2010年

8月

11日

人面兎 インタビュー【1】

――ニコラップ界においてもはや伝説というべきほど多くの功績とガチ曲とネタ曲を残した一人のMCが先日引退宣言をし、アップロードしていた動画をすべて消してニコラップから去ってしまった。彼はラップだけでなくスタンスや立ち振る舞いのすべてがニコラップ界に影響を与え、かつ誰にも追随を許さないワンアンドオンリーの存在だった。MCの名前は人面兎。「Mr.ニコラップ」の名を欲しいままにしていた彼の引退に至った経緯と、8月14日リリースされる彼が関わった3枚のCDについて聞いてみた。

―簡単な自己紹介をどうぞ

MC名→人面兎

出身→千代田区


レペゼン→JUNKSTYLA(TWOFACEとのクルー)、あと都内で活動している人たちとクルーを組むかもしれないです。

年齢→1991年生まれの19歳。同年代にはblatくん、委員長、B兼さん、A-CLACKくんなどヤバい人たちがいるのでケツたたかれっぱなしです。

影響を受けたアーティスト→クリオネさん(バスローブちんちん)ですかね。
あと尊敬してるのはNOBYさん。プロだと王道的なのはあんまり聞いてなかったんですがBD the BrobusとかPSGのGAPPERが好きです。

―注目してるニコラッパーとかいます?

ヤタガラスくんとBTSさんですね。ヤタガラス君はほんとに上手いラップをしてるし、BTSさんに関してはラップもすごい濃いのにトラックまで作れてマジでヤバい・・・って感じで。


□今までの経緯

―ネットラップを始めたきっかけについて教えてください。

もともとミクスチャーロックバンドのMCだったんです(2007年)。だからそこまで日本語ラップ聴いてたわけでもないし、やってたラップもそこまでラップっぽいラップじゃなかった感じで。でもやっていくうちに見聞を広めようと思ってHIPHOPを聞き出したりして、そのうちにフリースタイルにハマっていきました。
だから自分でサイファー(中野サイファー)を主催したりしてたんです。それが2008の5月ごろ。
サイファーを始めて、そのとき来てくれた面子にGEN-ZOさんやfatigueさんがいて、そこから前から名前だけ知ってた委員長と、マイミクになったのがきっかけで一緒に曲作りましょうってなって「どんな音楽やってるんですか?」って聞いたときに見せてもらったのが「笑言(RC2)」だったんです。
それがニコラップを聞いたきっかけでした。

―ネットラップにのめり込んでいった要因ってなんだったんでしょうか?

ネットならではのラップが出来ることですかね。たとえばアニメネタだったり非モテネタだったりネットスラング使っても大丈夫だったり。
それとなにより手軽なところですね。
当時、ラップを始めたばっかりでトラックメイカーとかとのコネもない時に、使っていいフリートラックもすごい量あって、簡単にアップできて、第三者からの意見もいっぱい聞けて・・・っていう場所があったことに感激しちゃって。
だから一時期は高校に友達もいなかったんでかなり粘着して月に3、4曲くらいあげてました。今考えると・・・完全にアレでした。
センター10日前にも動画上げてましたし。だからセンターで受けたところは全部落ちたんですけど。


□突然の引退宣言

―ニコラップを始めて2年くらいですよね。もはや「ニコラップの象徴」っていう人もいるくらい、人面兎ってニコラッパーのキャラが確立されてたと思うんですが、このあいだアカウントも過去の曲も削除してニコラップから「引退宣言」してましたよね。そこにいたるのにどういう心境だったんでしょうか。

まあネガティブな面でもポジティブな面でもいろんな要因があったんですが、第一に、ネットラップ・ニコラップで数年やってきて、「ラップ」って言うのをこれからも本気でやっていこう!とおもったときに、ネットラッパーとしてより普通にラッパーとして切磋琢磨してみたくなったんですよね。周りの人たちを見ても本当にそう思って。
実際ネットラップってラップだけが上手くなりたいなら確実に向かない場所だとも思うんです。

でもネットラップは手軽だし面白いので絶対戻ってきたくなっちゃうと思うんですよ。だから潔く全部手を引こうとおもって区切りをつけた感じです。
ネットで出来る自分の面白いと思ったことは全部やりつくしたし、一切絶つのも悪くないかなと。ぬるま湯な状態だと駄目になっちゃうなあと思ったんで。

―じゃあニコラップへの投稿を辞めるだけでラップ自体は辞めないんですね。

ですね。だからこれからもソロのライブ活動だとか、これから作るだろうと思われるジャンクスタイラのデモとか。そういう活動をしていくと思います。トラックメイカーとしても曲も作っていきたいし。
だから人面兎として止まるということはないです。
あと最近はyoutubeに曲上げてるんでチェックしてほしいです。

□人面兎のスタイル

―人面兎さんのラップって実際CDや現場では似ている人を見ない、かなりオリジナルなものだと思うんですよ。「ニコラップっぽいフロー=人面兎」みたいな感じでニコラップ内で王道を築いた存在だと思うし、そこらへんのこだわりとかはあるんでしょうか。

そういう風に言われるのは素直に光栄ですねー。先輩も「ニコラップは兎のパクリみたいなのばっかだなー」みたいに言ってきますし。
フローのオリジナルさに関してはそこまで意図してきたわけじゃないんですが、やっぱり最初から既存のラップっぽい音楽をやってこなかったからでしょうか。
ただ、デモを聞いてもらったとある方たちからいろいろいいお話に声をかけてもらったり、興味を持ってもらっているのは確かなので、そこら辺活かせていけたらいいと思います。

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