【記者手帳】地方自治体だけが甘い汁を吸う韓国プロ野球

【記者手帳】地方自治体だけが甘い汁を吸う韓国プロ野球

 記者はここ数年、プロ野球ではネクセン・ヒーローズのファンだった。チームの拠点である木洞球場が自宅から近かったため、暇つぶしに球場に通い始めたのがきっかけだ。親会社がなくスポンサー体制で何とか経営を維持してきたためか、大企業から手厚い支援を受けている他チームのような派手さはない。しかし若手をしっかりと育てることで3年連続ポストシーズンに進出し、記者を含むファンを大いに喜ばせてくれた。

 ヒーローズの主砲を務める朴炳鎬(パク・ピョンホ)の米メジャーリーグ進出がつい先日決まったが、それによってチームは148億ウォン(約15億6000万円)を受け取るそうだ。決して少ない額ではないだろうが、チームの財政状況を画期的に改善できるほどではない。ちなみにヒーローズはチーム創設後、およそ50億ウォン(約5億3000万円)もの赤字を毎年のように記録してきたことから、一度も法人税を納めたことがない。これまでの累積赤字も250億ウォン(約26億4000万円)を上回るという。他チームのファンたちはヒーローズのファンを「ネクこじき」と呼ぶ。貧しいチームを応援しているのがその理由だそうだ。

 プロ野球観戦のため球場に足を運ぶと、時に大企業の運動会を思い起こすことがある。「サムスンのイ・スンヨプ」「無敵LGの呉智煥(オ・ジファン)」「斗山のおつぼねさま・梁義智(ヤン・ウィジ)」など、相手チームからは親会社の社名を叫ぶ応援の声が響いてくる。また選手たちも親会社の社名が書かれたユニホームを着てプレーする。これは韓国プロ野球のごく普通の光景だ。誰もがその名を知るような大企業が「国民スポーツ」への支援を行うのは決して悪いことではない。しかし韓国プロ野球界におけるこの独自のスタイルは「野球を『金もうけができるビジネス』とは誰も最初から考えていない」との認識を定着させ、結果としてヒーローズのように収益を追求するチームは経営がやりにくい。韓国のプロ野球チームはそのほとんどが毎年100億ウォン(約11億円)近い赤字を計上しているため、大企業はプロ野球チームの経営を一種の社会貢献事業のように認識している。本業が順調なら問題ないが、経営が悪化したり、あるいはオーナーの気が変わったりすれば、親会社がチームを手放しファンが大きなショックを受けることが何度もあった。

経済部=キム・シンヨン記者
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