辺野古移設:海底ボーリング調査が再開
毎日新聞 2015年11月12日 19時41分
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画で、政府は12日、7月から中断していた移設先の名護市辺野古沿岸部での海底ボーリング調査を再開した。政府は辺野古の陸上部での本体工事を10月末に着手しており、埋め立てに向けて陸と海で作業を同時に進めていく。
同県の翁長雄志(おなが・たけし)知事による辺野古の埋め立て承認取り消しについては、政府は知事に代わって取り消しを撤回する代執行を求めて16日にも高裁に提訴する方針。翁長知事は司法判断が出るまで移設作業を中断するよう求めており、政府の強硬姿勢に沖縄の反発がより強まるのは必至だ。
沖縄防衛局によると、10日に作業の足場となる大型の台船を現場海域に設置し、12日午後2時半ごろ、ボーリング調査を再開した。周辺海域ではこの日、移設に反対する人たちがカヌーなどで抗議し、警備する海上保安庁のゴムボートが取り囲んだ。
辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議活動を続ける沖縄平和運動センターの大城悟事務局長は「県民の声を無視して工事を強行するやり方は許せない」と批判。菅義偉官房長官は会見で「自然環境や住民の生活環境に配慮して辺野古移設に向けた工事を進めていく」と話した。
地盤の強度などを調べるボーリング調査は昨年8月に開始。台風や政府と県との集中協議の実施などで中断し、全24地点のうち5地点が残っている。調査期間は来年3月まで。移設計画を巡っては、翁長知事が10月13日に辺野古の埋め立て承認を取り消したが、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づいて審査請求と取り消し処分の執行停止を申し立て、国土交通相が同27日に執行停止を決定。国交相は取り消し処分の撤回を求める是正指示を出したが、知事が11日に拒否した。【佐藤敬一】