韓中FTAが発効すれば、韓国の輸出の4分の1を占める中国市場で10年以内に年間460億ドルに相当する輸出品目で関税が撤廃され、対中輸出に弾みがつく。5万3800人分の雇用が創出され、中国との貿易額は年90億ドル程度増加すると期待される。特にこれまでの主力輸出品目である素材、部品など中間財だけでなく、衣料、乳幼児用品、医療機器、高級生活家電など中小企業の製品も競争力が高まる見通しだ。
最近中国経済が年7%未満の「中速成長」時代を迎え、韓中FTAの迅速な議会承認はますます急がれる。韓国の対中輸出は昨年(前年比0.4%減)に続き、今年も1-8月に前年同期比3.6%減少し、赤信号がともっている。韓国貿易協会のパク・チョンイル貿易研究室長は「最近中国の成長戦略が投資、輸出中心から消費・サービス中心にシフトしており、韓中FTAはそうした変化に対する確実な支援軍になる。議会承認が遅れれば、効果が半減してしまう」と指摘した。
■韓・ベトナムFTAも承認遅延
韓・ベトナムFTAの議会承認動議は、野党が韓中FTAとリンクさせているため、処理が遅れている状況だ。新政治民主連合の崔載千(チェ・ジェチョン)政策委員会議長は「政府・与党が韓中FTAの補完に応じれば、韓・ベトナムの議会承認に応じる」と述べた。
与党セヌリ党の金正薫(キム・ジョンフン)政策委議長は「韓・ベトナムFTAについては与野党に特に争点はないが、韓中FTAと一括処理しようとした結果、処理が止まっている」と指摘した。
最近ベトナムは日本を抜き、韓国にとって3位の貿易相手国になった。韓国の輸出額は今年1-6月に全体で前年同期比5.2%減少したが、対ベトナム輸出は27%増加した。特にベトナムは環太平洋経済連携協定(TPP)の参加国だ。このため、ベトナムは韓国がTPPに加入するまで、弱点を補う戦略的パートナーとなる。
韓・ベトナムFTAの柱は、韓国の対ベトナム輸出で即時関税撤廃または15年以内に関税が撤廃される品目の割合が92%に達することだ。貿易額ベースでは年間7億4000万ドル、輸出品目では200品目が新たに無関税となる。
西江大の許允(ホ・ユン)国際大学院長は「日本はTPPをてこに東南アジアで貿易秩序の再編に乗り出すとみられる。そうした変化に積極的に対応するには韓・ベトナムFTAの議会承認を急ぐべきだ」と訴えた。