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原子力規制委:「特定重大事故等対処施設」設置時期先送り

毎日新聞 2015年11月12日 20時43分

 原子力規制委員会は13日の定例会合で、原発の新規制基準でテロ対策として設置が義務付けられている「特定重大事故等対処施設」(特定施設)について、2018年7月までとしていた設置の猶予期限の延長を決める。設置までの新たな猶予期限は「規制委の審査で原発本体の工事計画認可を受けてから5年間」とし、原発ごとに猶予期限が設けられ、実際の設置時期は更に先送りされることになる。

 特定施設は、テロなどで原子炉が冷却不能になった場合に「第2の制御室」として遠隔で冷却作業を操作する施設。原子炉建屋から100メートル以上離れた場所への設置が定められたが、「原発の信頼性をさらに向上させる予備的な施設」として、新規制基準施行(13年7月)から5年の猶予期間が設けられた。今年再稼働した九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)には設置されていない。

 規制委は延期の理由として、原発本体の審査自体に時間がかかっていることと、特定施設の申請が少ないことなどから、「当初の猶予期間内に間に合わない」と判断した。原子力規制庁は「特定施設はあくまでバックアップ施設。テロ対策を含め安全は確保されている」と説明している。

 再稼働に向けた安全審査を申請している16原発26基のうち、特定施設の設置申請が出ているのは3原発5基。川内原発は特定施設の設置申請も出していない。川内1号機は今年3月、2号機は今年5月に原発本体の工事認可を受けており、特定施設の設置期限が1年半〜2年近く延長されることになる。【鳥井真平】

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