一方「信仰の自由は保障されている」(7月の外務省報道官声明)など、都合の良い対外発信は外交史に刻まれる。小欄は「侵攻の自由」だと勘違いしたが、中国の「口」は凄まじい勢いで信用を無くしている。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は15日、世界の兵器取引額を発表したが、中国は「信用に値する情報がない」と調査対象外だった。
拷問・虐殺といった共通の価値観を持つ北朝鮮でさえ、中国に不信感を抱き始めた。ただ、面の皮の厚さは尚同じ。北の人権問題を追及する国連に矛先を向け「CIAの非人道的拷問に目を背けている」と、自らを棚に上げた。もっとも、中国が醸し出す“棚上げ王”の風格にはほど遠い。中国の華僑向け通信社は衆議院選挙を論評した。
《自民党が大勝しても、投票率が極めて低ければ、真に民意を反映しているとはいえない》
そういう上から目線は、投票率や民意が存在する国に限られる。政治選択の権利を奪われたままの漢人も拷問されているに等しいが、拷問はまだ在る。
汚職と有害物質にまみれ、真っ黒に染まった社会と空…。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)