんだけど姪っ子の姫香さんは家元の亡くなられた奥さん側の親戚だし甥っ子に当たるのはうちの夫と真太郎さんしかいないのよ。
じゃあやっぱり恭子のご主人が二条流の跡を継ぐんだ…。
えっ?向こうでそんな話してるの聞こえちゃったから。
そう…。
すごいなぁ恭子家元夫人か。
まだどうなるかわかんないわよ。
あの人踊りは上手なんだけど真面目に稽古しない事が多くて古株のお弟子さん達にもにらまれてるの。
それにマスコミとかに出てるのをおもしろくないと思ってる人も多いし…。
舞踊協会の会合に行ってくる。
後は頼んだぞ。
はい。
そのうちマスコミの連中も押しかけるだろうけどうまくやっとけ。
ごめんなさい。
ああいう人だから…。
ううん。
辰之助さん恭子をお嫁さんにもらって正解だね。
えっ?私じゃ日本舞踊の家元の奥さんなんてとてもじゃないけど務まらないもの。
家元夫人かぁ…。
恭子もいろいろ大変だなぁ。

(車のクラクション)はっ!イテテ…。
(二条恵美)大丈夫ですか?すいません。
イテテ…。
ええちょっと遅れそうなんです。
すみません。
ごめんなさい。
急いでたんじゃないんですか?いいんです。
それよりケガは?大丈夫です。
どうぞ行ってください。
ああでも…。
そうですか…じゃあ。
痛っ!二条美晴さんでしたよね。
本名薬師寺美晴さん。
はい。
話したい事って何かしら?家元が亡くなった日の事なんです。
何か思い出した?家元が亡くなったのは11時頃なんですよね?そうだけど。
それを聞いてからずっと引っ掛かってて。
言おうかどうか迷ってたんですけど…。
あの日姫香さん11時前後の30分ぐらい稽古場を出て行ったんです。
それ本当?取材が来て撮影しているのにいなくなったら辰之助さんが怒るんじゃないかって。
心配して時間を気にしていたから覚えているんです。
きっと撮影していたテープにも映ってると思います。
稽古場からだったら渡月橋まで30分あれば行って戻って来れますね。
姫香さんの事を疑いたくはないんです。
でも家元がどうして亡くなったのかはっきりしていないから…。
辰之助のインタビューのテープ借りて来ました。
ああありがとう。

(辰之助)「私は必要以上に古いものにとらわれるのは好きではありません」「もともと二条流は西洋の踊りの要素を積極的に取り入れてきた流派でもありますから」
(竜子)二条辰之助!?知ってる?そりゃ知ってるがな。
テレビによう出てはる人やろ!?おばちゃんらに人気あるのよ。
そうらしいな。
辰之助の奥さんとテニスクラブで友達やったん?大学時代ね。
ダブルスでペア組んでたの。
ふう〜ん。
あっちはもうすぐ二条流の家元の奥さん。
一方こっちは駆け出しの鑑識さん。
何よどっちが幸せなんてわかんないでしょ。
そうかもな。
ああいう世界は華やかでもその分裏でいろいろあるだろうからさ。
案外つらいかもなぁ。
恭子は幸せだと思うな。
そうあってほしい。
何かご用ですか?姫香さんあなた家元が亡くなった日の午前11時前後取材の最中に30分ほど稽古場を抜け出していますよね?覚えてへんわ。
ビデオテープで確認は取らせていただきました。
(海老原)どこへ行ってたんですか?どこにも行ってへんわ。
取材にうちは必要ないから席を外しただけや。
渡月橋で家元と会ってたんじゃ?うちを疑ってるんですか?家元は事故で亡くならはったんでしょ!?いい加減にしてください!恭子さん警察なんかに取り次がんといて。
こっちは忙しいのよ!
(囃子)
(パトカーのサイレン)ご苦労さまです。
あっどうも。
午前6時頃流れ着いたようですね。
へえ…。
辰之助さん!二条辰之助…。
嘘や…。
辰之助さんがそんな…。
ホンマなんですか?はい。
奥さんの恭子さんにも確認していただきました。
それで皆さんにお伺いしたいんですが昨日の夕方は何をしていらっしゃいましたか?私達を疑ってるんですか?
(姫香)あんたやろ…。
あんたが殺したんやろ!何を言うんや!姫香さん落ち着いてください!欲に目がくらんで殺したんや。
辰之助さんが死んだら次に二条流を継ぐのはこの男やもの!殺人と断定した訳じゃないんです。
皆さんに念のため事情を…。
自殺なんか絶対あり得へん…。
3日前辰之助さんは恭子さんと別れてうちと一緒になるって約束してくれたんや。
せやのに自殺なんかする訳ない!姫香お前…。
今さら驚くような事?うちと辰之助さんの関係みんな知ってたくせに!
(曽我部)死因は脳挫傷。
皮膚の状況や体温低下の具合やうう…死斑もそんなに強く出てないしまあ12時間ぐらい水に浸かってたって感じかな。
死亡推定時刻が午後6時で死体が発見されたのが午前6時だから12時間だよちょうど。
ピッタリピッタリもう…。
あっ!何の繊維かな〜?どうしたんだよ。
同じような死に方が続いてるんだぞ。
殺人事件の可能性大かも。
この人友達のご主人なの。
えっ!?あっごめん…。
恭子…。
りつ子…。
(泣き声)
(立石勝彦)府警本部の立石や。
ここからは私が指揮をとる。
所轄は我々の指示に従って動いてくれ。
(久保井洋介)事件の経緯は?はい。
ご説明いたします。
二条流家元の二条菊春が発見されたのは桂川の上流渡月橋です。
二条辰之助が発見されたのは下流の上野橋です。
家元とその後継者と目される人物が連続して事故に遭うとは考えられません。
そんな事はわかってる。
何よ偉そうに。
りつ子君。
家元の二条菊春ですが身の回りの世話をしていたのは辰之助の妻河原崎恭子です。
恭子の話では家元は午前10時には屋敷を出て稽古場に向かったそうです。
その日はテレビ局の取材が入ってました。
死亡推定時刻の午前11時前後はちょうどその撮影中でほとんどの弟子達は稽古場にいました。
ただ二条姫香本名北見香織だけは稽古場を抜け出しています。
抜け出してる?はい。
録画テープで確認したところ午前10時45分から11時15分にかけてです。
(立石)本人は何て言うてるんや?自分は取材に関係ないから席を外したと…。
怪しいな。
辰之助が死んだ日の午後6時頃は?二条邸にいたと言っていますけれども人の出入りが激しくて確認は取れておりません。
アリバイはなしか…。
よし二条姫香の身辺をもっと徹底的に洗ってくれ。
それで他の連中は?あっそれが…判断できないんです。
何やと?無理なんです。
二条辰之助がどこで川に落ちたのかあるいは落とされたのか…。
その場所が特定できないと6時にその現場に行く事ができたのかどうかそのアリバイを判断する事ができないんです。
じゃあ特定しろ。
それができないから言ってんじゃない…。
特定できるかもしれません。
えっ?ホンマか?はい。
水の成分ですか?そうだ。
同じ川の水でもその場所によって含まれている土砂や珪藻が違うんだ。
細かく分析して被害者の気管に溜まっていた水とを比べる。
含まれている成分で大体の場所がわかるはずだ。

(及川エミリ)りつ子!わかりました8番です。
8番が被害者から採取した水と同じ成分でした。
それより上流なら黄色土が必ず入っているはずですから。
8番!?どうかしました?渡月橋…!?血痕も事故らしき跡も何もありませんね。
簡単に諦めるんじゃない。
これ以上は無駄かもしれませんよ。
私達の仕事に無駄なんて存在しないぞ。
家元が死んでいた場所で辰之助さんも川に落ちたなんて…。
そんな偶然あり得るんでしょうか?偶然かどうかは物証が教えてくれる。
すべての物証が犯行を語る…。
髪の毛1本でも見逃すな。
そういう事だ。
どう?ああまだ何も。
ええ〜!?現場がここだって言ったのあんた達でしょ。
しっかりしてよ。
何もないっていうのも物証なんですよ。
はっ?事故と断定できる物証が何も見つからないという事は事故ではないという証拠でもあるんです。
何の痕跡もないって事はここが現場じゃないって事かもしれないわね。
辰之助が乗ってきた車も発見されてない事だし。
じゃあ実験してみましょう。
実験?死亡推定時刻の午後6時にこの人形を川に流します。
現場がここならば死体が発見された翌朝6時には同じ場所にこの人形が流されているはずです。
人形で大丈夫なんですか?だったら高坂君が代わりに流れる?人形に頑張ってもらいましょう。
うん。
朝まで追いかける気?当然。
うわぁ〜そんな面倒くさい事に付き合ってらんないわ。
後で結果だけ教えて。
海老原行こう。
はい。
じゃあ頑張ってね。
ああヤダねあんな事…。
これのどこが面倒な事なのよね?どんな結果が出るかワクワクするじゃんねえ?それはりつ子さんだけだと思いますよ。
何で?よーし6時だ。
実験開始。
実験開始。
じゃあ明日報告待ってるから。
あれ?主任帰るんですか?一緒にやりましょうよ。
徹夜は医者に止められてるんだ。
じゃあよろしくな。
あっもうそこまで来てます!ずいぶんペースが速いわね。
どう?もうそろそろ見えるはずですが…。
あっ!おかしいな…。
遺体発見時間より3時間も早い。
死亡推定時刻の午後6時に渡月橋から流して翌朝6時にはここ桂川橋まで流れてました。
遺体発見現場の上野橋よりかなり下流だな。
人形が上野橋を通過したのは午前3時。
渡月橋から9時間しかかかってません。
まあそういう事になるな。
でも遺体は12時間水に浸かっていた事がわかってます。
矛盾するわ。
もしくは渡月橋より上流から流されたのかもしれんな。
でもそれなら気管に入った水が渡月橋より下流の水だった事はどう説明するんですか?うん…。
途中まで水が入らずに流されていたなんて考えられないし…。
ああもうわかんなーい…。
ふふふ…。
もう笑い事じゃないですよ。
いや円城寺さんもよくそうやってたと思ってさ。
親子ですからね嫌でも似ちゃうんですよ。
だったら行き詰まっても自分が納得するまでは決して諦めないところも鑑識の神様に似てほしいもんですね。
私だって諦めてませんよ。
次期家元はどなたが継がれるんでしょうか?
(美保子)「家元と跡目を継ぐと思われていた師範が連続して亡くなるという異常事態に二条流は取材を一切拒否しています」「関係者に話を聞いたところ次期家元候補は2人」「今回亡くなった辰之助さん派の二条姫香さんと辰之助さんのやっていた革新的な方法に反対だった二条真太郎さん。
このどちらかが家元を継ぐのではないかと言われているのですが後継者が決まるまではまだ混乱が続きそうです」
(海老原)二条流には数万人の弟子がいます。
家元となると十数億の利権が転がり込むと言われてますね。
これが跡目争いなら動機があるのは次期家元候補の真太郎と姫香。
ええ。
それと辰之助も二条流を大きくしようといろいろやってたみたいですよ。
強引な方法で他の小さな流派を吸収するとか…。
恨みの線もあるって事か…。
あっイタ…。
先日はどうもすみませんでした。
あなたあの時の…。
恵美さんは真太郎さんの奥様だったんですね。
りつ子さんこそ恭子さんのお友達やったなんて…。
あっ恭子はこれからどうなるんでしょうか?どうって?亡くなった辰之助さんは二条流を継ぐはずだったんですよね?ええ…。
けど恭子さんは二条流を離れたほうがええかもしれへんわね。
辰之助さんをよく思わへん人も多かったから。
どうしてです?うんそれは…。

(鞍馬泰介)二条流なんて潰れてしまえばええんや!二条流はうちの弟子を金で流派替えさせて奪いよった。
裏じゃひどい事をしてる連中なんや!ネタはいくらでもあるで!家元には隠し子がおるし死んだ辰之助は結婚してるくせに同じ弟子の…。
よしなさい!それ以上死んだ人間を侮辱するのは許せない!何やあんた。
私?私はこういう…。
あれ…手帳忘れちゃった。
どけ!あっ…。
やめなさい。
こういう者です。
ここは厳かな通夜の席ですよ。
これ以上騒ぎ立てるなら署まで来てもらいます。
俺らは被害者なんや!あんた鞍馬流の…。
いや…いずれ二条流を潰してやる。
絶対にな!円城寺!邪魔とおせっかいはしない事。
いい?怒る事ないじゃない。
警察の方なんですか?ええまあ。
鑑識ですけど。
ありがとうございました。
いえ…止めたのは玉木主任ですから。
りつ子さん恭子さんのお友達なんですって。
そうなんですか。
あっ恭子に何かあったら教えていただけませんか。
これ私の連絡先です。
恭子困った事があっても自分で何とかしようって無理するから。
昔からそうなんです。
死んだ家元に隠し子?まだ裏は取れていませんが。
どこからの情報や。
葬儀に乗り込んで来た鞍馬泰介が暴露しました。
辰之助に自分の流派を乗っ取られた鞍馬流の家元です。
辰之助を恨んでいた訳やな。
動機は十分でアリバイもあやふやです。
こいつも容疑者の1人か。
辰之助の妻恭子にも動機はあります。
夫の辰之助は姫香と不倫関係にあったようでこれは周知の事実です。
夫の浮気に逆上して犯行に及んだいう事も考えられる訳やな。
さらに死んだ辰之助が相続するはずだった家元の財産の半分も相続する事になります。
遺産も手に入る訳か…。
恭子がそんな事する訳ないじゃん。
りつ子君。
だって…。
うん。
恭子にはアリバイがありません。
家元が死んだ時刻には稽古場に向かっており辰之助が死んだ時には二条邸にいたと言っていますが人の出入りが激しくてアリバイを証言できる人間がいません。
二条真太郎も動機は十分だな。
いやしかし真太郎は事件当日辰之助が二条邸から舞踊協会の会合に出かけた後家元の葬儀の打ち合わせで桂川上流にある高雄町に出かけてます。
打ち合わせが終わったのが5時半ですから死亡推定時刻の6時までに高雄町から渡月橋へ戻って辰之助を殺害するのは時間的に不可能です。
じゃあ容疑者はアリバイのない姫香恭子鞍馬という事だな。
(姫香)家元に子供がいたやなんて聞いた事あらへんわ!祇園の舞妓に産ませはった子やて。
とんだ恥さらしやわ。
マスコミかて騒ぎ立てるに決まってる。
心配しないでも単なる噂ですよ。
ホンマやったらどうすんの!突然名乗り出てきて跡目を継ぐやなんて言い出したら…!いい加減にしろ。
今心配するのはそんな事やないやろ。
二条流をこの先どうやっていくかや。
しかも警察は私達を疑ってる。
事件の解決しだいじゃ二条流の未来かて危ういんや。
渡月橋から上野橋。
実験では9時間しかかからない距離を辰之助さんの遺体はどうして12時間もかかって流れてきたのか…。
これが解決できれば事件の本質が見えるような気がするのよね。
遺体がしゃべってくれれば簡単なんですけどねぇ。
遺体はちゃんと話してくれるさ。
こっちが問いかければちゃんと答えてくれる。
えっ?ちゃんと問いかけたんだろ?ええ主任の教えを守ってますから。
だったらもう一度よく見直してみろ。
はい。
これは…。
何の繊維かな〜?高坂君これ科捜研に回して何の繊維か調べてくれる?何すか?これ。
遺体は答えてくれていたのよ!辰之助さんは川を流されている時に口を布で塞がれていたのかもしれない!そっか!猿ぐつわされてたから水が入らなかった訳だ。
その猿ぐつわが途中で上着みたいに取れてしまった。
それが渡月橋のあたりだったから私達は辰之助さんが渡月橋から流されて来たと勘違いした。
という事はもっと上流から流れて来たっていう事よね。
時間と距離を逆算して大体…。
清滝?高坂君この車…。
辰之助の車に間違いないわね。
だけどどうして今まで見つかんなかったのかしら。
主任。
これ見てください。
うん?当日給油した時のレシートです。
この近くのスタンドですね。
死亡推定時刻の1時間前か。
決まりね。
辰之助が殺されたのはこのあたりに間違いないわ。
殺されて川から落とされた。
やはり殺されて川に落とされたという事か。
殺人を裏付ける物証も見つかってませんが雨が降ったので血痕が流されたという事も考えられます。
辰之助さんが清滝で殺されたとしたら真太郎さんのアリバイは成立しなくなります。
葬儀の打ち合わせが終わった5時30分に高雄町を出れば清滝に6時までに着く事ができます。
という事は容疑者は二条真太郎二条姫香鞍馬泰介それから河原崎恭子ですね。
痛いっ何するんですか。
恭子は容疑者じゃないわ!でも夫の浮気に逆上して…。
恭子は二条邸にいたの!でもいたかどうかは確認…。
いたの!痛いっいました。
いました。
たぶんいました。
はい。
まったくもうっ。
家元が亡くなった日あなたは家元と待ち合わせをしていたと?はい。
稽古場を抜け出して家元との待ち合わせ場所に向かったんです。
それが渡月橋。
家元は辰之助さんに跡を継がせるつもりやったんです。
せやから宗家の名が汚されんようにうちに辰之助さんとの不倫関係を終わらせるよう言うてきたんです。
けどうちは辰之助さんを愛してました。
せやからそれはできないとお答えしたんです。
(姫香)それに怒った家元は自分の怒りを静めようと薬を大量に飲みはって…。
(二条菊春)うわー!ああ家元!姫香は家元の死が自分のせいにされたら辰之助に捨てられると思ったそうよ。
それで黙っていた。
でもどうして今頃出頭してきたんでしょう?怖くなったのよ。
稽古場を抜け出した証拠のビデオもあるし。
捜査が進むにつれて自分が容疑者にされるんじゃないかって不安でいたたまれなくなったそうよ。
(高坂)本当なんですかね〜。
後ろめたい事をした人間は自分の後ろめたさで押し潰されるもんです。
となるとあとは辰之助殺しの犯人か…。
何か有力な手がかりはないのかな〜。
(電話)はい鑑識。
ああ…はい。
ありがとうございました。
科捜研からだ。
繊維の分析結果が出たそうだ。
あの繊維は特殊で京都では蓮見屋さんでしか扱ってないそうよ。
あの…私達だけで大丈夫なんですけど。
今はあんたにもすがりたい気分なのよ。
お待たせしました。
幸いサンプルが残ってました。
お探しのものとほぼ同じものです。
ああそうですか。
この染めは何しろコストがかかるので特注品にしか使ってないんですよ。
あのこれお借りしてもよろしいでしょうか?ええどうぞ。
ありがとうございます。
こういったものをご注文なさるお客様っていうのはどういう方なんでしょうか?いろいろですがやはり日舞関係の方が多いですね。
はあ…。
とすると例えば二条流さんなんかも?はい。
あっ確かちょうど今…。
恵美さん。
りつ子さん。
こんなとこでお会いするなんてびっくり。
今日は何かの捜査なんですか?あっええ。
あの布地のサンプルをちょっといただきにまいったんです。
ねっ。
ええ…。
ここうちの主人がひいきにしてる店やの。
ここでしかできひん染めがあって。
そうらしいですね。
うちここの染めが大好きやの。
主人がいつもうちのために特注で作ってくれるのえ。
ふふっ。
二条真太郎が蓮見屋で辰之助の口にあった繊維と同じ色の帯揚げを過去に特注してました。
辰之助は家元の事故に似せて殺されたんです。
その帯揚げで猿ぐつわをされて川へ流されたんですが途中で外れてしまったと考えられます。
アリバイも崩れているし二条流を自分のものにするためという動機もある。
任意同行で引っ張りましょう。
ダメや。
しかし!憶測だけじゃ無理や。
証拠が足りひん。
証拠が。
あの…もう一度実験をやらせてください。
実験?はい。
清滝に人形を流して本当に猿ぐつわが外れるのか。
発見された場所まで流れるのか。
きちんと確かめたいんです。
同じような事やったじゃないか。
あれは最初の前提が間違ってました。
だから今度こそちゃんと本当か確かめたいんです。
二度も必要ない。
確かな証拠もないのに疑われている人の身にもなってください!本人だけじゃない。
周りの人間だって傷つく事になります。
真実を見極めるのに時間は関係ないと思います。
それに何か突破口が開けるかもしれません。
ねえ!あの人一人の死を簡単に判断するな。
やれるだけの事を全部してから判断しろ。
それが鑑識の神様と呼ばれた彼女のお父上の口癖でした。
何も出ぇへんかったら承知しぃひんぞ。
わあ…やった!ふふふっ!ふふふっ…!6時になったわよ。
実験開始。
午前6時遺体発見時間と一致していますね。
ご苦労さま。
ああ…猿ぐつわもなくなっていますね。
円城寺あんたの仮説が正しかったみたいね。
真太郎さんを逮捕するんですか?う〜ん…。
せめて猿ぐつわに使った帯揚げでも見つかればね。
どう?高坂君。
(高坂)猿ぐつわはどうやらこのあたりにありそうですね。
どうしてわかるの?猿ぐつわにも発信機を付けておいたんです。
高坂君行くわよ!はい。
おーい!あったぞー!・ガイシャの帯揚げに間違いないぞ!りつ子ちょっとこっち見て。
ああ。
繊維の種類色調もまったく同じ。
これは被害者の口にあったのと同じものね。
ありがとう。
ちょっとすいません。
稽古の邪魔をしないでもらいたい。
後にしてください。
失礼します。
これはあなたが蓮見屋さんに作らせた特注の帯揚げですね。
覚えがあるようですね。
辰之助さんはこの帯揚げで猿ぐつわをされ殺されて川に流された。
辰之助さんの歯にこの帯揚げの繊維が挟まっていたんです。
知らへん。
何かの間違いです。
帯揚げは女性しか使わない。
これは奥様のものでしょうか?いいえ違います。
どういう事なの?あなた。
申し訳ありませんが署のほうまでおいでいただけますか?あなた…。
何でもない。
心配するな。
やっぱり…あんたが辰之助さんを殺したんやな!違います。
主人はそんな事してません!ほな何で警察が連れて行くんや!お話を伺うだけですから。
辰之助さんを返せ…。
あんたなんか殺したる!やめなさい!ご同行願います。
主人は…主人は人なんか殺してません!絶対!絶対人なんか殺してません!みんなわかっています!真太郎さんはそんな人じゃないってみんなわかっていますから!うっ…あなた!勇太君元気になったみたいね。
お稽古もやってるの?ううん。
本当はあの子にも二条流の稽古続けさせてやりたいんだけど。
辞めさせるの?踊りの世界からは離れようかって思ってるの。
いろいろあったしね…。
早く犯人見つけなくちゃ。
やっぱりうちの人は殺されたの?その可能性が高いの。
犯人は誰!?真太郎さんが疑われてるの。
嘘よあの人はそんな事する訳ない。
真太郎さんはそんな人じゃないわ。
恭子…。

(転倒の音)あっ。
大丈夫!?よいしょっ。
起きれる?どこ?ここ?勇太君これどうしたの?何でもないよ。
これはお稽古でついたのよ。
だから心配しないで。
お稽古で?うちの人教え方が厳しかったから。
でもちょっとやり過ぎじゃない?うちの人もそうやって家元に鍛えられたんですって。
おいどうした?ほら。
考えれば考えるほど真太郎さんが犯人とは思えないんですよね。
だってわざわざ特殊な帯揚げを使うのは変だもの。
うん…まあそうだな。
犯人にとって猿ぐつわが外れた事は予定外だったはず。
私達もそのせいで翻弄されたけど犯人は外れるとは思っていなかった。
真太郎さんの犯行に見せかけるつもりだった。
その可能性はあると思いませんか?例えば…姫香さんとか。
辰之助さんが死んで真太郎さんが捕まれば二条流の家元は姫香さんという事になるでしょ。
うふふ。
さあさあ…。
飲む時くらい仕事の事は忘れなさい。
そうだよね!パーッとやっちゃうか!うん。
ねっ!おいおい…。
あっははは!ふふふっ!よいしょよいしょ…はい。
よいしょよいしょ…よいしょ。
はあ…ふふっ。
いつも本当にありがとう。
何ですか急に。
気色悪い。
私が言ったんじゃないよ。
今のはね円城寺さんが言ったんだ。
りつ子君の親代わりをしてくれて本当に感謝していると思うよ。
ふふっ…うちにはこんな事しかできへんし誰にでもできる事しかしてへんわよ。
私にはできないよ。
その代わりりつ子ちゃんを一人前に育ててるやない。
円城寺さんとの約束だから。
まだまだ先が長いよ。

(美保子)美晴さんおはようございます!あなたが亡くなった家元の実のお子さんだという証言をされてる方がいるんですが本当でしょうか?知りません!
(美保子)「あなたのお母様の親友の証言なんですが」「どなたの事かわかりません」「美晴さん一言お願いします!」「美晴さん!」「一言お願いします!」「一言お願いします!」「美晴さん!」「美晴さん!」「跡継ぎ問題に揺れる二条流にまた新たな後継者候補が現れたと言っていいのではないでしょうか」どうなってんの?帯揚げは自分が特注で作らせたものだって認めたわ。
でもいつの間にかなくなっていたって。
誰のために作らせたかは言おうとしない。
真犯人は別にいて真太郎さんに罪を被せようとしてるのかも。
あんたに言われなくてもそっちも調査中。
二条真太郎が捕まれば一番得をするのは今のところ二条姫香だからね。
辰之助を殺されたって怒ってたけどあれは真太郎に罪を着せるためのカモフラージュ。
真太郎が捕まれば二条流は姫香のもの。
動機は十分にあるわ。
あっテレビ見ました?あっ家元の隠し子!二条美晴にも動機があるって事よね。

(囃子)お見事ですね〜。
さすが家元の実の娘ってところかしら。
何の事でしょう。
本当の事を教えてくださいよ。
ワイドショーの言う事なんか信じないでください!こっちは迷惑してるんです!なぜ名乗り出ないんです?だから私は違いますから!
(メールの受信音)真太郎さん…。
恵美さんさっきご主人から連絡があってちょうどお宅へ伺おうとしてたところなんですよ。
えっ?主人釈放されたんですか?ええ午前中に帰られましたよ。
よかった…。

(恵美)主人りつ子さんに何の用なんやろ?さあ…恭子の事かしら?恭子さん二条流を離れるつもりみたいえ。
ええ聞きました。
うち恭子さんの事でちょっと思い出した事があるの。
思い出した?着いてからお話するわ。
見てもろたほうが早いし…。
どうぞ。
きゃーっ!あなた!あなた…!・
(足音)新しい足跡ですね。
犯人のものかもしれませんね。
石膏とっといて。
はい。
でもそもそも何であんたがここにいたのよ?真太郎さんに呼ばれたんですよ。
あっ他にも呼ばれた人間がいるようです。
これ二条真太郎の携帯なんですけど1時間ほど前に名前が登録されてない相手に送信されてます。
アドレスから割り出せますね。
うん…。
そいつがここから逃げて行った犯人の可能性が高いわね。
あっ検問は?すでに張ってます。
近辺の不審者も捜索中です。
そう。
花瓶で殴ったようですね。
ああ死因はこれで間違いないようだな。
何でしょうか?どれ…?ああ〜離婚届よ。
色でわかるの。
経験者?うるさいわねぇ。
あっ今日の日付になってる…。
二条真太郎が離婚届取りに来たかどうか確認して。
わかりました。
りつ子君指紋採取。
はい。
指紋ゲット。

(鞍馬)二条流もこれで終わりやな!この家の様子を伺ってました。
職質しようとしてたら逃げようとしたんで連行しました。
あっ!
(鞍馬)どけ!今度は真太郎が殺されたんやてな。
俺の代わりに誰かがやってくれたわ!ははは!連れていきなさい!はい。
失礼します。
あの…何か心当たりがあると伺ったんですが。
事件と関係あるかどうかはわからへんけど…。
刑事さんが持ってきはったあの帯揚げどっかで見た事があると思て…。
昨日思い出したんです。
失礼します。

(送信音)
(メールの受信音)りつ子…。
恭子本当の事を教えて。
私は知らない。
どうして真太郎さんは恭子を呼び出したの?わからないわ。
事件と何か関係あるんでしょ?知らないの。
恭子…このままじゃ署に来てもらう事になるのよ。

(勇太)お母さんを連れてかないで!大丈夫だから…勇太何も心配しないで。
ママが守ってあげるから。
どこにも行かないからね。
真太郎さんが自宅に来てほしいとメールを送った相手は恭子さんあなたですね?はい。
でも勇太もいるし結局行きませんでした。
それじゃあこの帯揚げは?私のです。
真太郎さんからいただきました。
でもいつの間にかなくなってて。
真太郎さんは辰之助さんを殺したのはあなただと知ってあなたをかばった。
なのにあなたは自分の罪が発覚する事を恐れて真太郎さんまで殺してしまった。
違います。
ご主人の浮気が許せなかったんでしょ。
違います!正直に話してください。
(恭子)ホントです。
私じゃありません!心配しないで。
大丈夫だから…。
勇太君ちょっとごめんね。
離婚届に付いていた指紋は真太郎さん本人のじゃありませんね。
恭子のとは?照合するために指紋を手に入れないと。
どうした?真太郎さんの殺害現場に残っていた足跡と恭子さんの靴が一致するかどうか調べるように言われてるんだろ。
このままじゃ恭子は連続殺人犯になっちゃう…。
バカもん!お前の気持ちで真実というものは変わるものなのか?いいえ。
だったら真実を見つけろ。
それがお前のなすべき事じゃないのか。
はい!
(姫香)あんた最後の最後になって自分が実子やって言い出すつもりなんやないの?そんなつもりはありません。
どうやろ…?真太郎さんかてあんたが殺したんやないの?姫香さんこそこれで家元を継げると思ってるんじゃないんですか?何やて…!?ええか?たとえあんたが家元の子供やって言い張ってもうちは絶対認めへん!新しいものは見つかりませんね。
諦めないで!
(ため息)ねえこれ何かしら?これじゃあお手上げですね。
いいえ。
諦めないわよ。
赤外線スキャナーね…。
真っ黒に炭化した文字でも読み取っちゃうんですよ。
知り合いから特別に借りてきちゃいました。
もう能書きはいいから。
姫香恭子美晴…。
この3人が怪しいのは間違いがないのよ。
あとは物証なんだからね。
高坂指紋の照合はどうなってるんだ?もうちょっと待ってください。
もっとテキパキできないの?あんた達はもう…。
そんなに焦らないでくださいよ。
証拠になるかどうかは調べてみないとわからないんですから。
これは…。
りつ子さんこれ見てください!一致したのか?誰!?誰の指紋だったの?やっぱり…。
勇太…。
ごめんね。
ごめんね…。
お忙しいところ申し訳ありませんでした。
また何か起こったんですか?はい…。
海老原勇太君をお願い。
勇太向こうで遊んでもらって。
勇太君遊ぼうか。
ねっ?さあおいで。
皆さんもご承知のように家元の死は不幸な事故でした。
でも辰之助さんの死は家元の事故に似せた殺人事件です。
そして真太郎さんを殺したのも同一人物…。
今回の事件は一見跡目争いのように見えますが実は痴情のもつれからくる連続殺人事件だったんです。
その証拠をこの円城寺が見つけました。
誰なん…?やっぱりこの中にいるん?恭子…。
あなた真太郎さんと不倫してた。
そうね…?囲炉裏の中から真太郎さんの手紙が見つかったの。
それに書いてあったわ。
そんな…嘘でしょ?ごめんなさい!信じられへん…。
あの人がうちを裏切る訳あらへん。
そんなつもりじゃなかったんです。
最初は相談に乗ってもらっただけで…。
それはどういう相談事だったんです?それは…。
辰之助さんは勇太君を虐待していましたね?勇太君の体にアザがいくつもあるの見てしまったの。
あれは主人が踊りの稽古で勇太に厳しく当たったせいで…。
あれは稽古でできたアザじゃないわ。
どうして本当の事言ってくれなかったの?他の人に知られる訳にはいかないの。
主人は二条流の家元になる人間なのよ。
それじゃ勇太君はどうなってもいいんですか!?それで真太郎さんに相談したのね?真太郎さんはうちの人にそれとなく注意してくれた…。
人の家庭の事に口を出すな!見過ごす訳にはいかへんやろ。
脅すつもりか。
えっ?二条流を継ぐのは俺だ。
お前なんかに渡さんぞ。
(恭子)それ以来2人の仲は険悪になってしまって…。
真太郎さんにも申し訳なくてもう顔向けできないと思ってた。
でもその後も真太郎さんは何かと気にかけてくれて…。
それがいつの間にか…。
真太郎のせいやって言うつもり!?違う…違います。
悪いのは私なんです。
そうや。
あんたが悪いんや!ほんなら…恭子さんが犯人やの!?違います!私じゃありません。
りつ子そうでしょ?何とか言って!犯人は…。
辰之助さんを殺したのも真太郎さんを殺したのも犯人は…。
辰之助さんを殺したのも真太郎さんを殺したのも犯人は…。
恵美さんあなたですね。
あんたが辰之助さんを殺したん!?そんな…。
アホな事を言わんといてください!恵美さん。
あなたは恭子が使っていた帯揚げで真太郎さんとの不倫に気づいたんですね。
蓮美屋の特注品。
それはご主人が特別な人にしか贈らない物…。
あなたは悔しさのあまりそれを持ち帰ってしまった。
そして証拠として真太郎さんに突きつけるつもりだった。
でもできなかった。
言えば彼が自分から離れてしまうようで怖かった。
だから辰之助さんに何とかしてもらおうと思った。
恭子の夫である辰之助さんもいわば被害者だから…。
でも恐らく辰之助さんは逆に真太郎さんを脅す材料ができたと喜んだんじゃないですか。
困ったあなたは辰之助さんを殺してその罪を恭子さんに被せる事にした。
そうすれば真太郎さんは自分のところに戻ってくるし真太郎さんが家元になる事もできる。
家元の死に便乗しそれに似せれば自分に疑いがかからないと思ったんじゃない?死体を運んだあなたは持ってきた不倫の証拠の帯揚げで猿ぐつわをして死体を川に落とした。
でも自然がそうはさせてくれなかった。
猿ぐつわが流れによって途中で外れてしまったんです。
ちょっと待ってください。
そんなん憶測にすぎひんわ!いいえ。
あの日あなたは間違いなく誰かと待ち合わせしていた。
ええちょっと遅れそうなんです。
すみません。
あの後辰之助さんを殺すために清滝に向かったんですね。
いい加減にしてください!何でうちが…。
離婚届が教えてくれました。
真太郎さんが握りしめていた離婚届の切れ端には真太郎さんが殺害された日の日付が記入されていました。
そやからどうしたっていうんです。
真太郎さんは離婚を言い出したんじゃないですか?離婚届や。
あなたは何とかして真太郎さんを思いとどまらせたかった。
説得するつもりが…。
思わず真太郎さんを…。
すべて恭子のせいだと思ったあなたはこの罪も恭子に被せて苦しませてやろうとした。
あなたは真太郎さんのふりをして彼の携帯からメールを打って恭子と私を呼び出した。
そうやって私を仕事場へ連れて行き…。
あたかも恭子が真太郎さんを殺した現場に2人で出くわしたように見せかけようとしたんです。
離婚届にあった指紋とあなたの指紋が一致したんです。
そんな離婚届知らんわ。
その離婚届は真太郎さんが署からの帰り区役所でもらったものだという事が確認されています。
役所に勤めていたお弟子さんが見ていたんです。
あなたは私と署の前で会った時真太郎さんが釈放された事を知らないと言った。
主人釈放されたんですか?ええ午前中に帰られましたよ。
それが本当ならその日真太郎さんが持ち帰った離婚届にあなたの指紋が付いているはずがないんです。
でも付いていた。
という事は真太郎さんが死んだ時あなたはあの部屋にいたという事なんです。
どうして…。
どうして真太郎さんを殺したりしたの?全部…あんたのせいやない。
うちはずっと真太郎の事を愛してきた。
真太郎もうちを愛してくれていた。
とても幸せな毎日やったのに…。
すべてをあんたが壊したんや!何で…?あんたには夫も子供もいるやない…。
あんたになんかあの人を渡したくなかった。
絶対に渡したくなかった…。
そやからうちあんたにとられるくらいならいっそ…。
恵美さん最初から真太郎さんを殺すつもりで?それしかなかったんや…。
愛してたからそうしたん。
うちがあの人を取り戻すにはそれしかなかったんや…。
ここに真太郎さんの気持ちのすべてが書いてあります。
囲炉裏の中で炭になっているのを復元したんです。
手紙…?そう。
真太郎さんが恭子に宛てて書いたものです。
(真太郎)「ずっと考えて決めた事や」。
「僕は妻の元へ戻る事にするよ」。
「家元が亡くなった今辰之助が家元を継ぐやろう」。
「そうなったら君は家元夫人や」。
「二条流のためにもこれ以上関係を続ける事はできひん」。
「今までホンマにありがとう」。
「そしてさようなら…」。
真太郎さんは家元が亡くなった事で恭子との関係を清算しあなたの元へ戻るつもりだったんですよ。
だけどその手紙は出される事なく囲炉裏の中で灰となった。
辰之助さんが死んだからです。
1人になってしまう恭子さんを放っておけなかったんでしょう。
それで真太郎さんはあなたとの離婚を決意した。
もしかしたら二条流家元の襲名も辞退する気だったんじゃないかな。
すべてはあなたが辰之助さんを殺したために起こったのよ。
あなたは真太郎さんを取り戻そうとして逆に手の届かないところまで追いやってしまった。
何で?何で辰之助さんまで巻き込んだんや…!2人の事を相談したら辰之助さんはこれで離婚ができる。
真太郎も家元にはなれへんやろって喜ばはった。
そんな事になったらうち…。
うちは…真太郎の事を愛してただけや。
他にどないしたらよかったん…!許せへん…。
あんたは人の幸せを…!待ちなさい!あなたには彼女を責める資格はない。
自分だけしか見えていない愛は本当の愛じゃないんじゃないかな。
幸せというものは人の不幸の上には決して成り立たないものなんですよ。
勇太…ママを許してね。

(囃子)美晴さんのDNA鑑定の結果が出たそうだ。
家元の子供と正式に認められたらしい。
二条流のお家騒動もこれで一段落ですね。
そうだな。
挨拶終わった?うん。
美晴さんきれいだったね。
これからは彼女が二条流を立て直してくれると思う。
ねえどうして隠し子だって申し出なかったのかしら。
二条流のためよ。
自分が名乗り出て余計な波風を立てるのはよくないって思ってたらしいの。
でもこうなったら隠れてはいられないか。
はい。
今の二条流をまとめられるのは彼女だけです。
恭子はこれからどうするの?二条流とは全然関係のない世界で生きていこうと思ってる。
この子と一緒に自分だけの力で生きていく。
恭子なら大丈夫。
いつだって力になるから。
私はいつでもパートナーのつもりよ。
ありがとう。
じゃあ失礼します。
はいさようなら。
今度こそ幸せになってほしいな。
大丈夫。
確かに恭子さんは間違いを犯した。
だがもう勇太君を悲しませるような事はしないだろう。
これでよかったんですよね。
ああ。
物証が物語る真実は時に残酷で悲しい。
でもだからといってそれから目をそらす訳にはいかない。
残酷な真実が人を立ち直らせる事もあるんだ。
それが私達鑑識の仕事だよ。
はい!高坂君こっちも!
東京都内のスタジオ
ここで舞台稽古中のある俳優を訪ねました
2015/11/17(火) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
京都南署鑑識ファイル 嵐山〜保津峡日舞家元殺人[再][字]

嵐山〜保津峡、日舞家元殺人!不倫・愛憎・跡目相続…女たちが闘う!赤外線センサーが暴く灰の真実!!

詳細情報
◇番組内容
鑑識の仕事をこよなく愛する、田中美里演じる女性鑑識官の粘り強い捜査にご期待ください!
◇出演者
田中美里、小林稔侍、黒田福美、茅島成美、上原さくら、神保悟志、北原佐和子、池田万作、伊東孝明、井田國彦 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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