白鵬、大技やぐら投げで７連勝

（１４日・福岡国際センター）

　横綱白鵬（３０）＝宮城野＝は隠岐の海の寄りに苦戦しながらも逆転のやぐら投げを決め、軍配差し違えの白星でただ一人７戦全勝とした。他の横綱は危なげなく、日馬富士が小結栃ノ心を寄り切って１敗を堅持し、鶴竜は豊ノ島を押し出して５勝目。大関陣は稀勢の里が碧山を何とか押し出し、豪栄道を突き落とした琴奨菊とともに１敗をキープ。かど番の豪栄道、勢の押しに完敗した照ノ富士は３敗目を喫した。

　隠岐の海にジリジリと土俵際まで寄られる。痛めている左脚のかかとが俵にかかった。だが、このピンチにも白鵬は最後まであきらめない。右の上手からつり、右膝で隠岐の海の左内股をはね上げながら逆転の投げ。幕内では２００９年名古屋場所１３日目の朝青龍以来６年ぶりとなる大技、「やぐら投げ」で７連勝を決めてみせた。

　３日目から途中休場した秋場所初日に敗れた隠岐の海に、自身初の決まり手で勝ち「（隠岐の海は）浮いてましたね。似たようなものはあったかもしれない。きれいなのは初めてかな」と満足そうに語った。

　隠岐の海に軍配が上がり、物言いがつき軍配差し違え。「軍配がむこうに上がったのは知らなかった。（自分の）かかとが出たのかなと」と、勝敗ははっきり分からなかったようだが「（やぐら投げが決まったのは）ゆっくり休んだからじゃない。（やぐら投げのイメージは）力強いイメージだね」と後半戦に弾みがついたようすだった。　（岸本隆）

＜やぐら投げ＞　つり上げながら相手の内股に膝を入れ、その足ではね上げるようにして投げる。めったに見られない技で、幕内では２００９年７月に朝青龍が日馬富士に決めたときは、十両以上で３４年ぶりだった。