22年前、中国・南京の大学寮で暮らしていた男子学生4人には恋人がいなかった。4人はカレンダーの11月11日のところを見て「数字の『1』が4つ並んでいる。まるで自分たち4人のことのようじゃないか」と孤独な身の上に思いをはせた。11月11日が「光棍節(独身者の日)」になった由来とされる話がいくつかある中で、最も有力な説だ。「光」は何もないこと、「棍」は棒で、枝や葉がない棒を意味する。中国で枝や葉は子どもを指す。つまり、光棍とは子どもがいない=独身者・男やもめのことだ。
孤独にさいなまれていた中国の若者たちは光棍節に夢中になり、それが巧みな商売のタネになった。「一人で空っぽの部屋に閉じこもっていないで、買い物でもして寂しさを紛らわそう」とセールが行われた。口実を作って人々の財布を狙う商術はどこに向かうのだろうか。韓国で11月11日が「ペペロ・デー」(棒状のクッキーにチョコレートをコーティングした菓子の記念日)、「カレトック・デー」(細長いもちの記念日)と称されているのと同じだ。中国最大の電子商取引企業「アリババ」も2009年から光棍節に便乗している。1年目の売上高は90億ウォン(約9億5000万円)だった。
アリババはおととい、光棍節の一日で商品4億6700万点・16兆5000億ウォン(1兆7435億円)を売り上げた。1企業の売上高が世界最大の消費イベントだとされる米国の「ブラック・フライデー」(11月の感謝祭の翌日にあたる金曜日)より2兆ウォン(約2113億円)多い。暇つぶしで始まった記念日が世界最大の消費イベントになったわけだ。中国の中産階級3億人の購買力とアリババの底力が生み出した産物だ。アリババは10カ月間にわたり商品600万種を用意、「世界を揺るがせ(Rock the world)」とPRした。