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もんじゅ:規制委、運営変更を勧告…文科省が検討組織

毎日新聞 2015年11月13日 21時13分(最終更新 11月13日 21時18分)

原子力規制委員会の田中俊一委員長(左)から高速増殖原型炉「もんじゅ」に関する勧告書を受け取る馳浩文部科学相=文科省で2015年11月13日午後3時15分、宮間俊樹撮影
原子力規制委員会の田中俊一委員長(左)から高速増殖原型炉「もんじゅ」に関する勧告書を受け取る馳浩文部科学相=文科省で2015年11月13日午後3時15分、宮間俊樹撮影

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)の運営で安全管理上のミスが相次いだ日本原子力研究開発機構について、原子力規制委員会は13日、「適格性に重大な懸念がある」として、機構を所管する馳浩文部科学相に対し、半年後をめどに新たな運営主体を示すよう勧告した。規制委が勧告を出すのは初めて。これを受け、馳文科相は原子力機構に代わる運営主体を検討する組織を発足させる意向を明らかにしたが、受け皿を見つけるのは容易ではなく、国の核燃料サイクル政策の中核施設のもんじゅは大きな転換点に立たされた。

 規制委は同日、原子力機構には「(もんじゅの)運転を認めることはできない」とした上で、(1)原子力機構に代わる者を具体的に特定する(2)特定が困難な場合はもんじゅが抱える安全管理上のリスクを減らすよう、もんじゅのあり方を抜本的に見直す−−の2点について、半年後をめどに示すよう文科相に求める勧告を決定。田中俊一委員長が文科省を訪れ、勧告文書を馳文科相に手渡した。馳文科相は「私が前面に立って対応する。国の基本政策にも関わるので関係省庁と連携を取りながら取り組みたい」と応じた。

 もんじゅを担当する文科省の田中正朗・研究開発局長は同日、「運転再開に向けて、回答を作り出したい」と述べ、運営主体を検討する組織を近く省内に設置する方針を示した。検討組織のあり方などは今後、決めるという。

 勧告は規制委設置法に基づくもので、強制力はないものの、原子力施設の安全が確保されない場合は改善を求めることができる。

 もんじゅは2012年に、機器全体の2割に当たる約1万件で点検漏れが発覚。規制委は13年に原子炉等規制法に基づく運転禁止命令を出し、原子力機構に管理体制の見直しを求めたが、その後も新たな点検漏れや機器の安全重要度分類のミスなどが次々と発覚するなど改善されなかったため、初の勧告に踏み切った。

 もんじゅは1991年に試運転を開始したが、95年のナトリウム漏れ事故などトラブルが相次ぎ、運転実績はほとんどない。これまでに約1兆円の国費が投じられている。【斎藤広子、鳥井真平】

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