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国が代執行求め提訴 沖縄県と法廷の争いに
11月17日 19時03分

国が代執行求め提訴 沖縄県と法廷の争いに
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沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設計画を巡り、沖縄県の翁長知事が名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消したことに対し、国は17日、知事の代わりに取り消しを撤回する代執行を求めて提訴しました。審理は来月2日から始まることが決まり、埋め立て承認を巡って国と沖縄県が法廷で争う異例の事態となりました。
名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消した沖縄県の翁長知事は、取り消しの撤回を求める国の勧告や指示に対し、「地方自治の本旨に照らしても、極めて不当であり、誠に残念だ」などと述べ、撤回に応じていません。このため国は地方自治法に基づいて、知事の代わりに取り消しを撤回する代執行を求める行政訴訟を17日朝、福岡高等裁判所那覇支部に起こしました。
訴えで国は、「承認の取り消しを放置すれば、普天間基地の周辺住民に対する危険性が続くうえ、アメリカとの信頼関係に悪影響を及ぼし、外交・防衛上重大な損害が生じて著しく公益を害する。また、前の知事は、国の環境影響評価に基づいて埋め立てを承認したもので、違法性はない」などと主張しています。
福岡高裁那覇支部は17日午後、国側と県側の双方と事前の話し合いを行い、最初の弁論を来月2日の午後2時から行うことを決めました。
翁長知事はこれまで、「移設先として辺野古沖が適切だとすることについて国から説明がなく、埋め立てにあたっての環境保全策も十分ではない」などと指摘したうえで、前の知事が埋め立てを承認したことには法律的な問題があるとして、「取り消しは適法だ」と主張しています。
地方自治法に基づく代執行を求めて国が行政訴訟を起こすのは、今の制度になった平成12年以降初めてです。さらに沖縄の基地問題を巡って国と沖縄県が正面から法廷で争うのは、20年前、当時の大田知事が軍用地の強制使用を巡る代理署名を拒否し、双方が対立して以来の異例の事態となりました。

翁長知事「正当性を主張・立証する」

国が提訴したことについて、沖縄県の翁長知事は17日夕方、記者会見し、「訴訟の場でわれわれの考えが正当であることを主張・立証していく」と述べ、裁判を通じて県の主張を説明する考えを示しました。
この中で翁長知事は「辺野古の美しい海を埋め立てて新基地建設を強行しようとする政府の態度は、多くの県民には理解できない。沖縄に対しては『安全保障は国の専権事項』と主張し、県外では『地方自治の尊重』という政府の態度は完全なダブルスタンダードだ」と述べました。そのうえで「基地は沖縄に置き続ければいいという固定観念で一方的に基地を押しつける政府の対応は、沖縄差別の表れで、法治国家の法の下の平等の原則に反する」と述べ、国の提訴を強く批判しました。また、「埋め立ての承認、および取り消しの審査権限は沖縄県知事にあり、私が適法に行った承認の取り消しを、政府から違法と決めつけられるいわれはない。訴訟の場でわれわれの考えが正当であることを主張・立証していく」と述べ、裁判を通じて県の主張を説明する考えを示しました。
さらに来月2日に最初の弁論が行われることについて翁長知事は、「私の気持ちとしてはぜひとも話をしたい。そういった機会をいただけるのであれば全力でやりたい」と述べ、調整がつけば、みずから意見陳述したいという考えを示しました。

官房長官「工事推進に変わりない」

菅官房長官は午後の記者会見で、「政府として、関連法令に基づいて、自然環境や住民の生活環境に最大の配慮をしながら移設工事を進めていくことに変わりはない」と述べました。そのうえで、菅官房長官は、「翁長知事は、自民党の沖縄県議会議員の時代に、『早く辺野古移設をして、普天間の危険除去をなんとかすべきだ』という演説をした。政府としては、いちばん大事なのは、普天間飛行場の危険除去と閉鎖だが、翁長知事から全く解決策を聞いたことがない。沖縄県の関係者の努力が、全く無視されている状況だ」と述べ、翁長知事の対応を批判しました。

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