ゲスト(ja0001)

山辻に舞うカラス達　（シチミ大使）

マスター：シチミ大使

シナリオ形態：ショート

難易度：やや易

参加費：

1,000

参加可能LV：LV1　～　LV99

参加人数： 0 / 4～6

サポート： 0 / 0～0

報酬：普通

相談期間：5日間

締切：11月16日　08:00

予定納品日：11月27日

オープニング

　警笛のような鋭い一声が、山びことなって木霊する。
　枯葉が舞う中、漆黒の影が跳躍した。
　登山者たちを驚かせたのは、疾風のようなその速さだ。
　秋山登山をしていた人々は、さほど高くもない登山道ですれ違った影に仰天した。
　そのうち、何人かが構えていたカメラを向ける。
　漆黒の痩躯が一瞬だけ、落雷で割れた大木へと止まった。
　短い嘴を有した、漆黒のカラス。
　それがヒトの形を取って、山伏の服を着ている。
　何かの冗談のように映った。
　またしても警笛のような鳴き声が響く。
　カメラがそちらへと向くと、木々の上に留まった同じ格好の鳥人が映し出される。
　カメラの持ち主が狼狽し粗い音声が録音された。
「もう一体いる……？」
　手裏剣かあるいは紅葉のように割れた手が煌き、次の瞬間、戸惑う人々を切り裂いた。
　ある者は表層だけを、ある者は肩口を、ある者は顔面を。
　様々であったがその攻撃に限って言うのならば一つだけ。
　――辻斬りのように鋭いカマイタチ。
　一閃したようにしか見えないのに四つの剣筋が冴え渡り、人影が倒れ伏した。
　流血している者、痛みに呻く者などがカメラに映し出される。
　カメラを構えていた外国人は呆然とこぼした。
「ジャパニーズ、ニンジャ……？」
　漆黒の痩躯が翻り、山の中へと消えてゆく。
　カメラは不意打ち気味に現れた山伏姿の悪鬼が消え行くまでを映し込んでいた。

『――以上が、一週間前より動画サイトに投稿された動画の概要です。動画タイトルは『ＫＡＲＡＳＵＴＥＮＧＵ』。……皮肉なことにこの通称を地元警察も用いることになりました。山中での、辻斬り事件。別命、カラス天狗事件。山伏の格好をした漆黒の異形。これは恐らくディアボロでしょう』
　映像を観終わってから、久遠ヶ原学園の事務係の職員の女性が改めて口にする。
「通称、カラス天狗、それが確認できるだけで二体。今回のディアボロはまず警戒すべきはその速度です。一回の攻撃が、確認できる限りで四回の近接攻撃に匹敵する。一撃そのものは、この動画のあとの調べで重傷レベルに止まっていることから、軽い、と思われます。しかし、一箇所に留まらず、一回の跳躍で一気に懐まで潜り込むと考えられる速度だけは、留意してください」
　近接格闘型のディアボロ。しかもかなりの素早さのようだ。
「敵の所在は山の中です。動画の分析班と外国サイトの……こういうのは当てにしたくないのですがＵＭＡ特定サイトからの情報提供で、山頂付近のごく短い、五十メートルほどの山道に出現することが予測されました。一体が出現した際、もう一体が遅れて退路を塞ぐ、これが今回のディアボロのやり口でしょう。これほど素早いことから陽の高いうちに行動するべきでしょうね。悪魔の活動領域はなく、自律型だと思われます。この依頼を引き受けますか？　引き受ける場合はこちらにサインをお願いします」

解説

●目的
　ディアボロ　通称「カラス天狗」二体の討伐。

　カラス天狗二体の討伐任務です。
・攻撃時、警笛のような鋭い声を発す。その声がコミュニケーション手段の模様。
・分析班から一体の攻撃中、もう一体は離れた位置取りをする、とされている。同時攻撃はない、と判断される。
・短い嘴に手裏剣のような形状をした爪を両腕に有す。
・相当な素早さ。攻撃時には一回の攻撃で四回分の攻撃に相当する辻斬りを行う。
・攻撃そのものは軽く、受け切ることも可能。
・狙撃はその速さから有効ではない。しかし銃弾による攻撃は近接格闘を得意とする相手の本領から逃れるためには優位。
・警察は山から下りてきた場合の被害を想定しており、戦闘は山の中で済ませるべき。

・地形
　山頂にほど近い山道、五十メートル。一本道である。
　山自体の標高は低い。
　周囲の木々は落雷と雨風で倒れている。カラス天狗は木々を足場に行動する。
　逆にこちらにも木々の陰など隠れる隙間はある。

・状況
　登山者を襲うディアボロは一日も早く撃退するべきだと判断されている。
　一体がまず出現し、登山者の力量を見る。もう一体はこちらを観察している、と思われる。なので二体目の戦闘にこそ留意されたし。相手の観察眼に勝る隠し玉があれば優位を取れるであろう。
　戦闘は陽の高いうちに決行される。