鎌池和馬
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2015-11-10)
売り上げランキング: 7
新約 とある魔術の禁書目録 14巻 感想です。
今回は幻想殺しと対を成す「理想送り」を持つ上里翔流を掘り下げる物語だった。
前回、インフレキャラの魔神を一方的に殲滅した上里の「理想送り」だけど、ある条件に一致する限り何でもかんでも別の世界に送ることができる能力だった。しかも幻想殺しのように直接手に触れる必要もなくて、射程もある程度ある。ジョジョ4部のスタンド「ザ・ハンド」みたいなイメージだった。
本人は上条さんと同じ普通の高校生だが能力だけなら戦闘向きだね。
また、能力が宿ったのはごく最近だが、上条さんと同じように多数のヒロインを救っていて上里勢力なるものを築いていたw しかも上条さんと違って上里は愛され系で、銭湯に行けば逆に覗かれるレベル。
勢力の構成は原石から魔術師まで様々だがさすがに上条軍団には劣るかな。上里に盲信しているところがあるからそこは怖いところ。
今回はバードウェイ姉妹が揃って登場した。妹のパトリシアは魔術の存在も知らない一般人だが、南極で謎の生物に寄生されてしまい、寄生獣みたいな状態になってしまっていた。
パトリシアとしての自我は保っているが、今後どうなるかわからない状態でこの生物は学園都市の技術やレイヴィニアの魔術でも取り除けなかた。
そこでレイヴィニアは別の魔術体系の技術を使って解決策を見つけるが、それは自分の命を犠牲にするものだった。
そんなレイヴィニアと合流したのが上条さんたち。
一方でパトリシアはよくわからないけど命と引き換えに自分を寄生生物から解放しようとしている姉を止めたいと願っていて、お人よしな上里に保護されていた。
こうして色んな因縁をない方する勢力同士の戦いが勃発したのだった。
上里のキャラが上条さんみたいな主人公属性なのが意外で面白かったが、上条さんの説教はやっぱり効くね。
上里は、普通の高校生である自分がこんなハーレムを築けるわけがない、ヒロインたちを歪めて自分に好意を持たせてしまったのは全てこの理想送りの力が悪い、そして理想送りの力を宿す原因となった魔神許すまじという考えを持っていた。だから魔神を駆逐しようとしている。
ラノベにありがちなハーレムに文句を言うキャラで斬新w
今回、この二人がこんなイレギュラーな能力を宿した理由があるって語られたが結構大きい気がする。どうやら名前は重要な要素のようで、「神浄討魔」なんてもってこいだったようだ。だったら上里翔流はどんな理由があったのだろうかね。
まぁそれでも修羅場と経験では上条さんが圧倒的に先輩のため、説教により上里は一時的にだが上条さんに協力。姉妹は二人とも救われたのだった。最後は魔神が自分の存在と引き換えに助けてくれたけど、これで魔神はオティヌスを以外全滅かな。
けじめとしての幻想殺しVS理想送りは余裕で理想送りの能力が勝ったようだが、幻想殺しのさらなる奥の能力の前には上里さんはボロ雑巾になってしまっていた。これまでも何度か登場していたが、いったい何なんだろうね。
寄生生物の正体は幻想殺しが通じる時点で大分怪しいと思っていたけど、黒幕はイレギュラーな上里を処分するために学園都市が手配してパトリシアを利用しただけだった。変色した未元物質だそうだが、相変わらず便利だなぁ。きっと臓器か何かを保存していて安定生産できるんだろうな。
ロマンを理解する木原脳幹は今回ちょくちょく登場していたが、最初から死亡フラグが立っていた。木原を知っている一般のコンビニの店長と親しげに会話したりと危ない描写だった。
寄生生物での上里の処分に失敗した学園都市は脳幹を派遣するが、アレイスターそのものが理想送りの条件に合致しているため、彼が用意した兵装は全てが無効化され最後は犬畜生の身体だけで挑んでいてかっこよかったわ。
脳幹は木原でありながら好感が持てる。善人ではないけど、ブレない考え持つ犬だった。だからこそ理想送りが通じないというのもいいわ。
アレイスターは最後叫んでいたけど、あれは脳幹が現状治療不可能な致命傷を受けたからか?よくわからなん。
脳幹の弟子にあたる木原唯一は脳幹がやられたことで何かふっきれた様子だった。アレイスターの管理下から離れそうな感じだったし、今回上里勢力の他にも新たな勢力でできちゃったのかな。
今回は科学サイドでも魔術サイドでもないイレギュラーサイドの物語で、この結果を受けて各勢力がどう動くのか楽しみになった。
個人的な評価★★★★☆
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