NHK短歌 題「友人」 2015.11.17


「NHK短歌」司会の剣幸です。
今日もご一緒に短歌を楽しんで下さい。
それでは早速ご紹介致します。
今日のゲストはスポーツキャスターの宮下純一さんです。
ようこそお越し下さいました。
よろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
宮下さんといえば北京オリンピック競泳のメダリストでいらっしゃいます。
バリバリの体育会系ですよね。
はいそうですね。
短歌はいかがでしょうか?短歌は詠んだ事ないんですけど高校時代に俳句でですね大賞に選ばれまして地元鹿児島に句碑が建ってるんですよ。
高校生の時の話なんですけども水泳の句で「声援がしぶきにぬれて泳ぎ切る」という。
うわ〜すごいダイナミックな!「泳ぎ切る」っていうところがいいですね。
躍動感があって。
声援がしぶきにぬれて一緒に泳ぐみたいな感じで詠んだんです。
でも昔の話なんで。
短歌は初心者ですので是非今日は勉強したいなと思ってまいりました。
栗木さんと私はこんなイケメンが来て下さるのはいつもうれしいこの週という感じすいませんほんとに。
そんな短歌もお作りになる宮下さん今日は俳句を…俳句じゃない短歌を。
逆でした。
同じようなもんですから短歌も俳句も。
楽しんで頂けたらと思います。
楽しんでいきたいと思います。
そんな宮下さんにはこんな形で参加して頂きたいと思います。
えりちょす!はい!アシスタントのえりちょすと申します。
よろしくお願いします。
それでは札をお願いします。
今から栗木さんが選んで下さった入選九首をご紹介します。
その中で一番いいなこれが一席だなと思うものを我々3人が予想します。
予想するわけですね。
事前に見て頂いていると思いますので一番いいなと思った歌のあとに札を挙げて頂きたいと思います。
よろしくお願い致します。
それでは今週の入選歌のご紹介です。
栗木さんが選んだ入選歌はこちらです。
一首目です。
「一人は才女、一人は幼女」というこの対句がとてもリズミカルでこれによって弾んだ気持ちが伝わってきますよね。
多分世代もかなり幅広く五人友達がいるんでしょうね。
とても和やかな友人関係が想像できます。
では次です。
はい!選びました。
これ私も大好きです。
これいいですね。
上の句のおでんの話で待ってる感じが伝わってきていいなと思いました。
今の寒い季節ですよね凍えて帰ってくるところを準備して…。
大根が楊枝が通って煮えた今来てほしいっていう待ちわびた感がありますよね。
皆さんおっしゃったようにね上の句に待つ時間の至福感というんですかねおいしいもの食べさせたいっていう気持ちが出ててそれが友への愛情になってますよね。
何か匂ってきますね。
おなかすいてくる感じですね。
では次です。
これまさに僕今高校時代まで通ってたスイミングが焼き肉屋さんに変わっちゃってて全くプールがあった景色はないんですけれどもその時に泳いでた仲間と行くとこのぐらいの位置でターンしたよねとか全然違うんですけど思い出がそのままよみがえってくるのでまさにそれと重なりましたね。
仲間と一緒に行ったから思い出がはっきりと浮かぶというところがこの歌でもポイントで教室を思い出すんじゃなくて部室や生協ばっかり思い出す。
そういうとこばっかり覚えてるんですよね。
そこが青春なんですかね。
では次です。
これ木ってありますけど石川木さんですよね?そうですね。
明治の歌人の。
人間嫌いだったんですか?わりと友がみんな自分よりも偉く見えるみたいなねちょっとひねくれた歌もあったりして人間嫌いかなっていうふうな印象を持たれがちなんですが実は木はとっても厚い友情に支えられた人なんですよね。
20代半ばで亡くなってしまうんですけれども最後亡くなる時も友人たちに手厚く看取られながら亡くなった。
そういう人生を思うとね人間嫌いじゃなかったというところに共感を覚えました。
では次です。
友達って自分の事客観的に見てくれるので自分では気付かなかったいろんな面を発見してくれるありがたい存在なんですよね。
その友達がくれたものを自室にちゃんと置いているっていうその作者の素直さというか初々しさがいいなと思います。
では次です。
はい!これ実際経験が僕もありまして小中高一緒だった女の子最初の頃友達だと思ってたけどやっぱり恋心が生まれてきて戻れない橋だけれどもアタックしようと思って砕け散りました。
もったいない事を…。
甘い思い出ですね。
ほろ苦い思い出を重ねながら…。
決断したところを「戻れない橋」というふうに例えた。
ここがいいんですね。
これによって一つの短歌の言葉として成立したなと思います。
では次です。
ありますね。
経験ありますか?こちらでは蜂ですけれど僕はカブトムシと同じ感覚でクワガタムシを触って挟まれて裏切られたっていうのありますけれど。
結構痛いですよね。
えりちょすは?やっぱり成長と共に昔は全然触れてた虫だったりとかオタマジャクシも今はちょっと触れなかったりとかっていうのがあるので…。
まあこの方は蜂に裏切られちゃったというね。
「間違いを知る」ってこう生真面目に言ってるところに幼い日の痛手の深さっていうのが表れていると思いますね。
では次です。
はい!これも深いですよね。
私も自分の友達で亡くなった何人かいるんですけど何かその彼女が使ってたものとか聴いてたものを聴くとあれ?感覚が違う。
そうだ!私だけ年取ってるんだとか大人になっちゃったんだっていうのは切ないのがすごくよく分かります。
「BGMに」っていう表現がとてもいいなと思ったんですね。
自分がだんだん重ねていく歳月の背後でいつも友の好きだった歌が流れている。
そして友への思いも消えずにつながっているっていうね。
とてもロマンチックで剣さんに歌にして歌って頂きたいような感じ。
はいでは九首目です。
これもかわいいですね。
分かりますね。
心細いんで石ころを自分の心の友としてね支え合ってるんでしょうね。
だから石ころといっても侮れない。
何かかわいらしくて抱きしめてあげたくなるような歌ですね。
以上入選歌でした。
それでは特選の発表です。
では栗木さん三席をお願いします。
岡村千代子さんです。
出ないですね。
出てません出てません。
では二席お願いします。
山崎史織さんです。
まだ残ってますよ。
まだ残ってます。
それでは一席をお願いします。
水出光男さんの歌です。
当たりました!難しいんで…いつも。
でも多くの方が共感できる内容ですね。
茨城から友達が来るっていうところもなかなか味わいがあって茨城って野菜の産地で友達は多分口が肥えてると思うんですよね。
まずい大根は出せないぞみたいなその気合いも感じられて茨城っていう地名が効いてるなと思いました。
さて今回も私懲りずに「友人」で作ってみました。
こんなものでございます。
水族館の句なんですけどマンボウって大体大きな水槽に1匹だけなんですよ。
だから少女が不思議に思うか自分も寂しいのかよく分かりませんが今見せる水族館がはやっているので光がきれいだなというのを詠んでみたんですけどいかがでしょうか?宮下さん。
これは独りぼっちで寂しいなという感じを詠んでると思うんですけど僕は小さい頃マンボウを見てこんなに大きな水槽を一人で泳いでる。
自分のプールがあっていいなというふうに思ってたのでちょっと感じ方やっぱり違うなというふうに。
やっぱり水泳なさる方の視点は…。
泳ぐという事と魚が重なるわけですか?スイマーならではですね。
これね結句のね「水のプリズム」というところがね私だったら「水の輝き」とか「水のきらめき」ぐらいでまとめちゃうと思うんですけど「プリズム」という言葉によって情景がワ〜ッと輝きを増しますよね。
広がりますね。
とってもいいんですけどあえて1か所直すとすると「問う少女」「水のプリズム」って2か所名詞で切れてるでしょ?それがややリズムが窮屈なんですよね。
ですからね「問う少女」というところを「ともだちいるのと子が問えば」ぐらいにつながる形。
どう変わるんだろう?「少女」っていうのがそうすると言えなくなるのでちょっと残念なんですけど子供の無垢な感じが出ますかね。
こうなりました。
なるほど流れができました。
よく分かります。
ありがとうございました。
でも非常に完成度の高い…。
いやとんでもないです。
懲りもせず来週もまた作ってまいりますのでどうぞよろしくお願い致します。
続いては「入選への道」。
投稿作品にこうすれば入選に近づくというポイントを伺います。
今日の歌は?これまさに僕2か月前に骨折して入院を人生で初めてしたんですけれども入院してる人の身ってなってみないと分からないものでまだ病院食を食べてるのに友達はいろんなシュークリームとか食べたらいけないものを持ってきてみたいな…。
ほんとに感じられる歌ですね。
本当にそういう繊細な心情を詠んだいい歌なんですけど助動詞の使い方でちょっと気になったところがあったので直してみました。
最後の「いたやもしれぬ」というところの「いた」というのが口語でそのあとの「やもしれぬ」が文語なんですね。
それが混在した表現になってるところがやや気になる。
ですから「いしやもしれぬ」というふうに文語でまとめた方が無難だと思います。
それから上の句の方の「見舞い来し」というところ「見舞う」と「来る」というのが合わさった表現動詞が2つあってややうるさい感じがするので「見舞いたる」という「たる」という助動詞ですっきりまとめた方がいいかなと思います。
ありがとうございました。
どうぞ短歌作りの参考になさって下さい。
ここで投稿のご案内です。
続いては選者のお話。
栗木さんのテーマ「心の動きをうたう」。
悪友ってすてきですよね。
むしろ親友よりも悪友という方が濃密な関係があるみたいで心の本当の底と底でつながり合っている感じがします。
そして女性よりも男性の方が悪友が似合うような気もするんですよね。
この歌の「おしなべて」というのは「おおよそ」とか「一般的に」という意味なんですが女性である作者が男性を見ておよそ男の人っていうのは悪友がいていいな羨ましいなというふうに思っている。
そのまなざしの眩しさみたいなのがこの歌にあって歯切れ良い歌なんですけどね。
そこに温かさがあるっていうところがすてきな歌だなと思います。
宮下さんこういうお友達いらっしゃいますか?悪友と表現するのか分からないですけど水泳人生で培ってきたライバルたちですよね。
プールの中ではバチバチ火花を散らしてますけど試合が終わったら飲みに行ったりしながら「水泳の話やめようぜ」って言って飲むんですけど結局水泳談議に花が開くっていう。
一つの事を一緒に頑張ってきた仲間っていうのがやっぱり。
苦しみも一緒に耐えてきたっていうところで…。
何か戦友って感じ。
ほんとおっしゃるとおり。
戦友っていうような感じかもしれないですね。
それでは次のコーナーです。
栗木さん今回は?今回はオノマトペについて学んでみたいと思います。
オノマトペ…。
えりちょす知ってますか?雨の音のザーザーだったり犬の鳴き声のワンワンとかそういった音ですよね。
簡単に言うと音とか様子を文字にして表したものをオノマトペって言いましてオノマトペの中にもいろんな種類があるんですけどね今回は「擬音語」というのについて取り上げてみたいと思います。
例えば宮下さんが水泳をなさる時のそれを音で表すとどうなりますかね?ありきたりですけどバシャバシャとかそんな感じですかね?私なんかだとブクブクブクってなっちゃうんですけどリズミカルなバシャバシャそういうような人間とか物が実際に出す具体的な音の事を擬音語というふうに言って場面がありありと浮かびますね。
説明するよりその方が映像がはっきり目に浮かびますね。
短歌で使うとねとても効果を上げる事が多いんです。
また例によって穴埋め問題を考えながら…。
センスが試されるやつじゃないですか。
楽しいんですよすごく。
正解があるわけじゃないですから自分の感覚でね。
まず一首目です。
これももう…。
食べたくなる。
何か例えてるわけですね。
実際はまぐりは笑いませんけど笑うとしたらこんな声を出すんじゃないかなという。
宮下さんお願いします。
私はこちら「ブクブク」ですね。
お願い致します。
「はまぐりがブクブク笑ひえび踊りねぎが笛吹く寄せ鍋の中」。
鍋のつゆの中なので笑い声は聞こえないのでブクブクってこらえてるような感じかなっていうので「ブクブク」にしました。
私は「クツクツ」。
ああ〜クツクツ。
「はまぐりがクツクツ笑ひえび踊りねぎが笛吹く寄せ鍋の中」。
鍋が煮えてる感じがしますね。
動いてるような感じもしますね。
えりちょすは?はまぐりで貝なので開く感じが「ブワッと」。
ブワッとってこんな感じですか。
開く感じで。
「はまぐりがブワッと笑ひえび踊りねぎが笛吹く寄せ鍋の中」。
どれもおいしそうなんですがえりちょすのが一番近いかな?正解はね「はまぐりがワハッと笑ひ」。
ああ〜!やっぱり開く感じですよね。
ですからフフフとかおとなしい感じじゃなくてちょっと動きがある方が…。
短いけどものすごく言い得て…。
はまぐりがみんなが見守ってる中パカッと。
はまぐりってアサリなんかに比べて豪快ですからね。
効果が出てるって事ですよねそれによって。
情景が分かりますもんね。
おいしそうな匂いは開いた瞬間に立ってる感じしますね。
二首目いってみましょう。
2階にいる娘さんに電話がかかってきて下から呼ぶと電話に出ようと思って階段を下りてきたんです。
「象かとおもふ」辺りがねヒントかなと…。
これ私いいですか?先に。
はい。
音が「ドダドダダ」。
「家娘電話に出むとドダドダダ階段くだる象かとおもふ」。
ちょっと勢いがある感じ。
楽器を鳴らしてる感じしますね。
ちょっと難しかった。
私はもう象なんでこれしか出てこなかったんですけど女性に言っていいのかな?「ドスドスと」という感じですかね。
「家娘電話に出むとドスドスと階段くだる象かとおもふ」。
私はこれです。
「のっしりと」。
ものすごく優雅に下りてきた。
おっとりした娘さんね。
「家娘電話に出むとのっしりと階段くだる象かとおもふ」。
皆さんなかなかいいとこ突いてるんですが正解は「電話に出むとどどどどと」。
「どどどどと」「ど」だけで…でも近い感じしますね。
やっぱり年頃の娘さんなのであんまりドスドスまでいくとちょっと気の毒かなというふうな。
「どどどど」っていう勢いも感じますよね。
全然違いますね。
微妙なところなんですよね。
片仮名か平仮名か辺りも微妙なところですね。
お父さんが娘さんをどう思ってるかみたいなのもちょっと出ますよね。
ではもう一首いってみましょうか。
いい当たりなのかボテボテなのかにもよりますね。
プロ野球を見てるのではないという感じがヒントかなと思います。
こちらです。
「カツンカツ」っていう。
「学校の裏手をゆけばカツンカツ金属バットがたまを打つおと」。
いい当たりのような感じするんですけども裏手でやってるんで必死にバントの練習をしてるコソ練をしてる感じの…。
カキーンっていう感じじゃなくてカツカツっていう感じですね。
では私はこれです。
「キンコンと」。
カーンと行かないまでのカツンカツと同じ感じなんですけど。
「学校の裏手をゆけばキンコンと金属バットがたまを打つおと」。
非常に皆さん繊細に。
似ちゃいますね私も。
「キンキンと」冷えてるみたいなんですけど。
カキーンと行かない感じが。
そうなんですよね。
正解はね「からりんと」。
とっても軽やかだったんですよね。
ですからこれは音だけで聞いてるので多分高く上がったという感じじゃないかなと思うんですね。
現場を見てないので裏手を通っても聞こえるというのは割合飛距離があるけれどもそれほど鋭い当たりではない。
でもこれも正解があるわけではないですのでね。
いかがでしたか?今日は。
やっぱり深いですね。
選ぶもので感じ方も変わってくるのでまた俳句と違った感じがして短歌やってみたいなと思いました。
是非俳句作ってらっしゃるんだったら短歌もまたたくさん作って頂けたらうれしいなと思います。
やっぱりアスリートならではの体を通した表現というのがとてもすばらしいと思うんですよね。
そろそろお時間となってしまいました。
宮下さん今日はお忙しい中ありがとうございました。
ありがとうございました。
勉強になりました。
それではまた来月この時間にお目にかかります。
2015/11/17(火) 15:00〜15:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「友人」[字]

選者は栗木京子さん。ゲストはスポーツキャスターの宮下純一さん。短歌初心者の宮下さんと一緒に擬音語の効果的な使い方について学習する。題「友人」 司会 剣幸

詳細情報
番組内容
選者は栗木京子さん。ゲストはスポーツキャスターの宮下純一さん。短歌初心者の宮下さんと一緒に擬音語の効果的な使い方について学習する。題「友人」。【司会】剣幸
出演者
【ゲスト】宮下純一,【出演】栗木京子,【司会】剣幸

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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