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 パリの同時多発テロは、周辺の欧州各国に与える影響も避けられない。フランスと同様に右翼勢力の声が強まり、中東やアフリカから押し寄せている難民や移民を排斥する動きが広がる可能性がある。

 「この闘いはすべての欧州人の闘いだ」。欧州連合(EU)首脳会議のトゥスク常任議長(大統領に相当)は13日のテロの発生後、オランド仏大統領に書簡を送った。

 だが、EUは同時に難民をどう受け入れるか、という課題に直面している。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年に入って、中東やアフリカから欧州に渡った移民や難民は80万人を超え、昨年1年間の4倍近くにのぼった。その多くが、今回のテロの関与が疑われている過激派組織「イスラム国」(IS)が勢力を拡大し、内戦が混迷を深めているシリアの人々だ。

 EUは、押し寄せる人々のうち、今後2年間に難民申請をする計16万人を、各国で分担することを決めたが、これまで受け入れられたのは130人にとどまっている。

 受け入れが進まない理由の一つはまさに、イスラム過激派の思想に感化された若者によるテロの脅威だ。今年1月に17人が死亡したパリの連続テロ事件以降、欧州では移民系の若者によるテロが相次ぎ、中東欧を中心に「イスラム教徒の難民にテロリストが紛れ込み、テロを起こす」との警戒感が強い。