(テーマ音楽)
岩手県の県庁所在地盛岡市です
朝はもう結構冷えるんですね。
あっ見えました岩手山。
こんな町の真ん真ん中からあんなに立派に見えるんだ。
町の中心からおよそ20km。
間近にそびえるのは標高2,038mの岩手山
10月岩手山の広大な裾野では実りの季節を迎えていました
麓にある直売所です
カボチャにサツマイモなど豊かな秋の味覚が並びます
いや〜何としてでも欲しいわ。
300円の1つだけ残ってたんです。
あ〜…これいい?
お目当ては近くで採ってきたきのこ。
この時期しか味わえません
岩手山のやっぱりほんとの恵みみたいなもんで。
何て言うかなぁ…岩手山あるからこそ我々ここに住み着いたみたいなもんで。
南部富士とも呼ばれ地元の人たちに愛されてきた岩手山
岩手出身の歌人石川木が詠んだ望郷の歌です
10月上旬。
岩手山では紅葉が見頃を迎えていました
登山口にあるスキー場のリフト
このリフトで標高1,300mの中腹を目指します
黄色く色づいたダケカンバに赤みがかったカエデ
紅葉を眺めながら30分かけて標高差500m余りを登っていきます
リフトを降りると一気に視界が開けました
山肌一面を覆う赤や黄色
紅葉を楽しみに大勢の人たちが訪れていました
うちはすぐそばなんですけれども暇な時はこの辺歩いてますね。
もう最高です。
なかなかねここには来れないから。
色がきれいなところと孫たちと一緒で。
楽しいです。
りょう線に出ると背の低い木々が色づいていました
見えてきたのは御苗代湖という小さな湖
みなもに映る紅葉はこの時期ならではの美しさです
更に登ってゆくと天気は急変
霧が出てきて急に前が…。
一番の難所鬼ヶ城です。
険しい岩場を鬼の住みかに例えてこの名が付けられたといいます
よいしょ!ああ風が強い。
よいしょ…。
足元気を付けないと…。
大岩が積み重なってる。
よいしょ!ああ…これから下りていくんだ。
鬼ヶ城を過ぎると登山道で作業する人たちがいました
こんにちは〜。
こんにちは〜どうも〜。
道直してらっしゃるんですか?ええ。
これ雪降ってしまうとガスった時にね道が分からなくなるのでその目印です。
道外れないように。
そうです。
間もなく訪れる冬に備えて登山の目印になるよう仲間たちと共にくいを打ち込んでいました
冬場この辺りは1mを超す雪に覆われます。
冬山に入る人たちが少しでも安全に歩けるよう国の許可を得て10年以上前から続けています
県の職員として山の環境保全に関わってきた阿部さん。
岩手山は親しい友人のようだと言います。
山のために何かしたいと定年後仲間たちに呼びかけたのです
やっぱり自分たちのふるさとの山だし目の前の山だしね他から来る登山者の皆さんにもこの岩手山のよさを楽しんでもらいたいって思いでね。
皆で力を合わせてやれる事を少しずつやろうと。
そんな事でね取り組んでいます。
更に登ってゆくと紅葉は姿を消します
枯れた草やむき出しになった岩肌が広がります
歩き始めて5時間。
標高1,800m近くにある山小屋です
40年以上前に建てられ登山者たちの疲れを癒やしてきました
こんにちは。
こんにちは〜。
寒かったでしょう?寒かったです。
風が強いし。
お世話になります。
今ストーブ燃やしたからどうぞ。
出迎えてくれたのは地元山岳会の…
100人が泊まれるこの山小屋
もともとは雨風をしのぐための避難小屋ですが登山者の多い夏から秋にかけては山岳会の人たちが交代で泊まり込んでいます
食事は出せませんが登山者の様子に目を配ったり山の情報を教えたりと安全な登山を支えているのです
去年は夕日も見れたんですけど今日はちょっと曇ってきちゃったから見れないですね。
ほんとはあしたの朝…。
朝見れればいいですけどね。
あしたね御来光は期待しない方がいいと思うよ。
何てがっかりさせるような事言ってあれだけども。
こんにちは。
あっどうもお世話になります。
薪持ってきましたんで。
登山者が持ってきたのは1本の薪
ものも人手も足りない山小屋のために一人一人が麓から持ってきてくれるのです
小屋にあるただ一つのストーブにくべられ訪れる人の冷えきった体を温めます
やっぱそうやって支えてもらってるっていうかね。
一人一人にね。
ええ。
まあ何て言ったらいいかね1人じゃできないけど皆が少しずつこうやってけばいい山になってくってか気持ちいい山になってくんじゃないかなと思うんですけどね。
大きな荷物を背負った人がやって来ました
お疲れ様で〜す。
おおお疲れ。
ようやく着きました。
寒かったべ。
持ってきたのは自宅の畑で育てた野菜です
(太野)これネギ入るとねおいしいからね。
太野さんは月に2度ほど登ってきては新鮮な食材を使って小屋を守る人たちに料理を振る舞います
大根煮えるまで。
もう煮えたこれ白くなってる…。
うん?ま〜だ硬いよ。
まだまだ。
太野さんは山が縁で結ばれた夫の隆夫さんとよく一緒にこの山小屋に来ていました。
しかし8年前隆夫さんは山で遭難し亡くなりました
仲間たちと夫の思い出を語り合うひとときが一番の供養になる。
その思いで太野さんは山小屋に通っています
とにかく厳しい山厳しい山が好きだったんですよ。
だってさふぶけばさ「おっ今日は調子いいな」とかかんとかって言ってたもんな。
うちでね耐寒訓練だって言って冬にあんまり布団かけないで。
山仲間と知り合えたのがうちの旦那を介してだからだからそれが私にとってはすごい…何て言うのかな贈り物って言ったらいいか財産つったらいいか大切なものです。
だからすごく大事にしていきたいなと思ってます。
温かな思いに包まれ小屋の夜が更けていきます
翌朝。
山頂を目指して出発です
ここから先はほとんど植物は見られず荒涼とした風景が続きます
強い風が吹きつける中一歩一歩歩みを進めました
ああ随分登ってきた。
登り始めて40分
頂上の近く御鉢と呼ばれる火口に到着しました
こんなんなってたんですね山の向こうは。
あっ御鉢が!御鉢がきれいに見えてる。
うわ〜すご〜い大きな山だ!青空でよかったな。
風強いけど。
ああ〜。
奥に見えるのが頂上。
しかし猛烈な風のため登る事を諦めました
それでも標高2,000m近い場所からは大パノラマが広がっていました
雲海の向こうにそびえるのは東北の名峰鳥海山
そして眼下には家々や田畑がありました。
山に寄り添うように続く人々の営みです
10月下旬
山小屋の周りはすっかり雪と氷に覆われていました
せ〜の!よいしょ。
冬の間無人となる小屋。
管理人として今シーズン締めくくりの仕事です。
雪が中に入らないよう板を打ちつけます
冬に登ってくる人たちもここで安心して過ごせますように
心寄せ合うふるさとの山です
(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2015/11/14(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅 シリーズ山の歌 秋「おらが山 心寄せて〜岩手山〜」[字]
標高2038mの岩手山。宮沢賢治や石川啄木も愛したこの山は「南部富士」と呼ばれ、親しまれてきた。紅葉を楽しむ登山者、彼らが集う山小屋など、晩秋の岩手山を訪ねる。
詳細情報
番組内容
盛岡市を眼下に望む岩手山。標高は2038m。麓に暮らす人々からは「南部富士」と呼ばれ親しまれてきました。宮沢賢治や石川啄木も愛したという「おらが山」です。10月は紅葉のピーク。ブナやカエデが山肌を彩ります。頂上へ向かう山小屋には、麓の山好きたちが集います。小屋を守り続ける管理人や亡き夫へ思いをはせる人。山を愛する人たちの思いが交差します。麓の人たちの「心の山」としてあり続けた晩秋の岩手山を訪ます。
出演者
【語り】山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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