(桐島夏子)駄目よ頑張って!島に帰るんでしょ?由彦さん…。
一緒に帰るって約束したじゃない。
イヤーッ!
(すすり泣き)
(七海)桐島夏子もう最高!うう〜…。
(二宮早紀)わかります。
おば様が桐島夏子の大ファンだったの。
(あくび)あなた…全然感動しなかったの?
(二宮一馬)あ?俺あんまりこういうの得意じゃないんだよ。
言っても無駄よ。
女心のわからない人に。
ねえ愛介。
本当にあなたの新聞社で桐島夏子取り上げるの?
(二宮愛介)ああ。
なんて言ったって失踪して20年だからね。
今どこで暮らしてるのか特集を組んで情報を集めようって話なんだ。
昨日も桐島夏子の姪御さんに取材してきたとこなんだ。
確か私はスクリーンの中だけで生きていく。
ファンの方に年老いた姿を見せるわけにはいかない。
そう言い残して姿消したのよね。
その時さまだ45よ。
45?悔しいわあ…。
まあ桐島夏子がその時誰かさんの爪の垢の半分でも飲んでたらねえ。
ん?誰かさんって私の事ですか?あら?わかっちゃった?だってそうじゃないの。
そうすればさいくら容姿が衰えたからってファンの前から姿を消す事はなかったんだから。
私衰えてませんし。
まあとにかくだ。
な?誰だって年を取るし永遠の美しさなんてないんだよ。
おあいにくさま。
ここにあります。
本当に感受性鈍いわね本当に。
女はね誰でも永遠の美しさに憧れるものなんです。
ねえ?おば様。
そうよ。
一馬ったらこれっぽっちのデリカシーもないんだから。
これっぽっちもない!おばとして恥ずかしい!ああ〜…。
(藤堂慎吾)ボールこの塀を越えたんだからこの辺にあるはず。
(赤石恵)ないな〜。
(恵)でもすごい場外ホームランだったよね。
でもさ本当うちの学校も野球部の予算増やしてほしいよね。
そしたらこんなふうにボール探しに…。
(藤堂)どうした?
(恵)あれ…。
(谷村元彦)こら君たち!
(谷村)ここに入っちゃ駄目だろう!お巡りさん!曙三丁目交番の谷村です。
(谷村)今汐見町の廃工場の資材置き場で男女の死体を発見しました。
(サイレン)
(大石貴一)被害者の女性は持っていた免許証から桐島桜さん38歳。
男性も免許証から工藤正彦さん38歳と判明しています。
(有田光志)主任!桐島桜さんのご主人の桐島大作さんです。
(桐島大作)さ…桜!これ以上は…。
奥さんの桐島桜さんはあの有名な女優桐島夏子の姪御さんで…。
桐島夏子さんの姪御さん…。
ご主人は東京で芸能プロダクションを経営されています。
今日はたまたま横浜港で所属タレントのグラビア撮影があったそうで。
あの男性に見覚えは?あります。
うちの家内の大学時代の友達です。
工藤正彦さんといいます。
でもなぜ?どうしてこんな事に…。
(三浦)主任!鑑識さん終わりました。
頼む。
硬直からみて死後2時間から4時間。
死亡推定時刻は14時から16時の間ですね。
索溝に吉川線。
この男性に後ろから首を絞められて外そうともがいて吉川線が出来た…。
硬直の度合いは同じね。
ほとんど同じ時間に死亡した。
これ…何かしら?
(大石)鑑識さんの話によると野球で使うロージンバッグ。
滑り止めの粉じゃないかと。
遺体のそばにこのボールも落ちてました。
先生!この男性はその女性を殺したあとボールに当たって死んだんじゃ…。
南ちゃん予断でものを言わない!はいすみません。
(谷村)車道に出ないでくださいね。
危険ですからね!
(谷村)なんだまだいたのか。
刑事さんとの話はもう終わったんだろ?帰りなさい。
ね?そうよ慎吾。
帰ろ!ねえねえあの人!女優の桐島夏子じゃない?ええ!?あの20年前に突然姿消したっていう?
(女性)本当?なんでこんなとこいるのよ?索溝もはっきりしているし顔もむくんでる。
絞殺による窒息死とみて間違いないわね。
左胸部に楕円形のかすかな紅斑。
(桑田)ボールが当たって出来たんですかね?うん…。
他には特に目立った外傷はなし。
じゃあ…。
黙祷。
始めます。
大動脈の基部に出血が見られる。
激しく心臓が動いたのね。
380。
心臓震盪症とみて間違いないわね。
心臓震盪症…。
(南)でも心臓震盪症は成人男性には珍しいんじゃ?ええ確かにね。
でも他に要因は見当たらない。
(南)じゃあやっぱりボールが胸に当たって…。
その可能性は否定出来ないけど原因を調べるのは警察の仕事よ。
この男性は心臓震盪症で死亡した。
(ドアの開く音)あ…。
あなた。
工藤正彦さんの奥さんだ。
ご主人に会いたいそうだ。
あなた…。
何かの間違いです。
うちの人が桜を殺したというのは。
うちの人に人なんて殺せない!ねえ刑事さん調べてください。
うちの人もきっと誰かに殺されたんです。
十分な捜査をして真実は必ず明らかにします。
嘘よ!警察はうちの人を犯人だと決めつけてる。
先生!お願いします。
監察医の先生というのは亡くなった人の声を聞いてくれるんでしょ?うちの人の声をちゃんと聞いてやってください。
お願いします!心臓震盪症…。
心臓は血液を送り出すために収縮するでしょ?心臓が縮みきるちょっと前のタイミングで物が心臓の真上辺りにぶつかると心室細動を起こす事があるの。
その結果死に至る事故死を心臓震盪症っていうのよ。
つまり状況から見て工藤正彦は桐島桜を殺害しそのあと飛んできたボールが胸にぶつかり死亡した。
確かにその可能性はあるわね。
普通心臓震盪症は子供や若者に多いんだけどまれに成人に起きる事もあるから。
そっか…。
ボールが天罰を与えたって事だな。
ちょっと待ってよ。
ん?私は死因が心臓震盪症だって突き止めたけどなぜそうなったのか原因までは断定してないわよ。
それは警察の仕事でしょう!ああわかった!それじゃあ推測としてならボールがぶつかって死亡したというのは成り立つんだな?まあ推測としてならね。
そうか…。
うん。
助かった。
死体検案書署に送っといてくれ。
ええー!ちょっと待って…。
うん?署に戻るの?だってもう12時過ぎてるのよ?一緒に家に帰ろうもう…。
まだ仕事だ!俺はなお前やおばさんと違って永遠の美ってやつにな興味ないんだよ。
あれ!?おい!お前疲れてないか?お前。
お肌が…くすんできた。
いや!ちょっと待ってよもう!昨日パックしたのにもう…。
ああ嫌だ!もうクリームも付けたのに…。
ハハハ…じゃあな!ちょっと待って!え?頑張ってる妻に優しい言葉とかないわけ?愛のエッセンス…みたいな?早く帰れ!ふん!まったくそうやって全然デリカシーがない…。
ああもうカサカサ…ああもう!身も心もカッサカサにカッサッカサ!思い出した?おやすみのチュ!美術解剖学ってなんだ?あ?美術解剖学?ああ。
工藤正彦とあの奥さんがな横浜科学歴史館で美術解剖学による復顔作業っていうのをやってるそうなんだ。
ああその美術解剖学。
美術解剖学というのは芸術で人間の体をよりリアルに表現するために人体の骨格や筋肉を学ぶ学問って言えばいいのかな。
レオナルド・ダ・ヴィンチも自分で解剖をしてそれを自分の絵に生かしたって有名でしょ?う…うん。
あれから始まったようなもんよねえ…。
ま…とにかくだ。
美術解剖学による復顔というのは…。
うんそうね。
それは珍しいわよね。
例えば江戸時代の遺跡から頭蓋骨が発見されるとするでしょ?そうしたらその頭蓋骨の破損している部分を修復してまずレプリカを作る。
次にそのレプリカに対して科捜研などと同じマルチン式計測法という骨の測定法を使い粘土で復顔していくのだけれど…。
科捜研などの復顔は細かいところにこだわると逆に身元確認のための情報が集まりにくくなるでしょ?だから細部はあまり作り込まない。
でも美術解剖学の復顔はそれと違って博物館などに展示するものだからより想像力と芸術性を高めまるでその人間が生きているかのように作るの。
なるほど。
助かった。
じゃあな。
ああ〜!ちょっちょっちょっ…。
ほらほら愛のエッセンス。
んん〜!優しい言葉は?ツケ。
今度払うよ。
あんっもう!これが家内と工藤さんが写ってる写真です。
(小池勇樹)この写真だけ見ると奥さんと工藤正彦さんは相当親しかったように見えるんですが。
ええ。
大学時代一時期付き合っていたようです。
桐島さんはいつ奥様とお知り合いに?私は元々桐島夏子のマネジャーでしたからね。
この頃の家内の事もよく知ってるんですよ。
(桐島)桐島夏子にとってたった1人の身内ですからね。
桐島夏子さんが失踪したのが20年前。
(桐島)家内はそれは見るも哀れにショックを受けてました。
私と一緒に血眼になって行方を捜しました。
でも…見つからなかった。
私はその頃桐島夏子と2人で立ち上げた桐島芸能事務所に何人もの若いタレントを抱えていましたからね。
お先真っ暗になった。
その時言ってくれたんです家内が。
おばさんはどこかで見ている。
負けないぐらい頑張ろうって。
それで結婚を…。
7年経って失踪宣告の手続きをしそれを機に一緒になりました。
お二人の結婚を工藤さんはどう思っていたんでしょうね?もちろん祝ってくれました。
その後工藤さんはその杏子さんと結婚しましたしその結婚式には私たち夫婦も出席しましたから。
(小池)で最近何か変わった事は?奥さんの様子がおかしいとかトラブルがあったとか。
いや別に何も…。
はい。
(杏子)あの人の様子がおかしいなんて事そんな事別にありません。
いつものように優しかったですし。
ご主人と桐島桜さんは大学時代の一時期お付き合いしていたそうですね。
昔の話ですそれは。
(携帯電話の振動音)あっ失礼。
俺だ。
主任今近所の方に聞いたところ…。
うん…。
わかった。
この半月ばかりお宅ではケンカが絶えなかったそうですね。
待って!もうどうしても行くの?月曜日の昨日は昼頃出かけようとしたご主人とケンカになった。
ケンカの原因を聞かせてもらっても?
(ため息)あの人が私に隠れて最近桜と会ってるような気がしたから揉めたんです。
でもあの人理由は言えないけどお前の心配するような事は何もないって。
理由は言えない…。
こんなんじゃない〜!いやいや本当にこれぐらいをペロペロ〜って食べた。
本当に?今度はさ2人で…。
随分楽しそう!あ…先生。
おふくろ…。
おふくろ!?やっだ〜!南ちゃんの前だとおふくろだなんて。
いつもお母さんお母さんって甘えてるでしょ?あんたは。
ちょっと南ちゃん。
ここ開きすぎ。
お母さん!これじゃ僕がマザコンみたいじゃんか。
あら!母親をちゃんと愛せない人間に愛を語る資格はないのよ。
何やってるの?仕事さぼってこんなとこで!違うって。
この間取材したばかりの桐島桜さんが殺されたって聞いて慌てて来たんだ。
お母さんなんも話してくれなかったじゃないか。
当たり前でしょ?新聞記者のあなたに捜査中の事件の事を話すわけにいかないじゃない!あっ!まさか南ちゃん…。
私は話してません。
先生にきつく言われてますから。
ああそれならいいけど…。
今日業者の人が解剖室のクーラー付け替えに来るんでしょ?そうでした。
すみませんうっかりしてて。
今から解剖室行ってきます。
はい。
頑張ってね。
(ため息)まだまだね。
お母さんさ僕と南ちゃんの仲裂くのにどこか喜々としてない?ええっ!?私が?もう私は南ちゃんを一人前の法医学者にしようと一生懸命育ててるのよ。
本当?・
(永岡)先生!先生お願いです。
教えてください。
僕の打ったボールがあの男の人の胸に当たってそれであの男の人は死んだんですか?誰がそんな事を?曙三丁目の交番の谷村さんってお巡りさんから聞いたんです。
お巡りさん心臓震盪症って死因も教えてくれたし君の打ったボールは犯人逮捕に繋がった正義のボールなんだからあまり心配しないようにって慎吾を励ましてくれたんです。
でも慎吾全然納得してくれなくって。
そうそれで…。
あなたは心配する事はないわ。
まだボールが当たったから亡くなったと決まったわけじゃないし。
たとえそうでもそれは予測の出来ない事故だったんだからあなたの責任じゃないわ。
ほら言ったじゃない慎吾。
先生もこう言ってくれてるんだから元気出して。
ね!練習戻ろう!どうもありがとうございました。
慎吾…。
(恵)ありがとうございました。
いいえ。
慎吾!つらいんでしょうね…。
なんかわかるような気がします。
すぐうちの人に電話して谷村って巡査を横浜東署に呼び出すように言っといて!
(永岡)えっいや。
あ…。
(解除音)
(吉野和文)二宮先生!事件に何か新展開でもあったんですか?そのご様子だと。
だ…誰?あなたちょっと…。
ちょっと何?ちょっとやめて…ちょっと。
ねえ映さないでください!もうちょっと!すみません。
申し遅れました。
わたくしこういう者です。
吉野和文…ドキュメンタリーの監督?20年前あの桐島夏子を失踪直前までカメラで追っていたのは私なんです。
おかげでその年消えた大女優という作品で賞をもらいました。
それが今度横浜中央新聞さんが大々的に桐島夏子を取り上げようとした矢先に姪御さんの桜さんが亡くなられたと聞いてすっ飛んで来たんです。
何かの因縁かもしれない。
つまりは取材という事ですよね?そういう事でしたらお断りします。
桐島桜さんを殺した犯人が高校生の打ったホームランボールに当たって死んだというのは本当の事ですか?あなた一体何を…。
町の噂ですよ。
誰がそんな事を?う〜ん。
情報源は言えないんですがそうなんでしょ?私は何も断定してません!ノーコメント!事件の事でしたら横浜東署にお聞きください!ああ〜…。
冗談じゃないわ!あなた一体どういうつもりなの!?私はねボールが当たって死んだとはまだ断定してないの!あなたにも言ったでしょ?あくまで推測だって。
それが一体どうしてこういう形で一人歩きするの!?すまなかった。
俺からももう一度厳しく注意しておく。
だったら誰が…あの子の気持ちを救うんです?あの子?あの高校生ですよ。
自分の打ったボールが人を死なせたかもしれない。
そのつらさ先生にわかりますか?
(谷村)あの子は一生バットを持たないかもしれない。
野球をやめるかもしれない。
それで一生後悔し続けるんだ。
自分の打ったボールが人一人死なせてしまったと!その人間に君は悪くない。
犯罪を犯した奴に天罰が下ったんだ。
そう言葉をかける事のどこが悪いんですか?谷村!それぐらいにしとけ。
うちの奴はな監察医が断定していないものをお前が断定した事に怒ってるんだ。
そしてそれを外部の人間に漏らした事もな。
だったら断定したらどうなんです?はっきりと。
こんなところで自分みたいな者に突っかかってないで。
死者の声を聞くのが監察医の仕事なんですよね?はっきりさせれば先生だってあの慎吾って子にかける言葉が変わってくるわけですよね?谷村!早紀!早紀…すまなかった。
きつく言っておくから。
彼の言うとおりかもしれない。
私は死因をあなたに告げただけでなぜ心臓震盪症が起こったのかその原因を突き止めようとはしなかった。
警察の仕事に口を出すなって言われるのが嫌でいつの間にか臆病になってたのかも。
私あの人がなぜ心臓震盪症になったのか自分が納得いくまでもう一度調べてみるわ。
あなたに怒られてもね。
フッ怒らないよ。
俺はお前のそういうところも好きだから。
何言ってんのよ。
ツケ払っただけ。
まとめて…ね。
フフフフ。
じゃあ。
ああ。
え?無理無理無理。
絶対無理ですよそんな事。
どうしてよ?パソコン使えばすぐ計算出来るでしょ。
あの子の打ったホームランボールの速度と重さからどのぐらいの衝突エネルギーが生まれたのか。
あのね先生。
先生野球あんまり知らないでしょ?ええ。
知ってます?ホームランにはね滞空時間の長〜いホームランとライナー性のスタンドに突き刺さるようなホームランがあるって事。
2つあるなら両方調べればいいじゃない。
いやもうだからその他にも風の向きとか色々あるわけですよ。
ボールの重さだけがわかってたってね無理なものは無理なんですよ。
ああわかった。
結局あなたは面倒くさいからやりたくないと。
これに理屈をつけてるわけだ。
わかりました。
もうあなたには頼みません。
あんたよりパソコン出来る人なんていくらでもいるんだから。
私は遺体の声を聞いてくるわ。
もう屁理屈ばっかり!まったくもうあのものぐさ小僧!私がスポーツ音痴だと思ってバカにして。
ああもうなんかカッカしてきちゃった。
はあ…暑いわ本当に。
除湿!?もう…。
(ため息)南ちゃん?すぐ解剖室に来て。
大至急。
ああもう本当に…。
大丈夫。
変化は起きてない。
先生なんでしょう?大至急って。
南ちゃんあなたクーラーの業者さんが来た時立ち会ったんでしょ?その時クーラーの設定温度18度にした?ええ業者の方にそう頼みました。
確認した?除湿になってたわよ。
本当ですか?今私が直した。
すいません。
すぐ気づいたから変化はなかったけどこのままにしておいたら…。
何?これ。
革皮様化…?表皮剥脱した打撲痕が半日経って…。
除湿してた事もあって革皮様化したのね。
だからそれまでわからなかったこの打撲痕が浮かび上がってきた。
先生これ拳の痕みたいですね。
という事はこの人はボールのせいで死んだんじゃない。
工藤正彦さんは犯人に拳で胸を殴られて心臓震盪症を引き起こした。
そして桐島桜さんを殺したロープを握らされ…。
あたかもボールが胸に当たって心臓震盪症を引き起こしたかのように見せかけられた…。
まず明らかになった事は犯人は工藤正彦さんを拳で殴り…。
うっうわあ…。
それが心臓震盪症を引き起こしたという事。
で桐島桜さんは工藤正彦さんに駆け寄った。
しっかりして正彦さん。
そして桐島桜さんの背後から犯人は近づきロープで首を絞める。
死ね〜!ううっ苦しい…。
バタリ。
後ろから絞めた事は間違いないのよ。
ここに吉川線も残ってたし。
でも問題はそのあとなの。
犯人は犯行の前かあとにこの塀を越えて飛んできたホームランボールに気がついた。
そしてそのボールが工藤正彦さんの胸に当たり心臓震盪症を引き起こし死んだように見せかけた。
そして桐島桜さんの首を絞めたロープを外し工藤正彦さんの右手に握らせ犯人は逃走する。
こういう偽装が行われたと工藤正彦さんの胸に浮かび上がった打撲痕が私に教えてくれたわ。
今の話を聞いてると犯人は心臓震盪症に対する知識があったっていう事ね?ええ。
でも心臓震盪症という名前がついたのが1990年代だし一般的にはまだあまり知られてないわ。
それを利用したという事は医療関係者またはその周囲にいる人間じゃないかしら?だから…。
それはお前が考える事じゃない。
俺たちが考える事だ。
いいじゃない。
これまでもこの人のこの出しゃばりがいくつもの事件解明に役立ったんだから。
ええっ!?じゃあ一刻も早く事件を解決するようにお願いします。
はっ。
あの…あのちょっとあの…。
ねえ…村中検事ちょっと様子が変よ。
だってあの人が私の肩持ったのよ。
この私の!
(ため息)実はな…。
ちょっと待って。
葉子さんあなたこの事件を最後に検事辞めるんですって?うん…まあね。
法律家として違う角度から事件や世界を見たくなったの。
って事は弁護士に?離婚裁判の時は力貸すわよ。
ハハッおあいにくさま。
私は二宮とは最後まで添い遂げるわ。
(ため息)寂しくなるわね。
弁護士としてもう一花咲かせてよ。
今度一緒にご飯食べよう。
ええ。
じゃあ。
ちょっと…ねえどうしたの?何か…?ああ横浜科学歴史館の中にある工藤夫妻のアトリエが何者かに荒らされた。
(カメラのシャッター音)
(杏子)本当ですか?それじゃうちの人の疑いは晴れたんですね?このアトリエが荒らされたのもご主人や桐島桜さんが殺された事件も関係があるかもしれません。
何か盗まれたものは?それがないんです別に。
ああ…。
最後にここに入ったのはいつですか?日曜日です。
月曜日はこの歴史館自体がお休みなので。
そして月曜日の夕方にご主人は殺され3日ぶりにここに入ったら荒らされていた。
主任。
ああ。
(せき払い)1つお願いがあるんですが…。
なんでしょう?ご主人の胸に残された拳の痕とあなたの拳を照合したいんですが…。
この商店街の先に交番があるわ。
(女性)すいませんこれください。
(前田)そうですか。
そりゃ喜びますよ。
谷村はあの高校生の事を本当自分の事のように心配していましたからね。
あの…今日は非番なんですか?有休を取ってるんです。
ひょっとしたらお兄さんのお墓参りに行ってるのかもしれません。
何しろあいつは小さい頃キャッチボールをしていて自分が投げたボールをお兄さんが取り損ねて胸にぶつけ心臓震盪症で亡くしてますからね。
えっ…?
(南)ねえ先生。
その谷村さんというお巡りさん犯人像と一致しますよ。
心臓震盪症という知識を持っていた人間…。
(葉子)今の話を聞いてると犯人は心臓震盪症に対する知識があったっていう事ね?まさかそんな事…。
彼お兄さんを心臓震盪症で亡くしてたんだ…。
自分の打ったボールが人を死なせたかもしれない。
そのつらさ先生にわかりますか?
(矢崎稔)いいから飲めよ。
え?へヘッ。
勘定の事は心配すんなって。
ハハハハ…。
俺が全部払ってやっから。
ハハハハ…。
大将勘定。
(店主)おつりは?おつり。
(矢崎)ああおつりはいいや…。
どうしたんだよ矢崎さん。
おい。
あの奥さんの拳の型を取った!?ああ。
捜査上仕方がないってお前だってわかってるだろ?もちろんなご主人の胸に残っていた拳の痕とは一致しなかった。
つまり桐島桜さんと工藤正彦さんを殺した犯人が歴史館のアトリエも荒らした…。
動機はなんだろう?アトリエで何探してたんだろう?こっちの領域に入ってるぞ。
お前は刑事じゃないんだから。
・
(七海)「時には母の…」あっあのね谷村っていう巡査の事なんだけど…。
わかってるよ。
・
(七海)「だまって海をみつめていたい」「時には母のない子のように」「ひとりで旅に出てみたい」「だけど心はすぐかわる」「母のない子になったなら」「だれにも愛を話せない」
(拍手)はいすごいすごい。
なんですか?これ。
なんの歌ですか?だからさ愛介の気持ちをちょっと代弁してみたのよ。
ちょっとやめてよおばさんそんなまずいって本当。
早紀さんあなた愛介と南ちゃんって子の仲を姑根性丸出しで引き裂いてるみたいじゃない?愛介嘆いてたわよ。
うるさい母親のいない子になりたいって。
そんな事言ってないじゃんおばさんもう。
愛介あなたそんなふうにおば様に泣きついてたわけ?ああ美味しい。
だからさ早紀さんあなたもねお水いっぱい飲んでデトックスなさいよ。
あなたの体や心の中の毒素を全部吐き出さないと永遠の美は手に入らないわよ。
まあ…おば様のほうこそ。
デトックスなんかなさって心と体の毒全部抜いちゃったらおば様自身がなくなっちゃうんじゃございませんの?全部毒だから。
アハハハハ。
ハハハハ。
愛介おばさんなんかに相談したら火に油だろ?まさかこんな事になるとは。
こういう時はな君子危うきに近寄らず。
近寄らず?近寄らず。
待ちなさいそこの2人。
そういう事なかれ主義があなたたちの一番悪いところよ。
特に愛介。
(愛介)はい。
お母さんは何も南ちゃんと付き合ったらいけないなんて言ってないでしょう。
付き合うなら付き合うで堂々としなさいって言ってるの。
じゃあ愛介。
ね。
その怯えた気持ちデトックスしちゃいなさい。
はいはい。
でも本当に効くのかな?これ。
あなたもよ。
は?面倒くさくなるとすぐ逃げ出そうとして。
そのへっぴり腰毒素をあなたもデトックス!ああ…。
ハハハ…フフフ…。
2人をデトックスしたいな。
(汽笛)
(矢崎)なんなんだよお前は。
おい。
はああ…。
ちょっと…おいやめろよ…。
俺はあんたの事は何もしゃべっちゃいねえよ!本当だよ!信じてくれよ!うわあ…ああーっ!あっ…。
た…助けてくれ!俺は泳げねえんだよ!あっ…。
(パトカーのサイレン)ご苦労さまです。
ご苦労さまです。
ちょっといいかしら?鑑識さんまだでしょ?ああ。
なんだよ?愛介大変みたいなの。
え?これ。
桐島夏子って…。
愛介の新聞社が取り上げようとしていた…。
その前に週刊誌が取り上げたのよ。
この中にはね桐島桜さんが殺されたのは桐島夏子の失踪宣告の手続きをして彼女の遺産を全部独り占めにしたからじゃないかっていう推測記事が書かれてるの。
しかも殺したのは桐島夏子本人だっていうのよ。
はあ…相変わらず好き勝手な事書くなおい。
まあその事に関してはこの…ほら写真が載ってるドキュメンタリーの監督が桐島夏子さんはそんな人間じゃないって否定してるけどね。
そうか。
おい愛介大丈夫か?真っ青な顔して飛び出していったわ。
なんでも桐島桜さんが殺害された現場の近くで桐島夏子さんを見たっていう人が新聞社に電話してきたんですって。
ああ…。
おいどうした?知ってるのか?この男を。
矢崎稔です。
二宮警部自分と一緒に来て頂けないでしょうか?お話ししたい事があります。
(谷村)あの矢崎は仕事もせずブラブラしていて以前万引きで交番に連行した事があるんです。
ここが奴の部屋です。
で見て頂きたいのはこっちなんです。
あれを見てください。
あれは桐島桜と工藤正彦が殺された現場…。
そうなんです。
それであの事件のあと矢崎稔は急に羽振りがよくなったのでおかしいと思い自分はマークしていたんです。
そうか…。
それでその事を矢崎稔に問いただしたのか?もちろんです。
そしたらあいつ…。
なんで私をつけ回すんですか?お前の金の使い方があまりにも派手だからだよ。
心配なさらなくて結構です。
あんたに迷惑をかけるような事は何もしてませんから。
(谷村)薄笑いを浮かべて事件への関与を否定し聞いてもいないのに何も見ていませんからと言い出したんです。
なるほど。
それは怪しいな。
でしょう?だから自分思うんです。
矢崎は犯行を目撃し犯人から口止め料を受け取っていたんじゃないかと。
君はいつから横浜東署になったんだ?え?あっ配属された月ですか?えっとそれは平成の…。
バカ野郎!いつから横浜東署そのものになったと聞いてるんだ。
捜査はな1人でやるもんじゃない。
なぜそういう事があったなら真っ先に俺たちに報告しない?申し訳ありません。
でも自分の思い込みで刑事課の皆さんにご迷惑がかかってしまってはいけないと。
心臓震盪症の事も俺たちに話さなかった。
それは…あまりにプライベートな事なので…。
プライベート?事件を前にした警察官になプライベートなんてしゃれた言葉はないんだよ!
(ため息)刑事課への転属願何度も出してるそうだな。
はい。
だったら覚えておけ。
心臓震盪症の事を知っている君の情報や矢崎に目をつけた君の勘が事件解決の手助けになるかもしれない。
だけどな俺たち刑事はいついかなる時に命を落とすかわからん。
だからその時のために事件解決のために持ってる情報や思いを全て仲間に報告しておくんだよ。
そうしなきゃな刑事なんて務まらん。
その事をよく覚えておけ。
本当に申し訳ありませんでした!自分がちゃんと話していれば矢崎稔も死ななかったかもしれないと自分は今すごく悔しいです!ん?ここ…アザがあるわね。
南ちゃんこの遺体のヒゲを剃ってみて。
(南)はい。
(南)先生これは…。
拳の圧迫痕…。
(桑田)ひょっとしたらこの拳も同じ犯人の…?先生。
工藤正彦さんの奥さんが遺体を引き取りに…。
先生本当にありがとうございました。
夫の無実を証明して頂いて…。
そんな事気になさらないでください。
ちゃんと眠れてますか?顔色がよくないみたい。
ええ大丈夫ですご心配なく。
それではこれで失礼します。
先生!また来た!ああ先生…。
(杏子)うっ…。
(吉野)どうしたんですか?大丈夫ですか?大丈夫です。
ありがとうございます。
うっ…うう…。
駄目駄目駄目駄目。
先生!先生!二宮先生!だから取材はお断りだってもう…。
奥さん!奥さんどうしたんです?おなかが…。
えっ?もしかして妊娠中?まあ…。
南ちゃん南ちゃん!聞いたわ。
よかった赤ちゃんが無事で。
3か月なんでしょう?一番大事な時期じゃない。
無理しないでね。
夫はこの子の名前たくさん考えてくれたんです。
マコトだろタカシ…。
女の子ならカオルなんてどうかな?あっかわいい…。
そう。
優しい旦那様だったのね。
でももう駄目です…。
駄目って?私さっきもいっそこのまま…。
何言ってるの。
愛してたご主人の忘れ形見なんでしょ?でもあの人私の知らないところで桜と会ってた…。
内緒で桜と…。
奥さん…。
こんな気持ちのままじゃこの子が生まれても愛せないような気がして…。
かわいそう…。
あなたに言ったんじゃないわよ。
おなかの中の子に言ったの。
こんな弱いママでかわいそうね。
あなたからも言ってあげて。
パパを信じてって。
先生…。
赤ちゃんの名前楽しみに考えてたご主人だったんでしょ?そのご主人をあなたは信じてあげて。
私だって…本当は信じたい。
じゃあ信じよう。
ご主人と桐島桜さん何か2人だけで会わなければいけない事情があったのかもしれない。
とにかく一番悪いのは桜さんを殺害してその罪をご主人に着せようとした犯人なんだから。
主人を殴った犯人の拳の痕先生が…。
ご主人の遺体が私に拳の事を語りかけてくれたの。
きっとそれが犯人に結びつく。
私はそう確信してる。
だからあなたはご主人を信じて。
そして犯人逮捕して言ってやりましょう。
何があっても前向きに生きてこの子を産んでこの子を立派に育てるって。
はい。
・
(看護師)ちょっとあなたここで何してるんです?吉野さん!先生この人聞き耳立ててたんです。
これも取材なんですか?あなたの。
いやその…ちょっと気になったもんで。
でもすいません。
ちょっと!さっきはどうもありがとうございました。
いえいえ私は何も。
あなたを助けたのは二宮先生です。
でも実は今の拳の話を聞いて犯人に心当たりがあるんです。
なんですって!?私が調べて必ず真実を突き止めますから。
あなたは元気な赤ちゃんを産んでください。
じゃあ。
ちょっと…ちょっと吉野さん!犯人に心当たり?それは恐らく桐島大作の事を思い浮かべたんだろう。
こっちにも報告が上がってきている。
(吉野)あなたが奥さんを殺したんでしょ?何っ!?もういつまでもシラを切らないで本当の事を言ってくださいよ。
(桐島)冗談じゃない。
なんで私が家内を殺さなくちゃいけないんだ。
やめろ撮るのは!はっきり言ってくださいって。
やめなさい。
横浜東署の二宮です。
カメラ切って。
でも刑事さん本当にこの男の事は調べたほうがいいですよ。
この男はボクシングやってたんですから。
なんの話です?なんでボクシングが関係あるんですか!これ以上やると脅迫罪になりかねませんよ。
すいません。
そんなつもりはないんです。
あなたの話はこっちで聞かせてもらえますか?お願いします。
桐島さん昨夜というか今日の午前1時から3時の間どちらに?家内の葬儀が終わったあと家で事務所の連中と飲んでましたよ。
その人たちとはずっと一緒に?途中疲れたんで2階の寝室に上がって休みました。
でも下にはうちの連中がいたんです。
嘘だと思うなら聞いてみてください。
私は一歩もこの家から出てませんから。
ああそれからあなたの拳の型採らせてもらえますか?で桐島大作のアリバイはどうだったの?2階に上がって休んでいたのは本当らしい。
だが人目につかずに2階から抜け出す事が出来なかったか今調べてる。
桐島桜さんと工藤正彦さんが殺された時横浜港でタレントのグラビア撮影に立ち会ってたんでしょ?そこだって抜け出せたかもしれない。
ねえ拳の形は?どうだった?ああ大きさはほぼ一致した。
ふーん…。
っていうかさなんでお前にそんな事報告しなきゃいけないんだ?お前は俺の上司か?部下よ〜。
私はあなたのずっと部下でございます〜。
あ…気色悪い。
ねえで2人の夫婦仲はどうだったの?ん?まあすこぶる仲がよかったらしい。
俺たちみたいにな。
あーうちと同じおしどり夫婦か。
という事は…。
桐島大作は妻の桜と工藤正彦の密会現場を目撃。
激昂し工藤正彦の胸を殴った。
密会っていうけど2人が内緒で会ってたからってなぜすぐ不倫って決めつけるの?もしかしたら他に何か理由があったかもしれないじゃないの。
そりゃそうだが…。
なんでそんなにムキになるんだよ?工藤正彦さんの奥さんの杏子さんご主人を信じたいのよ。
その気持ちわかるわ。
私も信じてあげたい。
彼女のおなかの赤ちゃんのためにも。
捜査にはなそんな感情論はいらんのだ!感情論って…。
私はただ男と女が2人で会ってたら不倫って決めつけるのがよくないって言ってるの。
誰が決めつけてる!決めつけてるでしょ!俺は…。
主任!桐島大作ですけど2階の寝室から抜け出す事は可能ですね。
1階にいた事務所の社員たちは一度も2階の様子を見に行ってないんです。
よし桐島大作を徹底的に洗うぞ。
はい。
あっあなた…。
わかってるよ!決めつけないで捜査するよ。
当たり前だろ。
(携帯電話の振動音)南ちゃん?私よ。
どうした?先生に言われて工藤杏子さんの様子を見に行ったんですけどあの奥さん担当医師が止めるのも聞かずに退院したみたいなんです。
なんですって!?あの奥さんどうしてもやりたい事があるからって。
なんなの?やりたい事って。
無理しちゃいけない体なのに…。
・
(停車音)杏子さん!先生…。
どうしたの?駄目じゃない。
安静にしてなきゃ!わかってます。
でも先生に言われてうちの人を信じる事にしたらいても立ってもいられなくなったんです。
うちの人の持ち物の中に犯人に結びつくものが…。
・
(物音)どうしたの?誰かいる。
今物音が…!鍵貸して。
あなたここで待ってて。
はい。
・
(物音)庭よ!警察に電話して。
はい。
うっ…。
あっ!うっ…!
(バイクのエンジン音)杏子さん!駄目。
逃げられた。
警察は?電話しました。
先生お怪我は?ああ…大丈夫。
(平塚)工藤さん?
(杏子)あっ平塚工房さん。
(平塚)この度はどうも。
ご主人が大変な事で…。
いえ…。
それでですねご主人から預かったものをお届けに上がったんです。
はあ?これです。
横浜の港北区で発掘された江戸前期の頭蓋骨です。
どうぞ。
工藤さんがちょっと事情があって家や歴史館のアトリエにも置いておけないから一時的に預かってくれないかって言われまして。
わかりました。
すいませんわざわざ。
どうも。
変です。
港北区で発見された江戸前期の頭蓋骨は2か月前に復顔は終わってるのに。
ちょっといいかしら?はい。
江戸時代前期の頭蓋骨にしてはちょっと変よね。
顎の骨格が随分華奢よね。
本当に…。
現代人みたいな顎の骨です。
後頭部に陥没…。
これは…鈍器のようなもので叩かれた時に出来る陥没だわ。
ひょっとしたらアトリエを荒らした人間も今の目出し帽の男もこの頭蓋骨を探してたんじゃ…。
(カメラのシャッター音)それで鑑識さんがあの頭蓋骨の指紋の採取とかが済んだら私に復顔をやらせてもらえないかしら?えっ?どうしても私が復顔してみたいの。
ああ…わかった。
病院に戻ります。
でも二宮先生が来てくださらなかったら私もおなかの子もどうなっていたか…。
本当にありがとうございました。
ううん。
あなたがご主人を信じて何か手がかりを探し出そうと思わなければ犯人にも遭遇しなかったしあの頭蓋骨だって奪われてたかもしれない。
あなたの思いを引き継いで私復顔してみる。
・
(ノック)先生!今聞きました。
徹夜で復顔作業してたって。
なんで言ってくれないんですか?言ってくれたら僕が…。
いいのよ。
この復顔だけはどうしても自分でやりたかったの。
(永岡)筋肉はつけ終わったんですね。
ええ。
あとは皮膚をのせていくだけ。
あとひとふん張り。
いやでも先生は休んでください。
僕が代わります。
いいから。
あなたは南ちゃんたちと一緒にこの頭蓋骨がなんによって後頭部を殴打されたのかその凶器を出来るだけ特定してみて。
はい。
よし俺も手伝う!先生の頑張りに負けたら助手失格だ。
ですね。
お願いします。
(南)合わない。
これかな?
(桑田)ん?ちょっと違うか…。
(永岡)ちょっと違うな。
(カメラマン)この前の横浜の撮影の時?桐島社長自分の事務所のタレントにべったり張りついてはいましたけどねただこっちもねずっとあの人を見張ってたわけじゃないんで。
食事の時間とか休憩の時姿が見えなくなったって事は?ありましたよ。
30分ぐらいだったかな。
なんかタレントが果物を食べたいとか言ったんでそれを買いに。
それ何時頃です?えっとね撮影が佳境に入った時だから15時ぐらいかな。
主任桐島大作と心臓震盪症が結びつきました。
桐島大作の兄は心臓専門の外科医で学会で心臓震盪症についての論文も発表しています。
つまり桐島大作には心臓震盪症に関する知識があった。
(携帯電話の振動音)俺だ。
主任桐島大作にまかれました!何っ!?はあ…わかった。
(ため息)参ったな。
先生お客様ですけど。
あ…あなたたち。
ありがとうございました二宮先生。
僕野球続けます。
私からもお礼を言います。
本当にありがとうございました。
そう…。
よかった。
自分も謝ります。
先日は失礼な事を言って申し訳ありませんでした。
手どうしたんですか?車をよけようとして自転車で転んでしまって。
気をつけてよ。
お巡りさんが交通事故なんてシャレにならないわ。
はい!気をつけます。
じゃあお仕事の邪魔になるとあれなんで帰ります。
なんだか勇気もらった。
法医学が生きている人間のために役立った瞬間ですね。
違うわ。
亡くなった人の声が生きてる人間を救った瞬間。
さあもうひと頑張りだ!
(マウスをクリックする音)やっと見つけましたよ。
桐島夏子さんですよね?また?もういい加減にしてほしいわ。
あのねその桐島夏子って女優さん20年前の45歳の時に失踪したんでしょ?私が65歳に見える?はいこれが免許証。
あ…いやあの…すいません。
これ…この顔は…。
(マウスをクリックする音)失踪した桐島夏子…。
女優桐島夏子は20年前に失踪したとされていたがそうではなかった。
ゴルフクラブで殴られ殺されたと思われる。
クラブのこの部分と陥没の形状がほぼ一致。
もし20年前の1994年に殺人が行われたとすると当時の法律では時効が成立してるわね。
ええ。
その年代の正確な特定とDNA鑑定は今科捜研のほうでやってもらってるからその結果待ちね。
今回の一連の事件は桐島夏子の死に端をなしてると見て間違いないと思うんです。
犯人は桐島大作ですよ。
間違いありません。
(有田)あいつは心臓震盪症の知識があるからその知識を利用して工藤正彦が桐島桜を殺したように見せかけたんです。
つまりは20年前の桐島夏子殺しが発覚するのを恐れた桐島大作の犯行という事ね。
あくまでもまだ推測ですが。
で…肝心の桐島大作の行方は突き止めたんですか?いえこの会議が終わり次第引き続き捜索を行います。
じゃあ始めて。
なんとしても桐島大作を見つけるのよ。
行くぞ。
(捜査員たち)はい!
(パトカーのサイレン)
(大石)ご苦労さまです。
桐島大作だ。
遺体の傍らにこれがあった。
ドキュメンタリー監督の吉野和文に宛てたメールだ。
まだ送信されていない。
(桐島の声)吉野さん先日は済まなかった。
このメールをあなたに送るのは私が死を決意したからです。
遺書?ああ。
(桐島の声)あなたにはこの私の告白を基に桐島夏子の死の真相をドキュメンタリーや本にして貰いたいんです。
そしてその印税の一部を私がこの事件に巻き込んでしまった工藤正彦さんの御遺族に渡して欲しいんです。
20年前私は仕事上のミスで桐島夏子からクビを云い渡された。
(桐島夏子)申し訳ないで許されるとでも思ってるの?すいません!それについてはいろいろと事情がありまして…。
(桐島の声)どんなに謝っても桐島夏子は許してくれなかった。
もう二度と私の前に顔を見せないで!
(桐島の声)そして私は思わず…。
(夏子)うわっ!!あっ…。
(桐島の声)殺すつもりはなかった。
でも彼女は死んでしまった…。
私は桐島夏子の死体を埋め突然の失踪を装いました。
(リポーター)何か訳があるんでしょう?
(桐島の声)でも私は1月程前に桐島夏子の遺体を埋めた雑木林が今年中に造成される事を知ったんです。
それで身元が判明する可能性のある頭蓋骨だけを持ち帰りとりあえず自宅の屋根裏部屋に隠しました。
ですがその翌日から10日間も仕事で海外へ行かなくてはならなくなり戻って来たら桐島夏子の頭蓋骨が消えていました。
お願いしていた復顔の事なんだけど…。
(桐島の声)そして私は知ったんです。
妻の桜が頭蓋骨を見つけ工藤さんに復顔を頼んだことを。
(桐島の声)そして…工藤さんが桐島夏子の顔を復顔してしまったんです。
(工藤正彦)警察に届けたほうが…。
(桐島の声)その時どこからかボールが飛んで来て…。
うわっ!?あなた!大作さん!まさかあなたが桐島夏子さんを殺したんじゃ…。
うわーっ!
(桐島の声)工藤さんが亡くなったのは心臓震盪症だと思いました。
あなた何をするの!?
(桐島の声)その時妻の桜が工藤さんを蘇生させようとしたので止めるため仕方がありませんでした。
工藤君!うっ!?うっ…あっあーっ!ああーっ!
(桐島の声)私は心臓震盪症の事を知っていました。
だからその知識を利用して工藤さんが桜を殺した後ボールが胸にぶつかって死んだように見せかけたんです。
ところがその犯行の全てをあの矢崎稔と云う男に見られていたんです。
そして私はその桐島夏子の復顔が頭蓋骨のレプリカにされた物と知り焦りました。
これは…レプリカ。
(桐島の声)だから本物の頭蓋骨を回収する為に横浜科学歴史館に忍び込み工藤さんの家の中も探しましたが見つからずその一方で私はあの矢崎稔に強請られ…。
え?ここで終わり?そうなんだ。
なぜそこで終わってるのかそれが引っかかる。
(岩本)主任鑑識さん終わりました。
頼む。
引っかき傷…。
先生が工藤さんの家で犯人と遭遇した時爪で引っかいた時についたものじゃ…?犯人は薄い手袋をしてたから私の爪には繊維が少し残っただけだったけどついたとすればこの程度の傷ね。
とにかく死因は解剖してみないとわからないわね。
ん?前歯が欠けてる。
鑑識から上がってきてる?報告。
いえ歯に関しては何も。
手の傷以外目立った外傷はないわね。
急性心臓死?有り体に言えばなんらかの理由で心臓麻痺を起こした病死。
病死?うん。
あの遺書のような告白メールが送信されずに途中で終わってたのもそのせいね。
あのメールを打っている最中に心臓麻痺を起こして…。
あっ…。
出来すぎだな。
うん確かに。
でも間違いなく死因は病死なの。
だけどな桐島桜と工藤正彦が殺された日横浜港でタレントのグラビア撮影に立ち会っていた桐島大作の姿が見えなくなったのがおよそ30分間。
その30分で犯行のあったあの廃工場の敷地まで往復するのは不可能じゃないがあとの偽装の事を考えるとな…。
でも私がつけた引っかき傷もあったのよ。
ほら。
ハハッ…お前らしくないな。
いつものお前ならあんな出来すぎた遺書に疑問を持ちとことん俺に食い下がってくる。
それとも早く事件を終わらせてあの杏子って奥さんを励ましたいとか?何言ってるのよ。
私はそんな…。
わかってるよ。
わかってる。
(ため息)早紀もう一度遺体の声を聞いてくれないか?えっ?俺の刑事の勘ってのか…納得出来ないんだ。
刑事の勘か…。
(ため息)駄目ね…。
やっぱり前歯が欠けている事と心臓麻痺という事だけ。
ただいま。
・
(七海)「時には母の…」またやってる…。
・
(七海)あっうわぁ…きた!あーっ!・
(愛介)おばさん!うっうっうっうっうっ…。
うう…うう…。
おば様?あっ…。
はあ?ねえどうしたの?おば様。
なんか悪いものでも食べた?ううんデトックスのやりすぎなの。
水ばっかり飲んでるから。
おば様凝り性だから一度始めたらとことん…。
何言ってるのよ。
私が出してるのはね毒よ。
もうデトックスで本当毒を抜いて。
ねっ。
永遠の美を手に入れるのよ。
ああ駄目ですよ駄目ですよそれ以上飲んじゃ。
これ以上飲んだら水中毒になりますよ。
水中毒?へえ〜。
そんな中毒あるんだ。
うんあるのよ。
人間の尿の排出量は1分間に約16ミリリットルが限界なの。
1時間で大体1リットルですね。
その排出量を超えるペースで水を飲み続けるとまず腎臓に負担がかかって次に不整脈を起こしてやがては心臓麻痺で死ぬ事だって…。
心臓麻痺…?水中毒…。
ああっ!ああっまたおなかが…。
ああ…あーっ!ねえちょっと…。
えーっと…。
ちょっ…あっおなか…。
ちょっと早紀さんちょっと邪魔…。
ああ間に合わない!ああ〜!永岡君?まだ監察医務室にいたのね。
じゃあお願い。
桐島大作の遺体から検出した尿と血液の成分分析してみて。
大至急。
もう…こっちは色々と忙しいってのに。
まあ人使いの荒いこと。
でもやりますよ。
先生のご命令とあらばこの永岡たとえ火の中水の中…。
ええっ?なんだよこれ。
尿も血もものすごく薄いじゃないのこれ。
(永岡)じゃあ桐島大作が死んだのは水中毒だった。
だから解剖では死因がわからず急性心臓死と間違いかけた。
君が調べてくれた血液と尿の薄さから見てそう思う。
でね欠けた前歯の事を考えるとこれしかないと思ったのよ。
えっ?なんですか?これ。
ああ気道を確保する時に使う開口器。
南ちゃんこれに人体に影響のない塗料を塗って。
はい。
食紅だから大丈夫です。
出来ました。
じゃあここに座って。
えっここに?そうそうこのフェンスによりかかって。
はいはいはいはい…。
はい。
お口あーん。
あ…あーん?あーん。
ああああ…。
はーい。
はーい口閉めて。
ん?ん?大丈夫よ。
歯が折れるまではやらないから。
ねっ。
でネジを回して…。
あああああ…。
あ…痛い!痛い痛い…痛い痛い痛い…。
はいはいストップ。
はいあーん。
南ちゃん照合してみて。
はい。
(南)先生ほとんど同じです。
つまりこの開口器を乱暴に扱ったから前歯が欠けたって事よね。
オーケー実験君。
はいもう1回開口器口に入れるわよ。
もう1回?はーいはーい。
締めないでくださいよネジ。
痛いんですから!おおおお…。
はーいいいかな?はーい。
じゃあね苦しくなったら合図してね。
えーっ!?はは…。
あっ桑田君?「始めて」
(桑田)了解!じゃあいきます。
おお…!ああ…。
桑田君水多すぎ!もっと細くして。
実験君の場合は意識があるからこんなふうに動けるし騒げるけどクロロホルムなどを使って眠らされてたら水は流し込まれる一方よね。
キャーッ!ああっ!ちょっと!ナイスバディ…。
わあっ!このスケベオヤジ!南ちゃんもここで脱がなくていいから!桑田君水止めて!了解です。
でもこれでわかりましたね。
犯人はこのやり方で桐島大作を水中毒にし病死に見せかけて死なせた。
犯人がなぜこの閉鎖されたビルの屋上を犯行現場に選んだのかがわかったわ。
ここなら水を使っても排水溝に流れるだけだし衣服は日差しで乾いてなんの痕跡もなくなる。
欠けた歯も流れてしまった可能性ありますよね。
考えましたよね犯人。
やっぱり水中毒についても知ってたって事ですよね。
恐らくね。
心臓震盪症といいやっぱり医学の知識のある人間…。
先生でもそうなるとタブレットの告白メールも偽装って事でしょ?あっ…じゃああの桐島大作の左手の引っかき傷も偽装?あの谷村という巡査あの人左手に包帯巻いてましたよね。
でも本当は先生がつけた引っかき傷を隠してたんじゃ…。
でも谷村巡査に動機があるとは思えないわ。
それに20年前の桐島夏子の殺人事件に関わっていたとなったら彼はその時まだ10歳ぐらいの少年よ。
そっか…そうですよね。
(携帯電話の振動音)うちの人。
もしもし?で実験どうだった?実験は成功した。
それでな俺も水中毒について調べてみたんだ。
そしたらとんでもないものが見つかった。
水中毒に関しての医療指導用DVDを何社も出しているがその中の1本を作ったのがあのドキュメンタリー監督の吉野和文だった。
なんですって?それだけじゃない。
奴は心臓震盪症に関するDVDも作ってる。
そう…わかった。
私のほうも何か吉野和文に結びつくものがないかどうか探してみる。
じゃあ。
(携帯電話の振動音)杏子さん?もしもし?二宮です。
先生?杏子です。
聞いたわ。
さっき無事に退院出来たんですって?でもあれよ。
まだそんなに無理しちゃ駄目よ。
ええわかってます。
で今家の近くの本牧の公園で私を助けてくださった監督の吉野さんの取材を受けるところなんですけど取材が終わったら先生のところへお礼を言い伺ってもいいですか?えっ…吉野さんと今一緒?ええ。
あ…そう…。
じゃあ待ってるわ。
気をつけて。
(南)杏子さんが吉野和文と一緒なんですか?本牧の公園にいるみたい。
うかつな事が言えなかった。
永岡君すぐうちの人に電話して!私は吉野和文の左手に引っかき傷がないか確かめてくる。
(永岡)駄目ですよ先生。
そんな鉄砲玉みたいな…。
(南)私も!駄目だよ!みんなで押しかけたら吉野和文が警戒するだろ。
こういう嫌な電話は全部俺だよもう…。
(携帯電話)「早紀危険だやめろ!」大丈夫。
左手の甲に傷があるかどうか調べるだけだから。
杏子さんの事が心配なのよ。
すぐ来て!早紀…。
(通話が切れる音)なんで切るんだよ!
(汽笛)あっ先生。
電話を受けた時この近くにいたの。
だから来てみた。
これはいい。
先生も今度の事件についてお話を聞かせてください。
もういいでしょ。
犯人がわかり被疑者死亡で事件は解決したんですから。
そうね。
いいですけど…このカメラちょっと見せて頂けませんか?いやどんなふうに映るのかなと思って。
ああどうぞ。
あっすいません。
よいしょ。
あらららら…。
結構重たいんですねこれね。
これこうしてここを見てこう…。
あっこれも見るのね。
へえ〜これでよーいスタート!カット!なんて…わあ〜。
あっすいません。
この手袋も貸して頂けます?監督気分ちょっと味わってみたいななんて思っちゃって。
フフフ…。
どうかしました?すいません。
急用を思い出しました。
帰らないと。
え…?あららら…あらまあ…。
なんか私気に障る事言いましたか〜?いや別に…。
さあ返してくださいカメラ。
これこれ。
この手袋を私に貸してくださいよ。
動くな。
先生車ですよね?悪いですが一緒にドライブに付き合ってもらいましょうか。
やっぱりあなただったのね。
その左手の手袋の下には私がつけた引っかき傷がある。
あっ…!あります先生!もう観念して杏子さんを離しなさい!ナイフを置くのよ!車に行きましょう。
…わかった。
でもその前に教えて。
あなたどうして桐島夏子さんを殺したの?桐島夏子を殺したのは私じゃない。
桐島大作です。
(夏子)言い訳は聞きたくない!
(吉野の声)あいつは桐島夏子にクビを言い渡され頭にきてゴルフクラブを振り下ろした。
(桐島)はあっ!
(吉野の声)その時私は桐島邸にいた。
私も困ってたんです。
桐島夏子にそれまで続けていた撮影を急にやめると言われて…。
そして私は金をもらい桐島大作が桐島夏子の死体を埋めるのを手伝った。
ああ…それでわかったわ。
あのタブレットの告白メールにあった事全てにあなたが関わってたのね。
雑木林が造成されると知って頭蓋骨を掘り起こしたのもあなたなら桐島桜さんを尾行し桜さんが工藤正彦さんから復顔された桐島夏子の顔を受け取った時そばにいたのもあなた。
ううっ!ああ…!ああ…!うう…!あなたがうちの人を?うるさい。
杏子さん!《何やってるのよあなた…早く来て…》
(踏切の警報音)《早く…!》でもあなたとっても焦ったでしょ?だってあなたが手に入れた復顔はレプリカの頭蓋骨に施されたものだったから。
なんだこれは?
(吉野)そもそもはあの桐島大作が私から買い取った頭蓋骨を女房に気づかれるから悪いんですよ。
とにかく頭蓋骨を取り返してください。
あの頭蓋骨は始末してもらわないと。
人を動かすのにはお金でしょ。
でも変よね。
桐島大作怒らなかったの?奥さんの桜さんをあなたに殺されて。
仕方がないと思ったようです。
桐島夏子の件では時効が成立しているとはいえあの男は今の自分の地位と財産を失いたくなかったんです。
それに女房が死んで桐島夏子の遺産は全部あの男一人のものになるんですからね。
そしてあなたは目撃者の矢崎稔さんに強請られ…。
殺した…。
歴史館のアトリエや工藤さんの自宅に忍び込んだのもあなたね?でもあれよ。
あの…どうしてもわからないのはなぜあなたが桐島大作に罪を着せようとしたのか…。
簡単ですよ。
殺しの痕跡がこの女の旦那の胸から発見されたと聞いた時もうあいつに罪を着せるしかないと思ったんです。
役に立ってくれましたよ。
水中毒のDVDを作っていた経験が。
(歯が欠ける音)
(吉野)クソッ…。
さあもういいでしょう。
時間稼ぎはやめて3人で仲よくドライブしましょう。
わかった。
キーね。
キー…。
キー…。
あ…これは家の鍵で…車の…車のキー…。
あっこれ…。
逃げて杏子さん!ああっ!杏子さん!うっ…はあ…はあ…。
先生!うう…!うう…!・早紀!!わあっ!わあっ!ナイフを捨てろ。
捨てろ!ああーっ!大丈夫か?遅い…。
杏子さん!大丈夫?大丈夫です。
あなたを引っぱたきたい。
引っぱたくだけじゃなくうちの人の敵を討ちたい。
でもね…でも私はそんな事しない。
おなかの中の赤ちゃんが言ってくれてるから。
ママやめてそんな事してもパパは戻ってこないよって言ってくれてるから。
でもあなたには忘れないでほしい。
あなたが命を奪った工藤正彦という男はすごく優しくて…産まれてくる子供の名前をいくつも考えてくれて産まれてくるのをすごく楽しみにしていたという事を。
(工藤)そうだ「夢」という字をこの子の名前につけよう。
この子には夢をいっぱい持って生きてってほしいから。
あなたには…あなたにはその事だけは忘れないでほしい。
そういう人間をあなたは殺したんだっていう事を!おい。
産まれてくる子は私の夢よ!私たちの夢!私絶対この子を立派に育てる。
夢いっぱいの人間に育てるから!届いたわよあなたの言葉。
天国のご主人に必ず届いたから。
杏子さんの赤ちゃん順調だそうよ。
そうか。
いいお母さんになるぞ。
ねえ。
(恵)先生!あら!フフフ…トレーニング頑張ってね。
フフ…いいねぇ。
ピチピチしてねピチピチ!パンパン!あなたもやる?腹筋。
私ね足押さえてあげる。
ギューッとギューッと。
お前にギュッと押されたら俺の足の骨が砕ける。
ハハハ…。
失礼ね。
・
(谷村)二宮警部!おう。
二宮警部ご報告申し上げます。
おかげさまで自分は来月1日付けで横浜東署刑事課勤務が決まりました!よろしくご指導のほどお願いします!ハハハ…聞いていた。
頑張れよ。
はい!では!ハハハ…。
あなたも大変そうね。
また世話の焼けそうな人が増えて。
ああ。
家でも外でも大変だ。
えっ?家でもって何よ。
家では世話焼いてるのは私でしょ?愛介にあなたにおば様の世話も…。
ああ私って本当によく出来た妻だわ〜。
えっよく太った妻?私は太ってない!ちょっと大きいだけ縦も横も。
ハハハハハ!大きいな確かにな。
もう失礼ねもう!どうどうどうどう…。
どうどうって私は馬じゃない!ブーブーブーブーブーブー…。
私はブタじゃない!あっ!キャイーンキャイーンキャイーン…。
ブルドッグ!かわいい!2015/11/14(土) 12:00〜13:55
ABCテレビ1
法医学教室の事件ファイル[再][解][字]
男女の死体は二人で嘘をつく!?女医が暴く殺人ボールの謎 復顔!20年前から来た殺人者?
詳細情報
◇番組内容
超人気シリーズ第38弾!不可思議な男女の遺体と謎のボールの跡…!!事件の背後には、20年前の人気女優の失踪が絡んでいた!?監察医・二宮早紀が事件の意外な真相を暴く!!
◇出演者
名取裕子、宅麻伸、由紀さおり、酒井美紀、野間口徹、林泰文、田中幸太朗、五十嵐めぐみ、本村健太郎、佐野和真、中村静香 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
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