昔むかしあるところに若い夫婦が住んでおった。
2人の間には子供がいなかったので住吉様に指先ほどの小さい子でよいからお授けくださいとお願いした。
すると十月目にかわいらしい男の子が産まれた。
名前を一寸法師と名づけ2人はたいそうかわいがって育てた。
一寸法師は村の子供たちにもかわいがられ仲よく遊んだ。
しかしあまりにも小さいのでときどき置いていかれた。
子供の足でそう遠くない場所でも一寸法師にはひと晩歩く距離だった。
一寸法師はカエルやスズメとも仲よくなった。
スズメはよい話し相手だった。
(一寸法師)うえ〜んもう嫌じゃ。
オラみんなみたいに大きくなりてえ。
うえ〜んオラだけ違う!いつも置いてきぼりじゃ。
お前は確かに小さい。
でも大切なことはお前がどうありたいかだ。
それはお前が決めるんだ。
オラ…オラ強くなりてえ。
誰かを守るくらいの男になりてえ。
誰かの役に立ちてえんだ。
そうか。
ではその気持を持ち続けるんだ。
一寸法師は初めて自分の志を持った。
父ちゃん母ちゃんオラ侍になることに決めました。
都に行かせてください。
あくる日一寸法師は1本の縫い針を腰につけお椀に乗って旅立った。
いってまいります!お前なら侍になれる。
達者でな。
(いびき)あっ…おぉ〜都だ。
はぁ〜。
あっよいしょ。
一寸法師は都でいちばん大きな屋敷に来た。
どうぞ私をここで侍として雇ってください。
屋敷の主は小さな男を見ておもしろく思い屋敷に置くことにした。
一寸法師は書や和歌武術を習いまたガマガエルに教わった万物のことわりを主に教えた。
和歌の才能もあったので姫の相手も命じられた。
よろしくお願い申し上げます。
どれどれ?ふ〜んお前が一寸法師か。
は…はい私めが一寸法師でございます。
私が姫をお守りいたします。
一寸法師は姫に気に入られ毎日一緒に時を過ごした。
そんな一寸法師を快く思わない家来たちもいた。
ハハハ。
一寸法師のやつ姫様に猫や子犬のように扱われているのに「私が姫をお守りします」じゃと。
(2人)ハハハハ!お前がどうありたいかだ一寸法師はぐっとこらえた。
ある日お姫様は観音様にお参りにいきました。
一寸法師や私がお前を手に乗せて歩きましょう。
いえ私は護衛ですから歩きます。
フン…はっ!はっ!なっ何事じゃ!?大丈夫でございます。
姫私の後ろに。
私の後ろに。
グエ〜そこの娘をもらおうか。
き貴様!姫はわた…渡さんぞ。
お前はどけ〜!フッフッフッ。
(一寸法師)待て!ん?姫様はこの一寸法師がお守りする。
かかってこい私が相手だ。
ん?う〜ん。
グハハハハハハ片腹痛いわ。
おもしろいお前が姫を守るというのか。
どれどれ?うわぁ〜!一寸法師!一寸法師は鬼に飲み込まれ胃袋に落ちていった。
《あ〜オラ食べられた!わぁ〜》《父ちゃん母ちゃんごめん。
オラこれまでだ。
ちっぽけで何の役にも立たんかった。
バカにされてこのまま死ぬんだ。
でも誰かの役に立ちてえんだ。
オラ最後まで…》戦うんだ!グヘヘヘヘヘ。
キャ〜。
や〜っ!一寸法師は腹の中で暴れ続けた。
うぅ〜イテテテテテテ!鬼はたまらず一寸法師を吐き出した。
姫様!一寸法師よくやってくれました。
これは?これは打ち出の小槌といって1つだけ願いが叶う小槌じゃ。
姫様オラは姫様を守るという願いが叶いました。
どうぞ姫様が使ってください。
いいのですか?はい。
それでは…せいでろせいでろ。
おぉ私の体が。
姫様なぜ自分の願いを叶えるために使わなかったのですか?私は姫じゃ。
欲しいものはありません。
将来の夫以外は。
あ…えっ?一寸法師はその後お姫様と夫婦となり末永く暮らしたそうな。
昔むかし東北のある村で起きた不思議なお話です。
小高い山の上に神社がありました。
冬もだんだん終わりを告げようやく春一番の風が吹く頃のことです。
仲よしの4人の子供たちはいつものように神社の境内で遊んでいました。
うぅ〜どうしようもねえこの風は。
寒い。
けど春一番だ。
春一番?あぁもうすぐ春が来るんだ。
早く春が来るとええなぁ。
鬼は誰だっけ?あっオラだ。
捕まえるぞ〜わぁ〜。
あれ?どうした?あそこ。
柿うまいよ。
食べるか?
(みんな)うん。
けどなんで今頃柿があるんだ?柿は秋の食べ物なのに。
今は秋でもねえのにそんなことあるわけねえ。
それがあるのだよ。
行って見たければ私の着物につかまってごらん。
見てみてえ。
オラも行ってみてえ。
よ〜し。
(みんな)うわ〜。
まず最初は星の川を越えるよ。
わぁきれいだ。
きれいだ。
ほんとにきれいだね。
(みんな)うわ〜果物いっぱいだ。
ほ〜らあっただろ。
私はどこへでもお前たちを連れていけるんだよ。
さぁたくさんたくさん拾ってごらん。
あっ!私は忘れ物をしていた。
えっどうかしたの?お前たちはここで待っていておくれ。
子供たちは不思議に思いました。
果物の林もそして大きな星の川もまるで夢を見ているようでした。
そして若者はそれっきり帰ってきませんでした。
どうするだオラ家さ帰りてえ。
おっかあに会いてえ。
ほらあそこ見て。
明かりが見える家かもしれん。
家の中に人がいるよ。
よかったね。
(戸を叩く音)戸を叩くのは誰だ?子供たちかどうしたんじゃこんな夜に。
(みんな)あ〜!あんのオラたち…。
外は寒いんだからまず家ん中さ入れ。
(みんな)へえ。
お前たちあの子に連れてこられたんだね。
いろいろなところ見てきたかい?お前たちを連れてきたのはそりゃ北風の息子だ。
北風の息子?あの子は何か頼んでもすぐ忘れてしまう。
気のいい忘れんぼさ。
わしらはな風の神の一家なんじゃ。
風の神様?ふ〜ん。
あの変なお兄さんは神様?そうじゃウフフ。
もう1人おる南風の息子がのう。
あったまったら南風の息子に村まで送らせよう。
うめがったか?
(みんな)うんうめがったありがとう。
お〜い。
子供たちどこだ?お〜いお〜い!いたか?いねえどこ捜してもいねえ。
いつも行く神社にもいねえ。
ほんとにどこ行っちまったんだかね?子供たちは。
おっかあ。
おとう。
おぉおめえさたちどこ行ってただ心配かけて。
あのね風の神様に秋の恵みの山に連れてってもらった。
なに風の神様に?へえ風の神様がね。
見ろやこのたくさんの果物。
不思議なことじゃ。
ほらあの人だ。
風の神様南風の神様だ。
さようなら。
いつでも迎えにきますよ。
またおいで。
また行ってみてえな。
オラも。
風の神様早く春を運んできておくれ。
もうすぐ春がきます。
そして夏秋冬と季節が子供たちを育てるのです。
昔むかしあるお殿様がお城の大殿様に伺う日のこと。
おっおっ。
うわっ!コホン。
殿殿。
殿おケガはございませんか?コホン。
コホン心配いたすな。
コホン。
さてその帰り道のこと。
あっあ〜!イテテテ…。
フフ。
コホン。
殿。
殿おケガは?コホンもうよい。
コホン。
《まったく体裁が悪いったらありゃしない》その明くる年。
また大殿様のお城に上がる日がやってきた。
うわうわ〜!イテテテ…。
(笑い声)そういえば去年もここで。
コホン。
(2人)殿。
コホン。
一度あることは二度あるって言うぞ。
今回は三度目だ。
うむひょっとしたら。
そしてその帰り道。
来た来た。
《もう恥をかくわけにはいかぬ》うわうわっ。
うわうわ〜!アイタタタ…。
うぉ…。
殿。
殿おケガはありませぬか?うむ。
去年も今年も行きも帰りも同じ場所で馬から落ちるなどそんなことがあるものなのか誰もが不思議に思った。
やがてその次の年再び大殿様のお城に上がる日のこと。
村人たちは殿様が馬から落ちぬようその辺りを踏み固めきれいにしておいた。
やがて。
うわうわ〜。
うわ〜!殿!殿様!何のこれしき心配無用じゃ。
お殿様お帰りは別の道をきれいにしておきますゆえどうぞそちらのほうへ。
よい気づかい無用じゃ。
は?帰りもこの道でよい。
それでもしわしが馬から落ちたなら何かがここにあるに違いない。
そのときはともに考えてくれようぞ。
はあ。
いよいよ帰り道。
その日は昼前から雪になりいちめんの銀世界となった。
《ここだここにさしかかるとわしの尻がぽんぽんと鞠のように跳ねてなぜじゃ》うわうわ〜。
あっあ〜!
(2人)殿様おケガは?うむん?これは…。
見よ。
(みんな)は?ここだけ雪が積もってない。
なぜだ?何かある掘ってみよ。
(2人)はっ。
あった!
(みんな)え?殿このようなものが。
何じゃ?仏様じゃ。
なんと…この仏像が殿を馬から落としていたのかけしからん!待て。
はっ?わしが仏様の上を馬でまたいだのがいけなかったのだ。
そのようなことをすれば馬から落ちるのも当たり前じゃ。
殿様はこの辺りに地蔵堂を建て仏像を大事に祀ってほしいと名主に金子を渡した。
村人たちは殿様に言われたとおり地蔵堂を建て仏像を大切に祀った。
するとこの村では日照りの年も大雨の年も決して食べるものに困ることはなく豊かに暮らせるようになったという。
そして殿様は毎年通りかかるたびに地蔵堂の前で馬を下りお参りしていった。
もちろん殿様は二度と馬から落ちることもなかったそうな。
2015/11/15(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字]
「一寸法師」
「風の神と子供たち」
「すっとんころりのおとの様」
の3本です。みんな見てね!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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