磯部佳孝、田中久稔、上遠野郷
2015年11月17日13時47分
米軍基地をめぐる国と沖縄県の対立は、法廷闘争に突入した。「辺野古移設」反対を公約に掲げた翁長雄志(おながたけし)知事の当選から1年。対話や論争を重ねてきた両者は政治的解決の糸口をつかめないまま、司法の場で主張をぶつけ合うことになった。地元沖縄では、怒りや困惑が入り交じった。
17日午前8時半ごろ、那覇地方法務局の職員2人が那覇市の福岡高裁那覇支部を訪れ、書記官室に書類を提出した。2人は報道陣の問いかけに対し言葉少なに建物裏手の出入り口から立ち去り、まもなく、那覇地方法務局から報道各社に、訴状を提出したとの連絡があった。
■ゲート前の座り込み、500日に
「日本政府が、われらが翁長知事を訴えた。怒りの声を上げないといけない。被告になるべきは国だ」
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先とされる名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前。午前9時半ごろ、抗議行動を取りまとめる沖縄平和運動センターの山城博治さん(63)が声を上げた。「そうだ、そうだ」「国の横暴を許さない。県政を支えるぞ」。移設計画に反対する人たちの声が続いた。
シュワブのゲート前での座り込みは18日で500日になる。この日も約70人が早朝から座り込んだ。「今後は国と県の全面的な戦いに入る」と山城さん。18日は1千人規模の座り込みを計画しているという。
「国の悪あがき。びくびくせず、座り込みを続けるだけ」。名護市辺野古の無職金城武政さん(58)は冷静に話した。
高校3年の時、母親が米兵にブロックで頭を殴られて殺された。卒業後は東京に出てグラフィックデザインを学んだ。「不屈499日」。座り込みの日数を記す立て看板は、金城さんのお手製だ。国と県の対立は先が見通せないが、立て看板の日付は3桁までしかない。「争いを早く終わらせたいのが本音。でも国の動きは県民への弾圧だ」
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