パリ郊外、サッカーの試合の歓声が大きな爆発音に切り裂かれた。
爆発は近くのバーでの自爆テロと見られ、AP通信によれば少なくとも2人が死亡した。
スタジアムではサッカーのフランス代表×ドイツ代表の親善試合が行われていて、フランスのオランド大統領も観戦していたが、避難して無事だった。
しかし、パリでのテロはここだけではなかった。
パリ北部、アメリカのロックバンドのコンサートが行われていた劇場で武装した男ら数人が外のカフェで自動小銃を乱射。
そのまま中に入り、さらに乱射を続けた。
中には1000人を超える観客がいたと見られるが乱射は10〜15分続いたという。
治安部隊が突入、犯人らが自爆するなど現場はさながら戦場のようだったと言う。
フランスメディアによれば、この劇場で少なくとも80人が死亡、犯人らも死亡した。
さらに、パリ市内の複数の飲食店周辺で銃撃があり、合わせて30人以上が死亡するなどテロと見られる攻撃は少なくとも6カ所で起き、合計の死者は120人を超えた。
オランド大統領は非常事態を宣言。
捜査当局はこれまでに犯人と見られる8人のうち7人が自爆で死亡、1人を射殺したとしているが、共犯者もいると見て捜査している。
パリの日本大使館は、今のところ日本人が巻き込まれた情報はないとしている。
劇場での目撃者が現地メディアに語ったところによれば犯人らはアラビア語で神は偉大なりと叫んだり、フランスによるシリア領内への空爆について口にしていたりしたと言う。
フランスは今年9月からイラクに加えてシリア内でも過激派組織イスラム国に対する空爆に参加を開始している。
しかし、それ以前からフランスはたびたびテロの標的になってきた。
今年1月にはイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を乗せた新聞「シャルリ・エブド」の事務所などが襲われ、16人が死亡このときにはアラビア半島のアルカイダが犯行声明を出した。
また、今年8月にはオランダのアムステルダムからパリに向かっていた高速鉄道で自動小銃などで武装したモロッコ出身の男がたまたま乗っていた非番のアメリカ兵らに取り押さえられた。
こうしたことから、フランス当局はパリなど主要都市で常にテロを警戒している状態にあった。
また、岸田外務大臣は、現時点では日本人の被害の情報はないとしながらも現地対策本部を立ち上げ、現地に滞在する日本人に対して情報提供や注意喚起を行う考えを示した。
栃木県宇都宮市の作新学院では修学旅行中の生徒ら39人がパリを訪れていて、市内のホテルで足止めに。
旅行の初日、ホテルにチェックインした後に事件が起きた。
全員の無事が確認されているという。
作新学院は現地の旅行代理店と連絡を取り合いながら、日程を切り上げて帰国することも検討している。
大変な事件が起きてしまいました。
パリで同時多発テロ事件が発生し、フランス全土に非常事態宣言が出されています。
早速、現地で取材中の櫻井記者に聞きます。
同時多発テロから一夜が明けました。
こちらからは見えませんが、この奥に80人以上が犠牲となった劇場があります。
ここはレストランやカフェなどが多く並んでいるエリアなんですが発生当時の多くのケガ人が近くのカフェに運び込まれ、当時、その場所は野戦病院のようだったと言います。
今回、無差別に市民がテロの対象となりました。
先ほど襲撃を受け十数人が犠牲となった劇場近くのレストランやバーを取材しましたが、バーの窓には銃弾の跡が、そして、店の前には血痕が残っていました。
こちらでは犯人が車から銃を撃ちながら走っていったという目撃情報もあります。
今年1月に起きたシャルリ・エブド襲撃事件の現場もこの劇場のすぐ近くですが、その際はムハンマドを風刺した新聞社という犯人たちの狙いは明確でした。
フランスがここまで大規模な無差別テロの対象となったのは初めてでフランスは大きな衝撃に包まれています。
ロシア陸上界の組織的なドーピング疑惑に関し、国際陸連は13日、臨時の理事会を開き、ロシア陸連を暫定的に資格停止処分とすることを決めた。
このままだと来年のリオデジャネイロオリンピックにロシアの陸上選手は出場できないことになる。
この問題はWADA=世界アンチドーピング機関がロシア陸上界で組織的にドーピングが行われ、不正を隠すため検体を処分していると指摘し、陸上大会にロシアの選手を出場させないよう国際陸連に勧告していたもの。
これを受けて国際陸連は13日、緊急の理事会を開き、ロシア陸連を暫定的に資格停止処分とすることを決めた。
処分に期限は定められておらず国際陸連はこのまま改善されなければ、来年のリオデジャネイロオリンピックにロシアの陸上選手は出場できないとしている。
ロシアのWADAの報告書に対し、組織的な不正は否定しつつも改善することを約束し、オリンピック出場を認めるよう求めていたが受け入れられなかった。
東京・福生市で38歳の男性が顔の皮膚をはぎ取られた状態で死亡しているのが見つかった事件で、男性の鼻も切り落とされていたことが新たにわかった。
この事件はおととい、福生市のマンションで住人の土田芳さんが頭にポリ袋をかぶせられ、布団にくるまれた状態で死亡しているのが見つかったもの。
これまでの調べで土田さんは、鋭利な刃物のようなもので顔の皮膚と肉をはぎ取られていたことがわかっているがその後の取材で、鼻も切り落とされていたことが新たにわかった。
皮膚や鼻、凶器などは見つかっていないとのこと。
警視庁は土田さんが死亡した後に顔を傷つけられた可能性が高いと見て死体損壊の疑いを視野に捜査を進めている。
また、司法解剖を行ったが、死因の特定には至っておらず、警視庁は病理検査を行い、持病がなかったかなど、さらに詳しく調べることにしている。
民主党内の意見対立がより鮮明になっている。
前原元外務大臣が自民党に代わる対立軸を示すため、民主党を解党し、新党をつくるべきだという考えを改めて強調したのに対し、岡田代表は維新の党との統一会派結成に意欲を示した。
これに先立って出演したテレビ番組で前原氏は、執行部が検討している共産党との選挙協力について、シロアリみたいなもの、ここと協力したら土台が壊れていくと述べ反対する考えを示した。
これに対し岡田代表は、現実的ではないと解党には否定的な考えを示した上で、来年の通常国会までの維新の党との統一会派結成に意欲を示した。
奈良県五條市で観光バスと軽自動車が正面衝突し、1人が死亡した。
午後1時半過ぎ、奈良県五條市の国道で、観光バスと軽自動車が正面衝突し、軽自動車を運転していた70歳代くらいの男性が搬送先の病院で死亡した。
観光バスは香川県から和歌山県へと向かう途中だったということで乗っていた23人のうち運転手と子どもを含む17人が病院に運ばれたが、いずれも軽傷だとのこと。
今日午前6時前、鹿児島県の西方沖を震源とするマグニチュード7の地震があり、鹿児島県と佐賀県で最大震度4を観測した。
この地震により鹿児島県の広い範囲で一時、津波注意報が出されトカラ列島の中之島で30cmの津波を観測した。
鹿児島県などに被害の情報はないとのこと。
気象庁は今後1週間ほどはヨーロッパで戦後最悪クラスのテロ事件が起きました。
今日は予定を変更して緊急特集をお伝えします。
日本時間の今朝5時過ぎ、パリ市内で同時多発テロが起きこれまでに120人以上が死亡、オランド大統領はフランス全土に非常事態宣言を出す事態となっています。
一体何が起きているんでしょうか、早速現場にいる櫻井記者に伝えてもらいます。
このすぐそばに80人以上が犠牲となった劇場があります。
目撃者によりますと劇場に入ってきた犯人たちは10分間以上にわたり銃を乱射し続けたといいます。
犯人たちはマスクをかぶっておらず、普段着姿だったということで最初から逃げることを考えず、死を覚悟した上での行動だったのかもしれません。
今回、無差別に市民がテロの対象となりました。
先ほど襲撃を受け、十数人が犠牲となった劇場近くのレストランやバーを取材しましたが、バーの窓には銃弾の跡が、そして、店の前には血痕が残っていました。
こちらでは犯人が車から銃を撃ちながら走っていったという情報もあります。
フランス政府は1月のシャルリ・エブドの襲撃事件以降、テロリストの予備軍と見られる人物らの監視を強めるなど、テロ対策を進めてきました。
さらに、パリで今月30日から地球温暖化対策を議題とした国連の会議に各国の首脳が集まることから、より一層警備を強化していた矢先でした。
フランスでここまで大規模なテロがあったのは初めてでフランスは大きな衝撃に包まれています。
週末の夜、フランス・パリの街に銃声が響きわたった。
緊急車両のサイレンが響く中、再び…サッカースタジアムでは爆発音が。
観客は国歌を歌いながら避難した。
同時多発テロに見舞われたパリ。
死者は120人以上に上る。
パリで一体何が起きているのか。
花の都・パリ。
市民は金曜日の夜を楽しんでいた。
パリ郊外で行われたフランス代表×ドイツ代表の親善試合。
午後9時過ぎ、突然大きな爆発音が鳴り響いた。
サッカースタジアムの近くのバーなどで爆発事件が起きたのだ。
AP通信などによると、少なくとも2人が死亡したという。
フランスのオランド大統領も観戦していたこの試合。
大統領は避難して無事だった。
事件を知った観客は試合後、グラウンドに集まった。
不安そうにスマートフォンを見ている。
会場の外では警察官と言い争う人の姿も。
スタジアムを後にした観客の中には、フランス国歌を歌う人たちも。
テロは、これだけではなかった。
パリ市内の劇場では観客を人質にとる立てこもり事件が。
複数の飲食店では銃撃事件が同時に起きた。
劇場では…アメリカのロックバンド、イーグルス・オブ・デスメタルがコンサートを開いていた。
そこで何者かが観客を人質にとり、立てこもった。
会場の外では治安部隊が密かに木を上り、中の様子をうかがう。
建物の壁には、赤いライトがちらちらと見える。
狙撃のためと見られる。
すると…治安部隊が突入した。
激しい銃声が続く。
劇場では観客ら80人以上が死亡、犯人も死亡した。
犯人らはアラビア語でアラー・アクバル、つまり、神は偉大なりと叫んでいたと言う。
こちら襲撃を受けたバーなんですが、窓にはこうしてまだ銃弾の跡が残っています。
犯人たちは車からこの店に向かって銃を撃ったという目撃情報もあります。
飲食店でも襲撃事件が相次ぎ、テロと見られる攻撃は合わせて6カ所。
合計の死者は120人を超えた。
重体の負傷者も多く、死者はまだ増えると見られる。
フランスの捜査当局はこれまでに犯人と見られる8人のうち7人が自爆で死亡、1人を射殺しているとしているが、共犯もいると見て捜査している。
立てこもり事件のあった劇場のすぐそばでは、今年1月にもテロ事件が起きていた。
今年1月7日、パリにある風刺画新聞シャルリ・エブドの本社に武装した男らが押し入り、自動小銃を乱射。
風刺画家や編集長、警官らを殺害した。
犯人の1人は現場を離れる際、倒れている警察官に近づき、とどめを刺すかのように発砲した。
容疑者2人はフランス北部へ逃走した後、別の建物で人質をとって立てこもった。
その後、パリ市内にあるユダヤ系のスーパーが襲撃される事件や、女性警察官が殺害される事件も起こり、一連のテロによる犠牲者は17人となった。
犯行グループのうち3人が特殊部隊との銃撃戦の末、射殺された。
襲撃事件を起こしたアルジェリア系フランス人の兄弟のうち、弟はテレビ局との電話インタビューで犯行は国際テロ組織アルカイダの命令だったと語った。
このとき標的となった「シャルリ・エブド」は刺激的な風刺画が売り物の新聞社。
過去には、予言者ムハンマドの風刺画を掲載し、火炎瓶を投げ込まれたこともある。
犯人は、こう叫んでいた。
フランスはアメリカなどとともに過激派組織イスラム国への空爆を行っている。
イスラム国は、1月のフランスでのテロ事件について、聖戦の英雄が予言者の復習をしたと称えるコメントを出している。
事件直後には、フランス全土や世界各地でテロに抗議するデモが行われた。
テロには決して屈しないんだという大規模なデモ行進が行われました。
そして夜になっても私はシャルリといったシュプレヒコールですとか、表現の自由といったシュプレヒコールを連呼しています。
今回のテロの現場の1つとなった劇場は1月に襲撃されたシャルリ・エブドの本社からわずか500mの場所にある。
今回のパリ同時多発テロ事件を受け、オランド大統領は、フランス全土に非常事態宣言を出した。
アメリカのオバマ大統領はフランスへの支援を表明した。
岸田外務大臣は…日本はフランスとともにあり、国際的なテロとの戦いの中で、日本としてもしっかり協力をしていきたいと考えています。
これまでのところ、日本人の被害の情報はないと言う。
多数の死傷者を出したパリの同時多発テロ。
今回の事件について、テロに詳しい専門家はイスラム過激派の犯行の可能性が高いと指摘した上で、こう分析する。
それなりに自動小銃であるとか小型の爆弾が手に入ることができれば誰でも起こせるレベルのテロですよね。
そういった土壌がありますよね。
移民の人も多くて、移民2世、3世も多いですし。
なぜフランスがテロの標的となったのか。
立教大学特任教授の西谷氏はこう指摘する。
フランスはアメリカが疲れてきて、なるべく兵を引きたがっている。
いわゆるテロとの戦争の戦場に今一番深く関与してるんです。
フランスは今年1月、風刺画で知られる新聞社、「シャルリ・エブド」が襲撃された事件を受け、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」をペルシャ湾に派遣。
過激派組織イスラム国への空爆を始めた。
これが今回の事件につながった可能性があるという。
さらに西谷氏は、フランスやアメリカが掲げる対テロ戦争に組みする日本も無関係ではないと話す。
スタジオにはフランスのイスラムコミュニティーに詳しい、一橋大学教授、鵜飼哲さんです。
よろしくお願いいたします。
鵜飼さんは今回の現場のすぐ近くにお住まいの経験があって、襲われたレストランにも行かれたことがあったんですね?私は去年1年、研究休暇でまさにこの地区に暮らしていて、今回襲撃されたルカンボジというレストランには2カ月前に立ち寄ったばかりです。
まだ犯行声明も出ていませんし、犯人像というのは特定されていないんですけれども、状況などからイスラム過激派の可能性があるわけですが、今年1月にもシャルリ・エブドが襲撃された。
そして今回の連続テロ事件。
この違いというのは何かありますか?1月の事件は、シャルリ・エブドが予言者の風刺画を掲載したという非常にはっきりとした理由が実行したグループの方にあったわけですね。
それに対して今回はフランスという国自体を標的にした攻撃であって、2つ特徴があると思います。
1つはフランスで初めて、フランスって今まで銃撃や爆弾の事件というのはあったわけですが今回初めて自爆攻撃が行われたと。
もう1つは、共和国だとがいる競技場が狙われた、これは2つ象徴的、政治的な意味で非常に重要だと思います。
フランス全体が狙われたと?そうですね。
鵜飼さんはずっと長年のフランスウォッチャー、ずっとフランス社会をご覧になってきたわけですが今までの話も受けた上で、私たち日本人がこの事件、他人事なのか、対岸の火事なのか、私たち日本人はこの事件から何を考えるべきだと思われますか?1つはフランスは62年にアルジェリアが独立して以来、そうした背景を持った移民系の人たちを含めて、どう統合的な社会をつくっていくかという試みをしてきたわけですが、それが大きな壁にぶつかっている。
このことは世界的な意味で重要であり、日本でも同じ問題が植民地の関係でもありますし、到底、他人事ではないと思います。
もう1つは、イラク戦争ですね。
2003年のイラク戦争は私ははっきり間違った戦争だと思いますし、その結果が今、こういう形で表れていると思います。
9・11があって、イラク戦争がある、これは間違った反応の仕方なんですね。
つまりこういう事件があると間違った反応をする、それがまたさらに連鎖を生むということがあるわけですけど、この回路の中に日本は今入っていこうじゃないかという機運もあります。
ですから日本としては一歩引いて、今この地域で何が起きているのかをエモーションにとらわれずに冷静に考えるべきだろうと考えます。
今、頭を冷やして、この背景にあることをきちんと受けとめなければならないということですね。
そうすると、日本の今後安保法制も含めた安全保障対策とか、テロ対策にも影響を与えると思われますか果て影響は非常に強いと思います。
一方でこのシリア難民の問題、今、ヨーロッパが抱えている問題にも今後大きな影響があるんでしょうね?今回、フランスはシリアの移民をこれまでよりも受け入れると表明すると同時に、シリアへの空爆に参加したんですね。
私はこのタイミングが直近では非常に大きかったと思いますので、この流れが一体何なのかということを冷静に判断する必要があると思います。
続いての特集は、今週ついに初飛行を果たした国産初のジェット旅客機、MRJ=三菱リージョナルジェット。
その知られざる開発の舞台裏です。
日の丸ジェットは新しい基幹産業となり得るのでしょうか。
JNNの独占密着取材です。
私たちが入手した飛行中のMRJの映像。
初飛行をサポートする随行機から撮影されたもの。
上空およそ4000m。
富士山を臨み、大空をかける最新鋭のジェット旅客機。
半世紀ぶりの日本の翼。
それは、この国のものづくりに新たなページを開く存在でもある。
その翼に託された人々の夢を追った。
始まりは2008年。
日本に本格的な航空産業をという国の構想に三菱重工が手を挙げ、事業化に乗り出した。
開発が行われたのは、ゼロ戦が生み出されたのと同じ社屋。
しかし、大きな壁があった。
かつて世界最高水準を誇った日本の航空産業だったが敗戦によって航空機の開発や運航すべてを禁止され、技術の蓄積が途絶えた。
その後、航空禁止令の解除を受け、1962年、初の国産プロペラ旅客機、YS−11を世界へ送り出した日本。
しかし、市場には受け入れられず、182機で製造は打ち切りとなった。
MRJは日本にとって半世紀ぶりの挑戦。
総事業費1800億円の巨大プロジェクト。
実物大の試作は段ボールでつくられた。
コストや時間を節約するため。
先頭部分には、夢という文字が掲げられていた。
2011年、製造が始まった。
主翼の長さはおよそ10m。
先端が上に反ったウイングレットと呼ばれる形状が空気抵抗を減らし、飛行の安定や燃費の向上をもたらす。
空気抵抗を減らすため、頭が全く出ないリベットが使われる。
今では当たり前の技術だが、実はゼロ戦の開発時、日本で生まれたもの。
日本オリジナルの技術はほかにも。
細くとがった機首部分のデザイン、これは意外なものと関わっていた。
時速500kmの超高速走行を実現したリニア中央新幹線。
その先頭部分の設計は三菱重工が担当し同じ設計思想がMRJに応用された。
エンジンは、アメリカ・プラット&ホイットニー社の最新型。
MRJのために開発された。
この完成品を輸入するのではなく、日本国内で組み立てを行う。
これは実物大の図面。
過去に経験のない作業だが、ここでノウハウを積み上げ、将来的には国産エンジンの開発も目指す。
この最新エンジンと空気抵抗の少ない機体によって、燃費を2割、騒音を5割低減しているのが最大のセールスポイント。
座席数は92。
1回の航続距離はおよそ3300kmと近距離の移動を想定している。
今、世界では近距離の航空利用が増えている。
小型旅客機は今後20年で5000機の新たな需要が見込まれる有望な市場。
さらに、この分野にはボーイングやエアバスといった大手メーカーは参入していない。
2社から部品製造を請け負っている日本にとって摩擦を気にせず勝負できる分野。
初飛行が行われる愛知県の県営名古屋空港。
隣接してつくられている巨大な建屋はMRJの量産工場。
ここで月産10機を目指す。
今年2月、開発は最終段階を迎えていた。
その現場にJNNのカメラが入った。
国産ジェット旅客機MRJ。
開発の最終段階である重要なテストが行われようとしていた。
特別な許可を得て、その現場へカメラが入った。
初飛行でMRJの操縦桿を握るテストパイロットの安村佳之さん。
乗り込んだのはMRJ専用のシミュレーター。
操縦桿やレバーなど実態の機体と同じ部品が使われている。
機体の設計データをすべてコンピュータに取り込み、実際の飛行を再現できると言う。
初飛行のパイロット本人によって行われる機体の安全確認試験に密着した。
この日行われたのは、失速のテスト飛行機は空気の流れに対する翼の角度が大きくなり過ぎると飛ぶ力を失う。
その状態を失速=ストールと呼び、最悪の場合、墜落する。
21年前、名古屋空港で起きた中華航空機墜落事故も着陸前の失速で起きた。
同じような状態でシミュレーターで再現する。
設定された高度は1万5000フィート、およそ4500m、これは初飛行と同じ高度。
出力を下げていくと…ストール、失速が起きた。
予想どおり失速状態になったが、速やかに機体の姿勢を立て直せることも確認できた。
本番で実際に操縦桿を握る安村さんは初飛行への思いをこう語る。
旅客機の開発に航空会社も深く関わる。
MRJ購入を世界で最初に決めた全日空は専属のチームをつくり、機内設備などを三菱航空機に提案してきた。
大きなスーツケースが入る荷物入れや車いすで使えるトイレも、全日空の意見が採用されたもの。
三菱重工の大宮英明会長に国産旅客機開発の意義を聞いた。
部品点数およそ100万と、自動車を超える規模のすそ野を持つ航空産業。
その先進事例がヨーロッパにある。
フランス南部の町、トゥールーズ。
ここにヨーロッパ最大の航空機メーカー、エアバスが本社を構えている。
エアバスの本社工場の近くには、関連企業や研究機関なども集まっていて1つの企業城下町を形づくっています。
現在、トゥールーズを中心としたフランスの航空宇宙産業の生産額は実に6兆円。
日本の4倍に上る。
東京ドーム145個分、およそ700haの敷地内に4つの工場があり、空港に隣接している。
中では、世界最大の旅客機、A380が次々と組み立てられていた。
2万人もの従業員が働き、年間300機あまりの旅客機が製造されている。
完成した機体は、目の前の空港から飛び立ち、航空会社へ納入される。
エアバスはとても大きな存在で、多くの人が働いています。
トゥールーズにとって航空産業は重要です。
多くの雇用、仕事を生み出していますからね。
航空産業は雇用だけではなく、観光にも貢献している。
市内には今年1月、世界最速の旅客機、コンコルドも展示される博物館がオープンした。
歴代の航空機20機が並び、人気を集めている。
開館から半年で早くも入場者数10万人を達成したという。
日本のトゥールーズとなる可能性があるのはMRJの生産拠点を持つ中部地方。
新たな計画が動き出していた。
この日、三重県である式典が開かれた。
集まったのはMRJの部品を手がける中小製造業の経営者たち。
下請けの町工場10社が共同でMRJなど航空機部品の製造工場をつくる。
板金や切削、塗装など、別々に行っていた行程を1カ所に集約することで輸送コストや時間の節約につながる。
欧米では一般的な方法だが、日本ではMRJで初めて導入される。
参加企業の1つ、岐阜県の加藤製作所。
加藤隆司社長は、共同工場の意義についてこう話す。
実際に部品づくりの現場を見せてもらった。
MRJには5年前からかかわり、製造を請け負う部品点数は240に上る。
ステンレスの塊から誤差100分の1mmの精度で複雑な形状の部品を削り出す。
ここでは、かつてYS−11の部品も製造していた。
それだけにMRJへの期待は大きい。
今年6月に開かれた航空産業の見本市、パリ・エアショー。
1機およそ55億円のMRJは既に407機がアメリカやアジアで売約済み。
しかし、ヨーロッパでは1機も受注がない。
ここへの食い込みが至上命題。
以前から交渉を続けているヨーロッパの航空会社の幹部が訪れた。
客室やコックピットの模型を見学し、個室では詳しい商談も行われた。
会期中の4日間で商談は30回以上あったが初飛行もしていない段階での受注はやはりなかった。
飛んで初めて評価が定まる厳しい現実。
MRJは、開発計画の遅れで過去何度も初飛行の日程を延期していた。
機体の開発そのものに加え、安全性を示す型式証明を取得するための手続に手間取ったため。
国土交通省は組み立て工場の近くに出先を設け三菱航空機と話し合いながら審査の手続を進めてきた。
メーカーだけでなく、審査をする国も半世紀ぶりの挑戦。
今年6月に始まった走行試験。
国の飛行許可を得るための最終関門。
初飛行の予定もずらし、操舵性などを確認した。
失敗は許されない。
今月6日、空港で国土交通省の審査官が立ち会う中、最後の走行試験が行われた。
時速およそ200kmに達して、前輪が一瞬浮き上がる。
飛行へ向けた試験はすべて完了した。
そして、今週水曜日。
機体のすぐ横で円陣を組んだ開発チーム。
テストパイロットの安村さんが乗り込んだ。
大勢の人に見送られ、MRJ1号機が滑走路へ姿を現す。
そして、ついに飛び立った。
機体は高度4500mめがけ、上昇その後、愛知県や遠州灘の上空を1時間半かけて飛行した。
そして、無事、着陸。
関わったすべての人が夢に見た光景だ。
パイロットを務めた安村さんは、拍手で迎えられた。
果たして航空機は自動車に次ぐ基幹産業となるのか。
新たな分野に進出したメイド・イン・ジャパンの本当の勝負が始まる。
MRJの開発を取材してきましたCBCテレビの冨田記者です。
映像での国交省の担当者らの表情を見ていますと、見ているこっちもグッとくるものがありましたけど、冨田さんは3年半取材してきたわけですからやはり特別な思いがあったんじゃないですか?実際にMRJが飛び立った瞬間というのは、私にとっても非常に感慨深いものがありました。
取材を始めた当初は、部品もない状態でしたし、取材の間には開発の遅れもありましたのでようやく飛んだなというのが正直な実感です。
初飛行終わって、次はいよいよ私たちはいつこの飛行機に乗れるかということだと思うんですがいつなんですか?予定では再来年2017年の全日空へ1号機が納入される予定です。
全日空は納入後、国内路線に運航する計画をしていますので、そこで私たちが乗れるチャンスがあると思います。
しかし、そこに至るためにはVTRにも出てきました機体の安全性を証明する型式証明というものを取らなければいけません。
実はこれが最も難しいものでして、今後、MRJは日本とアメリカで2500時間にも上る飛行試験を重ねていきます。
来週中にもMRJは本格的な飛行試験を始める予定で、これをいかに早く効率的に進めていくかがポイントになってくると思います。
VTRを見てて技術屋さんの誇りというか、ロマンみたいなものを感じたんですけど、冨田さんからご覧になって、基幹産業として今後、どれくらい期待できるんだろうかとお考えですか?私は取材の中で、実際に10社以上の中小企業に取材しまして、現場に行ってみますと、現場で働く皆さんというのは、自分たちがつくった部品が空を飛ぶということに非常に誇りを持っているように感じました。
その誇りを実際ビジネスとして成功させるためにはMRJを世界に受け入れられる飛行機にしなければならないと。
かつてYS−11は販売体制であったり、整備体制でうまくいかなかったというものがありましたので、やはり基幹産業にしていくためには、こうした整備や販売網、これをもっと強化していく必要があると思っています。
この後はスポーツ、上村さんです。
三井住友VISA太平洋マスターズ3日目。
晩秋の御殿場を熱くしてくれた選手は?トップに3人が並んでスタートした3日目は激しい雨の影響でなかなかスコアを伸ばせない。
それでもマスターズを2度制したバッバ・ワトソンが、15番で世界のレベルを見せつけた。
段差のある難しい2段グリーンを読み切り、バーディーを奪う。
しかし、続く16番では短い距離を外してしまいボギー。
スコアをイーブンとし、3位で最終日を迎える。
同じくトップでスタートした片山晋呉は、パー3の4番、グリーンの外からのパットが決まり、バーディー。
単独トップに躍り出る。
さらに、パー3の13番。
これをピンそばにつけ、しっかりとバーディーを奪い、トータル14アンダー。
7年ぶり、大会2度目の優勝を狙うラグビーのトップリーグ、今大注目の五郎丸歩選手が所属するヤマハ発動機の初戦がもうすぐ行われるのですが見てください、こちら、雨の中にもかかわらずたくさんの人が並んでいます。
日本中が沸いたW杯から1カ月。
国内トップリーグの開幕戦には開場の3時間前から長蛇の列ができた。
そのお目当てはやはり…五郎丸選手、バスから降りてきました。
少し緊張した面持ちですかね。
昨シーズンの約2倍、8000人を超す観客が見つめる中、まずは前半4分。
昨シーズン2位のヤマハ発動機が先制のトライ。
五郎丸選手に最初のキックの機会が訪れる。
おなじみのルーティンからW杯後、公式戦初の五郎丸ポーズ。
難しい角度からのキックは惜しくも右にそれてしまう。
それでも8分、ヤマハが2本目のトライを奪うと、再びコンバージョンキック。
正面から難なく決め、これが五郎丸選手、記念のリーグ1000得点目。
その後も2本のキックを決め、詰めかけた多くのファンの期待に応えた。
この一戦ですが、報道陣はラグビーでは異例の200人が集まっていました。
そして五郎丸選手の関連グッズはなんと1時間で売り切れていたんです。
このままラグビー熱が続いてほしいですね。
フランスのパリで起きた同時多発テロで死者数が増えたようです。
多くの犠牲者が出た劇場近くから最新情報をお伝えします。
80人以上の犠牲者が出た劇場の近くです。
こちらには世界各国のメディアが集まっています。
最新の情報ですが、今回のテロによる死者は128人。
また重体となっている人は99人に上っているとのことです。
犠牲となったのは一般の市民。
テロが起きたのは飲食店が賑わう金曜日の夜でした。
襲撃を受け十数人が犠牲となった劇場近くのレストランやバーを取材しましたがバーの窓には銃弾の跡が、そして店の前には血痕が残っていました。
こちらでは犯人が車から銃を撃ちながら走っていったという目撃情報もあります。
フランスのオランド大統領は大統領府に閣僚を緊急に集め国防会議を開きました。
また、フランス政府はパリ市内に1500人の軍隊を展開、新たなテロの発生に備えています。
こちらは今朝の新聞ですが、今度は戦争だと書かれています。
フランス社会は大きな衝撃に包まれています。
今の現場見てみましたけれども、この時間帯、多くの市民が歩いている様子がありましたが今回の襲撃の現場はどういった場所なのですか?シャルリ・エブド襲撃事件のときにまさにあの現場の近くにいたんですが先ほど鵜飼先生にもお伺いしたんですけれども、パリ中心部のちょっと外れたところです。
確かに商店とかレストランが多い場所で非常に移民の方も多く住んでいる場所だそうです。
さっき櫻井記者が言っていたように、新聞が、次は戦争だみたいな、かなりこういうひどい事件があった後だから仕方ないと思うんですけれども、私は何にでも同時多発テロ事件はアメリカに行って取材したものですから、そのときもやっちまえみたいな形でイラク戦争が始まってあのときはフランスはイラク戦争に反対したんですよね。
そのことを思い出しながら、今本当に大事なのは冷静になって頭を冷やして何があったのかということをきちんととらえるべきだと思います。
2015/11/14(土) 17:30〜18:50
MBS毎日放送
報道特集[字]【伊方原発の再稼働を問う▽夢の翼MRJ初飛行】
あまたのニュースの中から、伝えるべき情報を厳選し、報道特集というフィルターを通して、責任をもって視聴者にお伝えします。
詳細情報
番組内容
【伊方原発の再稼働を問う】
再稼働の手続きが進む四国電力・伊方原発。今週は事故を想定した大規模な防災訓練が行われた。再稼働に舵を切った地元の事情は?大地震や津波の懸念は?再検証する。
【夢の翼・MRJ初飛行】
国産初のジェット旅客機・MRJが今週、初飛行に成功した。JNNは特別な許可を得て開発の舞台裏に密着取材した。広い裾野を持つ航空産業は今後、日本の基幹産業になり得るのか。
出演者
【キャスター】
金平茂紀(TBSテレビ報道局)
日下部正樹(TBSテレビ報道局)
小林悠(TBSテレビアナウンサー)
上村彩子(TBSテレビアナウンサー)
関連URL
【番組HP】
http://www.tbs.co.jp/houtoku/
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おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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