さわやか自然百景「北アルプス 剱岳の秋」 2015.11.15


(テーマ音楽)北アルプス「岩の王国」とも称される剱岳。
秋の深まりに合わせるように山の上では冬支度が始まります。
尾根伝いに下ってくる紅葉は厳しい季節の前触れ。
鳥たちも次々に山を下ります。
生きる糧を求めて移動していく命。
そそり立つ山で繰り広げられるダイナミックな営みを見つめます。
富山県東部にそびえる剱岳。
険しい岩に覆われています。
山頂から左側にほぼ一直線に延びている稜線。
これが早月尾根。
7キロほどの長さです。
尾根は標高2,999メートルの山頂から手前に延びています。
麓に近づくにつれてその上を覆う緑は濃くなっていきます。
9月下旬尾根の一番下に広がる広葉樹の森はいつにも増してにぎやか。
忙しく木の実をついばむのは小鳥たちです。
サルの群れは山の幸を求めて駆け回ります。
剱岳一帯は実りの季節を迎えていました。
こちらは尾根の一番上山頂の近くです。
岩に覆われ植物のあまり生えていない世界が広がっています。
飛び回っているのはイワヒバリ。
春山に上がってきて岩の隙間などに巣を作り子育てをします。
僅かな高山植物の種を探して食べているところでした。
高地では乾燥と寒さ強い風のため大きな木は育ちません。
高さ1メートルほどのハイマツが多くの生き物たちのよりどころです。
ハイマツは今が実りの真っ盛り。
早速やって来たのがホシガラス。
ハイマツの松かさをついばんでいます。
中には脂肪分の多い栄養豊富な種が50個近く詰まっています。
種の大きさは6ミリほど。
ホシガラスは厳しい高地でこの実りを待っていました。
次から次に松かさを持ってきます。
喉にある袋には100個もの種をためる事ができます。
しばらくすると上の方へ飛んでいきました。
降り立った場所はハイマツのない岩場。
そこは山頂のすぐ下。
垂直に近い断崖でした。
ホシガラスはハイマツの種を口から出し岩の隙間に隠し始めました。
雪がつきにくい急斜面を選び冬の非常食と春の子育てのためにためているのです。
首を振ってのみ込んだ種を吐き出します。
これがホシガラスの冬支度です。
日が陰り霧が出てくると気温は一気に下がります。
ハイマツの中から出てきたのはライチョウ。
寒さに強いため一年中高い山の上で過ごします。
岩場を歩き回って季節の食べ物を探します。
ついばんでいたのは草の小さな種でした。
冬になればくちばしで雪をかき分け木の芽やコケを食べます。
何でも食べる力強さが高地で命をつなぐ秘けつなのです。
山の季節は冷たい雨が降るごとに加速をつけて進んでいきます。
早月尾根の小さな高山植物も紅葉のピークを迎えました。
高さ10センチほどのチングルマは間もなく種を飛ばします。
剱岳では9月のうちに初雪に見舞われる事もあるのです。
ハイマツの種をたっぷりため込んだホシガラスは寒さに追われるように標高が低い所へと生活の場を移します。
日に日に静かになっていく山の上。
ライチョウ以外の多くの生き物たちは次々と山を下っていきます。
秋は早月尾根の中腹までおりてきました。
渡りをする鳥たちにとって剱岳で過ごす時間はあと僅か。
サメビタキも間もなく海を越え南の国へ渡っていきます。
気温が下がり小さな虫が飛ばなくなれば食べるものもなくなってしまうからです。
ここは標高3,000メートル足らずの剱岳の山頂から尾根沿いに1,000メートルほど下った所。
この池は雪解け水や雨水で出来た天然の水場です。
そこに…いました。
山頂近くから下りてきたホシガラスです。
ここまで下りてくれば水が豊富なだけではなく気温も5℃ほど暖かくなります。
利用していたのはホシガラスだけではありませんでした。
辺りの様子をうかがうと水浴びを始めました。
するとそこにもう一羽。
羽が生えそろったばかりの幼鳥もやって来ました。
母鳥は豪快に水しぶきを上げます。
子供に水浴びを促しているようです。
残された子供。
しかしまだ水が怖いのでしょうか。
恐る恐る母鳥よりは少し控えめに水浴びを始めました。
木の上で順番待ちをしているのは…水浴びは羽についた寄生虫などを取るために欠かせません。
11月には池に氷が張ります。
そのころには小さな鳥たちはもっと標高の低い林に移動しているはずです。
この池で冬を越すための準備をしている生き物もいました。
冬の間も氷の下の僅かな水の中で過ごします。
今はまだ食べ物が豊富。
池に落ちてきた虫を次々に捕らえて越冬に備えています。
ルリボシヤンマもこの池がよりどころ。
卵を産み付けています。
卵がかえるのは次の年の春です。
親は最後の力を振り絞り命をつなぎました。
森には毎日のようにホシガラスが下りてきます。
この森も冬になれば深い雪に覆われます。
でも大丈夫。
食べ物に困れば山頂の近くにあのハイマツの種があります。
雪のほとんどつかない岩場に隠したものです。
秋深まる北アルプス剱岳。
長く続く尾根に沿って命を謳歌するたくましい営みがあります。
月に1度集まって2015/11/15(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北アルプス 剱岳の秋」[字]

剱岳の東側に伸びる早月尾根。2300メートルの標高差で植生が変化する垂直分布が見られる。山頂付近では、ホシガラスがハイマツの実を雪の積もらない岩陰に蓄える。

詳細情報
番組内容
北アルプス・剱岳の東側に伸びる早月尾根は、7キロに及ぶ。2300メートルの標高差の中で植生が変化する垂直分布が見られ、環境に応じて野生動物がすみ分けている。秋、高地では、ライチョウが冬越しのため高山植物の実をついばむ。ホシガラスはハイマツの実を雪の積もらない岩陰に蓄える。中腹には、広葉樹の実りを求めて渡りの途中のメボソムシクイやサメビタキが立ち寄る。冬支度にいそしむ多様な営みを見つめる。
出演者
【語り】中村慶子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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