FTA:韓国国会の承認遅延、貿易損失の懸念高まる

FTA:韓国国会の承認遅延、貿易損失の懸念高まる

 昨年11月10日に交渉が合意した韓中自由貿易協定(FTA)とそれから1カ月後の12月10日に合意に達した韓・ベトナムFTAはいまだに議会承認の手続きが完了していない。

 韓国政府はそれぞれ正式な調印手続きを済ませた後、今年6月末に国会に承認を求めたが、現在も国会外交通商委員会で審議が止まっている。

■野党の「追加交渉」要求で遅延

 議会承認の遅延は、韓中FTAをめぐる与野党の対立が主因だ。野党の新政治民主連合は「韓中FTAに反対しているわけではない」とした上で、「違法操業禁止、黄砂など環境問題に対する補完策を盛り込まなければならず、政府は追加交渉に向けた意向を確認すべきだ」と主張している。野党はFTAで恩恵を受ける産業の利益の一部を被害産業への支援に充てる「貿易利得共有制」や農水産物分野の被害補償策、食の安全に関する検疫主権の確保などを求めている。

 しかし、韓国政府の通商関係者は「ようやくバランスを取り、両国が合意したものなのに、追加交渉を行うというのはFTAそのものをぶち壊すことにほかならない」と反発。与党からも「FTA自体が目的ではなく、FTA問題を通じて現政権の足を引っ張るというのが本心ではないか」と不信感をにじませた。

 政府・与党は韓中FTA発効と同時に初段階の関税引き下げが実施され、第2段階の関税引き下げは翌年1月1日となるため、韓中FTAの効果を最大化するためには、年内に議会承認を終えるべきだとの立場だ。政府関係者は「品目ごとに違いはあるが、(関税引き下げが)今年になるか来年になるかに約1兆5000億ウォン(約1590億円)の関税削減効果がかかっている」と指摘した

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が先ごろ、「年内に韓中FTAが発効しなければ、1日当たり40億ウォン(約4億2300万円)の輸出機会が消える」と述べたのも同じ理由からだ。

李仁烈(イ・インヨル)記者 , キム・アジン記者
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