「骨折るか、目をえぐるか選べ…」元熊ケ谷親方の非道な暴力 初公判で明らかに
今年7月、男性マネジャーを金属バットで殴ったなどとして、傷害罪に問われている大相撲の元熊ケ谷(くまがたに)親方(元十両・金親)こと山村和行被告(46)の初公判が16日、東京地裁(鈴木秀行裁判官)で開かれた。証拠として提出され、法廷で読み上げられた被害男性の供述調書からは、宮城野部屋付きの親方だった山村被告が、男性に対し壮絶な暴力を振るっていたことがうかがわれた。
元力士の親方が振るった、聞くだけでもすさまじい暴力の内容が、法廷で次々と読み上げられた。
起訴状などによると、山村被告は7月20~27日の間、名古屋市内のマンションと大阪市内のホテルの室内で、車の運転や身の回りの世話をする当時30歳の男性に対し、金属バットやすりこぎ棒、金づちなどで尻や腕などを殴り、全治2週間の打撲傷などを負わせた。
冒頭陳述や、被害男性の供述調書から分かったのは、山村被告の非道ぶりだった。暴力は男性の「ミス」に対して行われていたが、その内容は「冷蔵庫に飲み物を補充していなかった」「クリーニング済みのポロシャツに触った」など、ささいともいえるものばかり。それらのミスを「超」「スーパー」「重要」などと分類し、その“格付け”に応じて罰として暴力を振るったという。
被告は「骨を折るか、目をえぐるか、キンタマをつぶすか、罰を選べ」とすごんだほか、爪の間に針を刺す、すりこぎ棒で関節を叩く、金属バットで尻を殴る…と、いずれも負傷を伴う暴力を振るった。さらに、チューブ入りわさびの一気食いの強要や、罰金を取ることもしていたという。それらの暴力が少なくとも今年の1月から断続的に行われていたとした。
半袖の白いワイシャツに黒いスーツのズボンで法廷に現れた山村被告は、小声の早口で名前と生年月日を発した。すでに10月1日に日本相撲協会を解雇されていることから、職業を聞かれると「無職です」。罪状については「間違いありません」と認めた。
その後は両拳を軽く握りしめて膝の上に置き、うつむき加減。自身の暴力とされる行為が、朗読されても、一度も目線を上げず、微動だにしなかった。