幸い違反の内容は大したこともなく、警官は記者にその場で説教をしただけで見逃してくれた。しかしそれからは警察が怖くなった。ニューヨークの警察官は濃い紺色の制服を着て拳銃と無線機、そして衛星利用測位システム(GPS)を持ち歩いている。何も悪いことはしていなくても、なぜか関わりたくなくなった。ハリウッド映画に出てくるような米国の警察官は、少なくとも記者が米国にいた時に会ったことはない。彼らは常に厳かで権威的で無表情だった。
一方で韓国の警察官の制服は民間警備会社よりもお粗末だ。だぶだぶのグレーのシャツにこれまただぶだぶのズボン、そしておそらく1000ウォン(約100円)もしないような帽子をかぶっているが、少し暑い日にはその帽子さえ真っすぐきちんとかぶらない。これでは権威のようなものは少しも感じられない。手で指示をしても平気で無視して通り過ぎる車には、「気分が悪い」といった表情を見せるだけでそのままやり過ごす。このようにずさんな取り締まりをしているようでは、米国のように「すぐ指示に従わねば」いう思いも全く出てこない。
だぶだぶの制服を着てがに股で歩く韓国の警察官に呼び止められたときに「今回だけは見逃してくれ」から始まり「お前は何歳だ!」に至るまで、ありとあらゆる言葉でこの司法公務員をばかにするような人間を擁護するつもりはない。しかし警察官の側ももう少しかっこいい制服を着るか、あるいは今の制服をきちんと着用してほしいものだ。そして市民の前ではたとえ同じ警察仲間が集まったときでも、くだらない雑談などしないよう心からお願いする。