主婦たちがアクセスする料理関連サイトで「ラグジュアリー・ブログ」が話題になっているというのでアクセスしてみた。モデル顔負けの顔と容姿を誇る、若い母親が開設しているブログだ。海外旅行やブランド品のショッピング、グルメツアーなどを扱っていて、まるで童話のような生きざまがつづられている。どれも夫が高収入を得ていて、夫婦共に親は金持ちだ。家事はお手伝いさんが行い、子どももブランド品のおもちゃで遊んでいる。写真はどれも雑誌のグラビアのようだ。あまりにも非現実的なため、「手に水の一滴もつけたことのない」雲の上の世界のように思える。
主に写真をアップするソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「インスタグラム」は、洗練されたイメージが強く、流行や化粧などに敏感な人たちが集まっている。普通の人であっても、ファッション感覚が優れている人のIDには数千人ものフォロワーが付く。この優れた口コミの窓口を企業が見逃すはずがない。自分が紹介した商品を、インスタグラムの「スター」が選び、写真をアップする見返りとして1件に付き200万-300万ウォン(約21万-32万円)を支払うこともある。ユーザーは個人的な活動だと思って「いいね」ボタンを押すが、そこには密かな「取引」が見られるというわけだ。
100万人のフォロワーを持つオーストラリアの19歳の少女が「ソーシャルメディアの世界は虚像だ」と主張し、SNSの陰の部分をアピールする「闘士」へと変身した。少女は厚い化粧とビキニ姿の写真を掲載し、男性たちが付ける「いいね」に酔いしれる生き方について「息が詰まりそうだ」と打ち明けた。ある業者が提供するドレスを着用し、写真を撮ってアップすることで400ドル(約4万9000円)を受け取ったこともあるという。この少女は自分のIDで掲載した数千枚もの写真を一斉に削除した。人に見せびらかすための虚飾に満ちた人生はもうこりごりというわけだ。