違法な報道?、全面広告にびっくり


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読売新聞に全面広告が掲載された。驚くべきことに「News23」の岸井成格氏を名指しで批判する全面広告だった。「私たちは、違法な報道を見逃しません」というタイトルで書かれた全面広告は、放送法第4条を盾に岸井氏の「メディアとしても(安保法案の)廃棄に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」を「放送法第4条の規定に対する重大な違反行為」だと書いている。
理由は3点(以下抜粋)
1点目「メインキャスター、司会者が一方的な意見を断定的に視聴者に押しつけることは、放送法第4条に規定された番組編集準則に明らかに抵触します」
2点目「『メディアとしても(安保法案の)廃棄に向けて声をずっと上げ続けるべきだ』は、放送事業者全般に対して、放送法への違反行為を積極的に促す発言と受けとめざるを得ない点で悪質です」
3点目「当日の番組では、法案に賛成する第3者の意見が紹介される場面は皆無でした。それどころか「News23」は法案成立までの一週間、法案反対側の報道のみに終始しています(※1参照〔──記事の左下のグラフ〕)。下図を見れば明らかなように、余りにも一方的な時間配分です」

この全面広告の呼びかけ人は、すぎやまこういち/代表(作曲家)、渡部昇一(上智大学名誉教授)、渡辺利夫(拓殖大学総長)、鍵山秀三郎(株式会社イエローハット創業者)、ケント・ギルバート(カリフォルニア州弁護士・タレント)、上念司(経済評論家)、小川榮太郞(文藝評論家)となっており、広告は、寄附によって行ったものだと書いている。

しかし、この全面広告は、「News23」の報道姿勢を全面的に検証したものではなく、岸井氏の9月16日の発言を切り取って、批判したものだ。このような批判の仕方には、ものすごく違和感がある。ときどき「News23」を見ていたものとして、この批判の仕方はいただけないと感じる。番組は、反対運動の高まりの中で、長きにわたって法案の審議の内容を伝えていた。安全保障関連法案に対する批判がどこにあり、政府の説明のどこに問題があるのかという点で、検証しながら番組を編成していたというのが、実際の姿ではないだろうか。

安全保障関連法案は、憲法違反かどうかが鋭く問われ、憲法学者へのアンケートも行われた。圧倒的多数の憲法学者が違憲だという見解を明らかにし、最終的には元最高裁長官や元判事の3人の方が違憲だという見解を示した。「News23」はこういう内容を伝えながら、同時にこれに対する政府の説明も行い、その上で岸井氏が見解を述べるということを行っていた。「司会者が一方的な意見を断定的に視聴者に押しつける」というようなものではなかったのではないだろうか。

放送法第4条だけを抜き出して、法律違反だと論じているのにも無理がある。
放送法第1条の目的は、
「第1条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一 放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」
と規定している。
この目的は、日本国憲法の精神を具体化するものとして、読むべきものだと思われる。国民主権が根底にあって、国民への普及があり、表現の自由、国民の知る権利の保障、民主主義の発展に資することが明らかにされているのではないだろうか。

第3条は(放送番組編成の自由)を規定している。
第3条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

これを踏まえて、
放送法第4条(国内放送等の放送番組の編集等)
第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。がある。

不偏不党や真実及び自律の保障によって表現の自由を守ること、放送番組編制の自由の上で、放送法第4条があることを考えると、放送法第4条だけを切り離して論じることは、論点をせばめ、意図的な結論を見いだすような感じを受ける。

このような意見広告を出して、放送のあり方に問題があるようにいい、政府の見解に批判的な報道や番組はあたかも片寄っているかのようにいうのは、恐ろしい。日本国憲法は、現代憲法なので権力の監視と権力の手を縛るものになっており、その一方で国民の権利を保障している。憲法を無視して安全保障法案を数の力で押し通そうそしていたときに、権力の暴走を批判し、国民主権の側に立って事実を伝えようとしたテレビ番組は、日本国憲法と放送法の精神に基づいて番組を編成していたのではないか。偏向どころか、放送の王道を貫いていたのではないだろうか。


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13 Comments.

  1. 文化放送で偏った内容を話す上念司氏にいわれたくないですね

  2. >ときどき「News23」を見ていたものとして、この批判の仕方はいただけないと感じる。

    ”ときどき見ていた”程度の人が

    >実際の姿ではないだろうか。

    と推測で垂れ流したこの全文に無理がある。
    「のではなかろうか」などという推測ではなく、完全なる断定である。
    猛省すべきである。

  3. 渡部昇一と上念司

    渡部昇一と上念司は多くの問題発言で知られています。
    http://matome.naver.jp/odai/2142518818895679001
    http://matome.naver.jp/odai/2143899611509579401

    他の人も同じようなものなのでしょう。

  4. 「不偏不党や真実及び自律の保障によって表現の自由を守ること、放送番組編制の自由の上で、放送法第4条があることを考えると、放送法第4条だけを切り離して論じることは、論点をせばめ、意図的な結論を見いだすような感じを受ける。」??

    私が読む限り放送法は第4条までではなく第193条まであります。それぞれ章立てされていて、第1条・2条が第1章総則、第3~14条が第2章放送番組の編集等に関する通則です。
    あなたの言を借りるなら、第1~4条だけ切り離して論じることも論点を狭め、意図的な結論を見出すことになるのでは。
    残念ながらいちゃもんの類の言説ですな。よく調べてから書きましょう。 😡

  5. 放送法第4条に抵触かは別として
    所詮、民放と思って見ています。
    株式会社で営利目的ですからね。
    (TBSに限らず全局とも)

    しかし、公共放送のNHKだけは話は別です。
    左右関係無く偏向報道に対しては厳しい目で
    監視せねばならないと思います。

  6. 偏向報道を批判するのが公正な
    立場だ。

  7. だいじなご指摘。正確で真実のコメントに、感謝です。これからの、するどい正義の発信を、こころからおまちいたしております。ありがとうございました。こんしん合掌

  8. 中野のやまじ風

    国民の権利を保障している。憲法を無視して安全保障法案を数の力で押し通そうそしていたときに、権力の暴走を批判し、国民主権の側に立って事実を伝えようとしたテレビ番組は、日本国憲法と放送法の精神に基づいて番組を編成していたのではないか。> 表現の自由を身勝手に解釈した擁護意見ですね。そもそも岸井氏は他にも問題発言が多く、特に安保法案に関してはずいぶん前から偏向した意見を番組で発信してましたね。TBSの報道番組は公平性を欠いた欠陥番組ですから観ないことにしてますが…

  9. 報道機関には政府権力機関の暴走への抑止の役割を担ってもらう必要があるでしょ。
    その局(あるいは番組)ごとに「公正な報道」の姿は違ってきても仕方がないし、真に国民の利益、公共の福祉を追求する姿勢を持って報道すれば良いのではないかと思います。
    むしろ、取材を通してあからさまに憲法上問題のある法案だと報道機関が感じたならば、それについてどういう問題があるかをきっちり報道してもらわないと困ります。
    それを政府に配慮したりすることは正義に反することだと思います。

  10. あなたも憲法全体を考察せず9条ばかりを拠り所にしているでしょう。批判している相手と大差ない。

  11. 放送を偏向報道と指摘する新聞広告も偏向しているなぁ、、、

  12. 表現の自由って、権力に弾圧されないことが重要なんでしょ?
    放送法にも一部憲法違反の可能性を指摘する憲法学者がいるって聞いたが、
    すが官房長官が放送法の免許取消権限を盾に脅迫のような話し方をしていたことがありましたが
    いろんな切り口を認めるのが表現の自由かと。
    放送法を盾に、脅迫されたく無いなあ。
    記事の内容とコメントの議論は、私には難しいけど、
    どっちかというと賛成かな。
    読売は、政権寄りで、偏見有りと感じる。

  13. >ときどき「News23」を見ていたものとして、この批判の仕方はいただけないと感じる。
    あなたも時々しか見ていないんだから、人の事言えないのでは?
    自分の時々は良くて他人の時々は認めないと?
    ずいぶん傲慢ですね(笑)

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