【パリ時事】フランス当局は、パリで13日に起きた同時テロの実行犯について、1人の身元を特定した。
パリ郊外生まれの仏国籍、オマル・イスマイル・モステファイ容疑者=(29)=で、パリ中心部のバタクラン劇場を襲撃後に死亡した1人。また、ベルギーの検察は15日、死亡した別の実行犯の2人がベルギー首都圏に住む仏国籍の人物だったと発表した。欧州メディアが伝えた。
仏警察は15日までに、モステファイ容疑者の父や兄など親族6人を拘束した。同容疑者は軽犯罪で逮捕歴があり、かねて当局が監視対象としていたが、テロに絡んだ警戒対象だったかは不明。兄はAFP通信に弟とは絶縁状態だったと明かし、「常軌を逸した事件だ」と述べた。ベルギー検察は2人の名前や経歴などを明かしていない。
14日に記者会見したパリ検察のモラン検事によると、テロによる死者は129人、負傷者は352人。事件現場では計7人の容疑者が死亡した。実行犯は「恐らく3グループに分かれて行動していた」という。
ベルギー検察によると、犯行に使われた2台の車はベルギー登録の車で、先週初めに首都ブリュッセルでレンタルされた。ベルギーではこれまでに7人の身柄が拘束され、両国の捜査当局が連携して事件との関連を調べている。
また、当局は15日、残る1台をパリ東方の郊外モントルイユで発見。車内から複数のカラシニコフ自動小銃が見つかった。黒い車体のこの車は3カ所の現場での銃撃に使用されたとみられている。
また、ギリシャからの報道によると、テロの舞台の一つとなったパリ北部の競技場で、自爆犯の遺体近くに残されたシリア旅券に関し、ギリシャ政府は14日、ギリシャで10月に難民申請した人物のものだったと発表した。
セルビア内務省によると、この人物はギリシャからマケドニアとの国境を越えてセルビアに入り、セルビアで亡命申請していた。ロイター通信が伝えた。中東から殺到する難民にテロ犯が紛れ込んでいた可能性が浮上したことで、難民受け入れをめぐる欧州の世論に影響を及ぼしかねない。
旅券の所有者は1990年9月にシリアで生まれた男(25)で、当局は今回の事件まで危険性を把握していなかった。実行犯グループの中には、この男以外にもう1人、ギリシャで難民申請した人物がいる可能性が浮上している。
一連の犯行は、仏軍のシリア空爆に対するイスラム過激派の報復との見方が強まっている。バルス仏首相は14日、テレビを通じ「テロとの戦いはシリア国土も対象となる。敵を壊滅しなければならない」と空爆を継続する意向を強調した。
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