国連総長の訪朝受け入れ 体制誇示と外交成果が狙い?

【ソウル聯合ニュース】国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が今週、北朝鮮の平壌を訪問することが分かり、潘氏を受け入れる北朝鮮の目的に関心が集まっている。

 韓国の専門家の間では、金正恩(キム・ジョンウン)体制の安定性を海外に誇示する意図との見方が大勢を占めている。北朝鮮は来年5月に朝鮮労働党の党大会を控えており、北朝鮮の存在感を世界にアピールすると同時に、内部に向けては潘氏の訪朝を外交的な成果に活用するという計算もうかがえる。

 韓国・東国大北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は16日、「北の立場としては『金正恩体制は閉鎖的でなく、安定的だ。実際に金第1書記は外部との関係を積極的に改善しようとしている』というメッセージと意思を強く打ち出すという面がある」と話した。36年ぶりの党大会を前に金第1書記が対外関係で成果を出す意味合いもあると分析。象徴性が大きく注目度も高い人物として潘氏を招いたとみるべきだとした。

 また、国連で北朝鮮の人権状況を非難する人権決議案の採択が推進されるなど外交の舞台で難しい立場に置かれている状況を、潘氏の訪朝を通じ改善しようという意図もあると指摘される。ある北朝鮮関連筋は「国連で北朝鮮人権決議案の採択問題が話し合われていることから、イメージを改善しようという意図ではないかと思う」と話した。

 同筋は潘氏が金第1書記に会う可能性については、「見守る必要がある」とした。8月に故金大中(キム・デジュン)元韓国大統領夫人が訪朝した際、金第1書記が会わなかったことに言及した。

 最近、北朝鮮の態度が前向きな方向に変化しており、こうした流れの中で潘氏の訪朝を見るべきだとする意見もある。

 北朝鮮は8月、南北高官協議を通じ韓国との軍事衝突の危機を回避した後、韓国と国際社会に向け融和的なジェスチャーを示している。10月10日の党創建70周年には事実上の長距離弾道ミサイルを発射しなかった。中国を意識したものか、技術的な問題のためだったのかは確認されていないが、いずれにしても南北間に生まれた対話ムードに冷や水を浴びせることは避けられた。

 一方で、北朝鮮は朝鮮戦争の休戦協定を破棄して平和協定を締結するよう要求している。9月に李洙ヨン(リ・スヨン)外相が国連総会の演説で提案し、10月17日の韓米首脳会談直後にも外務省声明を出し、あらためて求めた。

 北朝鮮は核問題を話し合う6カ国協議をめぐり中国の要求を一方的に無視できない状況になっており、非核化に対抗する切り札として平和協定を持ち出し本格的な外交戦に乗り出すのではないかという分析も専門家の間で出ている。

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