APEC:新たにテロ対策強化も議題に 閣僚会議開幕
毎日新聞 2015年11月16日 21時40分(最終更新 11月17日 00時41分)
【マニラ岩佐淳士、工藤哲】日米中など21カ国・地域によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議が16日、フィリピンの首都マニラで開幕した。冒頭、議長国フィリピンの提案で岸田文雄外相ら出席者がパリ同時多発テロ事件の犠牲者に黙とうをささげた。会議ではAPECの枠組みでもテロ対策を強化すべきだとの意見が出た。18、19日の首脳会議でもテロ対策を巡る各国の連携が議題となりそうだ。
閣僚会議で岸田氏は、パリの事件について「改めて国際的なテロとの戦いの重要性を認識させた。国際社会が一致団結し、断固非難すべきだ」と訴えた。岸田氏はこの日夜、フィリピンのデルロサリオ外相と会談し、南シナ海問題での協力の強化について協議したとみられる。
一方、首脳会議には安倍晋三首相や米国のオバマ大統領、中国の習近平国家主席、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領や、東南アジアの各国首脳らも参加する。
APECの会議自体はアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現に向けた取り組みなど経済連携に主眼が置かれている。ただ、米海軍は10月下旬、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島に中国が造成した人工島から12カイリ(約22キロ)内の海域に艦艇を派遣する「航行の自由」作戦を実施し、中国が反発。議長国のフィリピン政府は南シナ海問題を積極的に取り上げない方針だが、この問題を巡る各国首脳の発言に注目が集まっている。
またAPEC期間中、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加する日米など12カ国による首脳会合が開かれる見通し。首脳会合の開催は、10月に大筋合意して以来初めてとなる。