クロスロード【山田敏夫/工場発ブランド「ファクトリエ」経営者】 2015.11.14


ガラガラと引いて歩くこのキャリーケースが今回の主人公山田敏夫さんのトレードマーク。
やってきたのは愛知県一宮市郊外のとある駅。
こんにちは!どうも!すみませんわざわざ。
ありがとうございます。
大丈夫ですか?大丈夫です。
遅れちゃってすみませんでした。
行く手からは何やら活気に満ちた音が。
(機械音)どうやら工場のようです。
これ1個1個大変ですよね。
こちらはウール製品の工場。
大正元年創業。
伝統の手織りを今も守り続けています。
光沢がすごいですね。
地方の工場ながら職人技が息づく織物は一級品。
すてきですね。
失礼します。
ありがとうございます。
こうして全国の工場を回るのが山田さんの日常。
いったいどんな仕事なのでしょう?雑居ビルの3階にその答えがありました。
こちらは山田さんが立ち上げたブランドファクトリエの本社兼ショールーム。
メンズレディースシャツコートバッグまで並べられている商品はどれもシンプルでベーシック。
でもそれだけではありません。
例えばこういう肌に触れる部分。
こういうふうに1回ふせてあるんで肌に当たる部分がすごくなめらかで痛くない。
立体的に仕上げたことで動きやすいフォルムに。
普通のシャツの1.5倍細かい針運び。
随所に独自のこだわりが光ります。
それでいて価格はいたってリーズナブル。
他にも国産のウールを贅沢に使用したジャケット。
特別な編み機を使うことでソフトな着心地を実現したパーカーなどメイドインジャパンの逸品がお値打ち価格。
実はいちばんのこだわりは商品につけられたラベルにあります。
ブランドの下に書いてあるのは工場名なのです。
っていう意味を込めてファクトリエバイ工場名でしていますね。
ラベルにはすべて工場名が入ります。
技術を見込んだ工場とコラボして商品を開発しインターネットで販売する。
FACTORYBRANDその仕掛け人が山田さんです。
立ち上げから3年売り上げは毎年という急成長。
その取り組みは海外からも注目を集めています。
この日はタイのファッションジャーナリストが来訪。
夢は世界ブランド。
しかしその胸の内には年間100以上の工場を回って肌で感じた危機感がありました。
このままいくともう地方の工場をいかに世界ブランドへと変身させるのか山田さんの挑戦を追いました。
古くから繊維産業で栄えてきた町です。
この日も山田さんはキャリーケースを引きながら工場訪問。
こんにちは。
はい。
こんにちは。
ファクトリエの山田です。
よろしくお願いします。
お願いいたします。
改めまして。
あっいや会長この間先々週くらいに僕来て。
あっそうか。
先々週くらいに来て。
この名刺でしたかな?こういうことってありますよね。
ところでいったい何の工場でしょう?これが。
あっ見ましたこれ。
たつやつですよね?たつ帆布のあれですよね?びっくりしました。
こちらは明治21年創業の帆布製品の工場。
半年ほど前からファクトリエとコラボしています。
がたくさんあるんですよねここがいちばんの売りですね。
すごいですね。
国内ではこの工場にしかない旧式の織機。
極太の糸を使って分厚い生地を織り上げることができるのです。
織り上がった生地のほつれは1か所1か所ほどいていきます。
根気を要するこの手作業が高い品質を支えているのです。
こちらでは2年前独自にバッグを開発。
商品には自信がありましたが販売ルートに困っていました。
そこに舞い込んできたのがファクトリエとのコラボ。
山田さんが提案したのはデザインの変更。
コンセプトは女性が仕事でも使えるスタイリッシュなトートです。
ファクトリエでもアンダーキャンバス相当販売させていただいてて。
あとはツーウェーのクラッチになるやつあれも売れてます。
あ〜そうですか。
はい。
発売から2か月で100個が完売。
更に500個の追加注文という売れ行きに会長も満足顔。
いわゆる続いて訪ねたのは岡山発デニムメーカーとして世界の名だたる有名ブランドの生地を手がけている工場。
内田さんこんにちは。
お久しぶりです。
お久しぶりです。
工場長はこの道40年。
旧式の織機のわずかな変化を察知して微調整しながら高品質の生地を織り上げています。
3年前からファクトリエとコラボ。
風合いのある生地はそのままにリーズナブルな価格で販売。
今やファクトリエの定番商品の一つです。
これはコートジボワールの新しいやつ。
横にカラーを入れてる。
へぇ〜。
今回訪れた目的は新たな商品で使う予定の生地のチェック。
徳島?徳島で?そう。
やっぱり長年この業界で30〜40年やられてる職人が今もいて全部手でやってるんですごくかけがえないですね。
高品質とリーズナブルな価格。
それを両立できるのはファクトリエならではの経営方針があるから。
銀座のショールーム兼フィッティングスペースのみ運営。
販売はすべてインターネットで行います。
ファッション業界での経験豊かなファクトリエのスタッフがトレンドを取り入れてそれを修正。
ベーシックかつモダンなデザインに仕上げます。
それだけではありません。
この日ショールームを訪れたのは見るからにダンディーな人物。
数多くのファッション誌にコラムを持つ業界の重鎮この日はファクトリエが新たに売り出すオーダーメードのスーツの最終チェックを依頼されていました。
そうですよね。
こんな小さなところにもちゃんと目が行き届いてるということは必要だと思いますね。
外部の意見も取り入れ細部にまでこだわり抜く姿勢が商品に実を結ぶのです。
大学在学中アルバイトしていたグッチのパリ店で言い放たれたひと言がブランド設立を目指すきっかけとなりました。
同僚からって言われて私も二十歳でしたんでじゃあ売り言葉に買い言葉でネットビジネスのノウハウや営業のスキルを学んだあと29歳の時独立を果たします。
思いついたのは高い技術を持ちながらも埋もれている工場と組んでブランドを立ち上げること。
しかし従来の取り引き先との関係をはばかって門前払いする工場がほとんどでした。
50社以上に断られるなか郷里熊本のシャツ工場と初めて契約にこぎつけました。
半年をかけて縫製や襟の仕上げなど隅々にまでこだわった商品が完成。
山田さんのアパートの6畳間は400枚のシャツで埋め尽くされました。
売れたんですか?例えばおしゃれなレストランだったりタクシー会社だったりいろんなワイシャツ使ってるところはくまなく電話して営業しに行って全部撃沈したっていうのがあって。
悩んだあげくたどり着いたのはなんと行商。
最後にシャツを販売したのです。
こうしてなんとかその後信頼してくれる工場も増え3年後の現在は30の工場で350種の商品ラインナップを構成するまでになりました。
ファクトリエとのコラボは工場側にも大きなメリットがあります。
通常の下請けでは工場の取り分は商品価格の4分の1程度。
4分の3は発注したメーカーや卸ショップが手にします。
一方ファクトリエは工場側の言い値で契約。
その倍で売るという仕組み。
工場は利益を確保。
消費者もよいものが安く手に入ります。
ネットでの販売ということでホームページも充実させています。
サイトを覗いてみると山田さんが自らの足で集めた情報がぎっしり。
地方の工場が誇る独自の技術や歴史が事細かに記されています。
更にこんな動画も…。
1枚1枚丁寧に縫い上げていく職人技。
WINWINの関係とはいえ山田さんがここまで工場にこだわる理由はどこにあるのでしょう。
アイデンティティーじゃないですか日本人であるっていう。
もうメイドインジャパンなんか3%まできてるんで。
そこがなくなったら寂しくなるのは当たり前じゃないですか。
わかんないです。
それはアイデンティティーとしか言えないですかね。
山田さんの評判を聞いて助けを求める工場も増えています。
おはようございます。
山田です。
はじめましてどうも。
はじめまして。
よろしくお願いします。
香川で革製品の工場を経営している長田さん。
この出会いから果たして何が生まれるのでしょう。
おはようございます。
よろしくお願いします。
本日はありがとうございます。
山田と申します。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
社長も専務も会長もすべて長田さんという家族経営。
昭和8年革手袋からスタート。
40年前にバッグに切り替えたといいます。
こうやって裁断するんですよ1枚1枚。
傷をよけながら。
革についた傷をよけながら無駄なく裁断していくのは熟練の職人技。
この工場が誇るものづくりのひとつです。
いろんなミシンがありますね。
ありますね。
腕ミシンっていうんですねこれ。
へぇ〜おもしろい。
最初にこう立体的な…。
これは太い0番ステッチを縫うミシンです。
こちらは裁断から縫製組み立てまで革製品のほとんどの工程を1社でまかなうことができる今や全国でも貴重な存在。
しかし業績は伸び悩み起死回生と出した新たな自社ブランドの売り上げも全体の1割止まり。
いちるの望みを山田さんに託したのです。
自社ブランドで多くなっているブランドなんですけども。
素材を同じ香川の小豆島のオリーブオイルを使って。
直径3mくらいの巨大なこんな感じのドラム型の太鼓っていわれるやつに革とあとオリーブオイルを入れて混ぜ合わせるっていうかしみこませるっていうか。
へえ〜すごい。
山田さんが注目したのはこの工場独自の素材。
しっとりとした手触りが特徴です。
老舗再生へのアイデアは果たして…。
最初に始めたときにこういうところから始めたとかここの風土がこうだからこういうものが生まれたとかこういうものがうちのシンボルだなみたいなのが…。
山田さん再び工場へ。
フェリーに乗り遅れたら僕泳がなきゃいけない。
次の工場への出発時刻が迫るなかでも特筆すべきポイントをカメラに収めます。
手応えはいかがでしたか?ああすごいなんかこうなんでしょうね。
皆さん山田さんこの工場とのコラボを決意したようです。
一方の工場はどう受け止めたのでしょう。
非常に感じましたですね。
1か月後香川の工場からコラボ商品のサンプルが届きました。
ところがなにやら重たい雰囲気。
依頼を受けての訪問から1か月後ファクトリエにコラボ商品のサンプルが届きました。
工場側がユニセックスと言うそのバッグ。
これ面は女性なんでたぶん…。
秋冬シーズンにはもはや遅すぎるくらいのタイミング。
無事発売にこぎつけることができるのでしょうか?翌日。
急きょ香川から長田社長が上京。
検討会が開かれます。
売れるっていう僕らの…。
売れるっていうところにいちばん近いのはたぶんこれな気がします。
あ〜そうですか。
2種類のバッグの改善点について話し合います。
僕らみたいなサイトの…。
それは出せます。
出せますか。
はい。
どちらもレディースに特化。
光沢を出して女性好みに仕上げる方針が固まりました。
ありがとうございました。
よろしくお願いします。
こっからですね。
またよろしくお願いします。
そうですね。
基本的にやっぱり…。
非常にありがたいなっていう。
こちらも誠意を持って対応していきたいと思ってます。
香川に戻った長田社長。
陣頭指揮でサンプルの修正に取り組みます。
ここがあんまりシワにならんのがええのね。
うんへこまんほうがええ。
持ち手に丸みを持たせるなど自らのアイデアもプラスしてレディースに特化。
90点くらいいくんじゃないですか?あと微調整だけですから。
翌日山田さんの姿が高松空港にありました。
寒いっすね。
期待と不安と…。
果たしてバッグの出来栄えは?10月末香川の工場を訪れた山田さん。
修正したサンプルの出来栄えをチェックします。
この2つですよね。
そうです。
見てもいいですか?でもだいぶ光沢出ましたね。
こちらが当初のサンプル。
それがほらこのとおり。
生まれ変わりました。
果たして山田さんの評価は?なんか女性らしくなりましたね。
ほんとにここの丸みとか。
玉べりを入れたりとか形でエレガントさを出しました。
中の仕切りは取り外し可能。
使い勝手もよさそうです。
そうですか。
はい。
全然この間よりもいいですね。
そうですか。
自信作ですから。
すごいこの間よりもいいっすね。
11月の発売に向けてめどがたったようです。
そして2週間後ファクトリエのホームページに新製品の2つのバッグが登場しました。
僕は日本から日本のものづくりをブランド化されて世界で戦えるっていうことを証明したい。
その結果ものづくりっていうのがビジネスになるんだ儲かるんだと思ってやる人が増えるとか地域社会で誇れるこの工場って思いが出るとか。
そこへの責任はすごく感じてます。
地方の技術を世界ブランドに!日々工場を回る山田敏夫さんを応援します。
2015/11/14(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
クロスロード【山田敏夫/工場発ブランド「ファクトリエ」経営者】[字]

「メイドインジャパンの逸品を世界へ」の夢を掲げ、日本全国に埋もれている高い技術の職人技を探し続ける若き経営者・山田敏夫に密着。

詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造
番組内容
日本の工場から世界に通じるブランドを発信したいと奮闘する若き経営者、山田敏夫。2012年に立ち上げたブランド「ファクトリエ」は、日本のファクトリー専門ブランドで、全国20以上の工場と提携してアパレル商品を開発している。店舗は持たずショールームとインターネット販売という形態で勝負し、立ち上げから3年で初年度の売上から1600%も急成長、いま注目を集めている。
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなクロスロード(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
音楽
【エンディングテーマ】
「youth」竹原ピストル
(JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)
ホームページ
http://www.tv-tokyo.co.jp/official/crossroad/

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
情報/ワイドショー – ショッピング・通販

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:46761(0xB6A9)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: