(「魔法使いの弟子」)「ららら♪クラシック」今回はミッキーマウスが登場するディズニーの映画で有名になったこの曲…書いたのはフランス生まれの作曲家…彼は気に入らない作品は一切残さない誇り高き完璧主義者でした。
そんなデュカスの知られざる人生とは。
スタジオではこの曲にちりばめられた魔法の旋律の秘密を解き明かします。
ゲストの本仮屋ユイカさんも…。
うわあ〜!今日は完璧男デュカスの名旋律に乗せてあなたを魔法の世界へご案内しましょう。
(「魔法使いの弟子」)「ららら♪クラシック」今日はデュカスの交響詩「魔法使いの弟子」をご紹介します。
ディズニーの映画「ファンタジア」で圧倒的に有名になった曲。
曲名は知らなくてもこの映画で聴いた事があるという方たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
それでは本日のお客様をご紹介しましょう。
女優の本仮屋ユイカさんです。
(一同)よろしくお願いします。
本仮屋さんはクラシック音楽ってふだんお聴きになるんですか?私クラシックを好きになったきっかけが石田衣良さんが書かれました「ILOVEモーツァルト」っていう…。
読んでなんて面白いんだ!衣良さん貢献してますね。
ありがとうございます。
今日お会いできるのがすごくうれしい。
さあそしてトロンボーンも吹かれるという事なんですけれどもこれはどういうきっかけで始められたんですか?映画の中で女子高生たちがみんなでビッグバンドを目指すやるっていう話の中で役がトロンボーンを吹く役だったのでそれで練習したんですけどあの中ではソロもあったりして最高にはじけられる大好きな…。
見せ場もしっかりあって。
「スウィングガールズ」ですよね。
そうなんです。
NHK交響楽団とステージで共演されたと。
そうなんです。
それがきっかけになってオファーを頂いてN響の夏の「ほっとコンサート」という中で1曲だけ「ギャロップ」という曲をオーケストラの中に入れて頂いて吹いたんですけど…最高でした。
もう緊張するというよりはすごく楽しかった?楽しかった。
というのは楽団の皆さんが「もうやっちゃえやっちゃえ!」みたいな「もう思い切りいっちゃって!僕たちフォローするよ」というウエルカムなムードがすごく温かくて「ギャロップ」っていう曲もとっても速い曲で馬が思い切り駆けてくような曲なんですけどそれに乗って自分の多分緊張してた速い鼓動と曲調がマッチしてってどんどん楽しくなるっていう最高の時間でした。
いい思い出ですね。
ほんとですね。
今日の曲交響詩「魔法使いの弟子」にご縁があるそうですね?この曲に合わせて朗読をさせて頂いてオーケストラの持つエネルギーに負けないように自分も言葉で物語を紡がなきゃいけなかったのですごく緊張しました。
今日ご紹介する曲というのはデュカスが実際に物語を音楽で表現している作品という事なんですよね。
物語を書いたのはある有名な文豪なんです。
ドイツの文豪ゲーテが書いた詩「魔法使いの弟子」。
デュカスはその物語を音楽で表現しました。
どんな作品なのかゲーテの詩とともに見てみましょう。
魔法使いの老師が弟子に留守を任せたところから物語は始まります。
弟子は魔法の呪文を唱えます。
すると箒はトコトコと動きだし水を運び始めます。
やがて弟子は不測の事態に気付きます。
しかしそう思ったのもつかの間…。
「助けて〜!」。
あわや弟子が溺れそうになったところへ老師が帰ってきます。
呪文とともに水はピタリと止まるのです。
親しみやすいユーモラスな旋律にあふれた交響詩「魔法使いの弟子」。
ゲーテのコミカルな詩の世界が見事に描かれた名曲なのです。
おお〜いかがでしたか?やっぱりドラマチックでいいですね。
そうですね。
私小さい時何度も何度も「ファンタジア」ビデオで繰り返し見てたんですけど見る度に怖くて。
箒たちが止まらなくなってしまう。
分かってるのに見たくなる。
不思議な魅力があるなと思ってました。
この交響詩「魔法使いの弟子」ゲーテの詩をフランス語に訳したものをもとにして作られたというふうに言われているんですけれどもこんなふうにクラシック音楽には物語を描いた描写した音楽と純粋にね音楽だけを楽しむものと2つパターンがあると思いますが衣良さんはどちらがお好みですか?僕はもうやっぱりゲーテじゃありませんけれどふだん言葉をずっと作ってますから音楽を聴く時ぐらい言葉とか意味から自由になりたいですね。
本仮屋さんはいかがですか?物語を持ってる方がより聴く時にエネルギーを必要とする感じがしてなので楽に聴けるのはやっぱり音楽だけを楽しむようなクラシック曲の方が個人的には好きです。
美濃さんは作曲してる時はどうですか?ストーリーがある方が作りやすい?圧倒的に作りやすいという意味ではそうですね。
そうなんですよね。
素人からすると制限がある方が沿わせなきゃいけないから難しいのかななんて思うんですけどある程度条件がある方が膨らみやすい乗っていきやすいという事なんですか?使うペンが決まっている方が塗りやすいみたいなのと一緒で。
そうですね。
だってお芝居が全くなくて即興でじゃあみんなでやりましょうって言われたら大変じゃありません?セリフとかがなくて。
困っちゃいますね。
そう言われてよく分かりました。
そういう意味では確かにデュカスもこのストーリーに導かれた部分はあるんですけどこの描写力というのはやはり技術相当なテクニックが必要ですからね。
では「魔法使いの弟子」を書いたデュカスはどんな作曲家だったのでしょうか。
こちらをご覧下さい。
パリに生まれたポール・デュカスは幼い頃からピアノを学び13歳の頃には作曲を始めたと言われています。
16歳で名門パリ音楽院に入学。
彼は一流の作曲家への仲間入りを目指し若手音楽家の登竜門…しかし結果は…1等を取れなかった事に失望したデュカスは音楽院をやめてしまいます。
彼は誇り高き完璧主義者だったのです。
その後デュカスは兵役に就き音楽とは無縁の生活を始めます。
それは彼にとって過酷なものでした。
デュカスは馬に乗れませんでした。
水泳も…ダメ。
手足が擦りむけるような厳しい訓練などもっての外。
上下関係が厳しい集団生活も大の苦手。
しかしそうした中思いがけない出来事が起こります。
音楽に理解のある軍楽隊の隊長との出会いがきっかけとなり異例の任務を命じられたのです。
なんと兵役中に訓練を離れ2か月間オペラの上演を手伝う事になったのです。
その後将校に上がる事になっていたデュカスでしたが彼は辞退し再び音楽の道を歩み始めます。
今度は作曲だけでなく音楽評論家としての活動も始めました。
他人の作品を批評する立場になったデュカスは自分の音楽に対する完璧主義を一層強固なものにしていったと言われています。
そうした中で出会ったのがゲーテの詩でした。
デュカスの言葉が残っています。
こうして交響詩「魔法使いの弟子」が完成。
デュカス自身の指揮で行われた初演は大成功を収めました。
デュカスは晩年まで完璧主義を貫きます。
70以上の作品を書きますが納得がいかないものは全て破棄。
生涯に僅か十数曲しか発表しませんでした。
デュカスが自信を持って世に残した完璧な作品それが「魔法使いの弟子」だったのです。
びっくりしちゃいましたね。
未発表曲が70作以上。
もったいない!残っている曲の何倍もの曲を全部捨ててしまったという事なんですね。
でも運命はデュカスを音楽から引き離さなかったですね。
(衣良美濃)そうですね。
すごかったですね。
批評家という道も歩んだりしてそれがあったからこそまた完璧主義なデュカスが出来上がっていくって面白いですね。
完璧主義者みたいなところはどうでしょう?本仮屋さん。
ここまでではないですけど結構ある方だと思います。
撮影してる中で何テ−クも撮ったりして今のもオーケーでもこのパターンも撮っとこうもう一回やってみようってどれが使われるか分からないっていう状況で私は結構タタタッて監督のところに行って「すいません。
多分2テ−ク目の方が良かったと思います」とか言っちゃうので完璧主義なんじゃないかなとちょっとドキッとしました。
すごいですね。
それはでもなかなか監督さんも言われると困るよね。
いやでも全然採用されてないんですけど気持ちだけをお伝えして。
今日の名曲は…誇り高き完璧主義の男デュカスはゲーテの詩の世界を見事な音楽で描き出しました。
魔法の世界を表現するデュカスの技に美濃さんが迫ります。
交響詩「魔法使いの弟子」には現実には起こらない魔法とか不思議な出来事を感じてしまう音の工夫というのが曲の中にたくさん盛り込まれているんですね。
どのような工夫なのかまずはこちらを聴いてみましょう。
(「魔法使いの弟子」)さあ聴き覚えのあるフレーズですか?こちらは。
はい。
何度も何度も出てきますもんね。
ここの部分注目して頂きたいのはちょっとポッポポッポと動いていたホルンのフレーズなんですね。
ピアノで簡単に弾いてみますとこんなフレーズです。
さあなぜ不思議な感じがするのかなぜだと思いますか?タッタタッタタタタタ…。
えっなぜ?ではヒントを与えましょう。
はい。
こちらの魔法の杖を使って…。
わあかわいい!ちょっと魔法をかけてみましょう。
お似合いですね。
何か呪文を唱えて魔法をかけてみて下さい。
うわあ〜!まさか呪文が「ポンピロパ〜ン」でしたね。
なんか今のですごい世界が変わったというか…。
そう。
分かりましたか?うん。
美濃さんが弾いた今の音が魔法のように聴こえるのはなぜか。
実は音階に秘密があるんです。
美濃さんはどんな音階を使ったのでしょうか…。
簡単なドレミの音階で解説していきますと…。
途中からフラットがつきましたね。
そうそう。
黒い鍵盤を使って。
普通音階は…。
ドレミファソラシドって。
白鍵をドからスタートすると使うんですけれども途中からちょっと黒いゾーンが入ってきました。
なぜかというとこれ「全音音階」と呼ばれている音階で音を1つずつ飛ばしていくんですね。
普通の音階だと…。
ここの間1個飛ばしてますよね。
でもここのミとファと…。
こことここには…。
ない。
半音といって飛ばす音がないんですね。
でも全部を規則正しく1個飛ばしにしていくと…。
という音階が出来上がるんですね。
これを全音音階といって明るさとか悲しさ暗さみたいなものよりも何かこう違った…私たち作曲家も例えばこうちょっと昔の自分が…魔法使いにはぴったりな音階なわけですね。
そうなんです。
ちょっとね実験してみたいと思います。
例えばこの曲。
(「かえるの合唱」)聴いた事ありますね。
かえるのうた?これもし全音音階で演奏するとどうなるのかちょっと弾いてみたいと思います。
え〜!?全然違います。
すごい。
音階を変えるだけで全然印象が違います。
聴き慣れたメロディーも…。
怪しげ。
ね。
全然違いますよね。
不思議です。
このように全音音階が入るとたちまち不思議な世界が描けるという事でデュカスの「魔法使いの弟子」にはたくさんこの全音音階が出てきますので是非その辺りも注目して聴いて頂きたいと思います。
はい。
ではデュカスの交響詩「魔法使いの弟子」をカット版でお聴き下さい。
わあ〜!
(拍手)とめどなくイメージが湧き出て物語が生きていくように進んでいくのを感じますね。
僕でも逆にデュカスはなんて事をしたんだろうなって気がしますね。
もとのゲーテのお話自体が言ってみれば魔法使いの弟子のコミカルな小ばなしじゃないですか。
それにここまで完璧に曲をつけてしまうという。
ゲーテもびっくりという作品に仕上がっちゃいましたね。
いやほんとですね。
弾いてる皆さん一人一人が私には魔法使いの弟子に見えてこう奏でながら一つ一つ魔法が生まれるような美しさを感じました。
デュカス自身がなんかチャーミングな大人だったのかなという気はしますね。
一見完璧主義でとっつきにくいけど本当はかわいい人だったのかもしれないですね。
そうかもしれませんね。
デュカスの魔法のメロディー皆さんにはどう響きましたか?「SWITCHインタビュー達人達」。
本日は志村けんが登場。
2015/11/14(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「完璧男のマジカルワールド〜デュカスの“魔法使いの弟子”〜」[字]
フランスの作曲家デュカスは、気に入らない作品は一切残さない完璧主義者。そんな彼の知られざる人生をひも解きながら、名曲に散りばめられた“魔法の旋律”の秘密に迫る。
詳細情報
番組内容
ディズニーの映画で有名になった交響詩「魔法使いの弟子」は、ドイツの文豪ゲーテが書いた詩の物語を音楽で表現した作品。作曲者はフランス生まれのデュカス。彼は、気に入らない作品は一切残さない完璧主義者だった。スタジオでは、作曲家の加羽沢美濃さんが魔法の世界を表現するデュカスの技を解き明かす。女優の本仮屋ユイカさんをゲストに迎え、デュカスの知られざるエピソードを見つめながら名曲の魅力をひも解いていく。
出演者
【ゲスト】本仮屋ユイカ,【出演】東邦音楽大学教授…遠山菜穂美,【演奏】指揮…園田隆一郎,管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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