東京五輪のテロ対策は序の口「今のままでは防げない」

2015年11月15日6時0分  スポーツ報知

 フランス・パリの中心部や郊外などで、13日午後9時(日本時間14日午前5時)からわずか1時間ほどの間に6か所で乱射や爆発が起きる同時多発テロが発生した。128人が犠牲となり約250人が負傷。容疑者8人も死亡した。オランド大統領は、過激派組織「イスラム国」による犯行と断定し「イスラム国」側も犯行声明を出した。

 同時多発テロを受けて、トルコ訪問中の安倍晋三首相は「いかなる理由があろうともテロは許されない。断固非難する」と表明。また、「日本はテロ未然防止に向けてフランスをはじめ国際社会と緊密に連携し、取り組んでいく」と語り、テロ対策に一層緊張感を持って当たるように指示した。

 ただ、政府機関などではなく、劇場やスタジアムなどの民間施設が狙われたことで、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた防衛策の強化が急がれるのは確か。来年には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)も控えており、日本の警察当局は入管当局や海外当局とも連携し、未然防止に全力を挙げる構えだ。

 警察庁は6月、過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件を踏まえた「国際テロ対策強化要綱」を発表。サイバー攻撃対策や情報収集の強化をはじめ、特殊急襲部隊(SAT)やNBC(核・生物・化学)テロ対応専門部隊の対処能力の向上を目指している。ただ、民間施設に対する警備までは当局の手が回らないのが実情。警察当局幹部は「いかにテロの『兆し』をつかみ、摘み取るかが大切」と強調している。

 国際テロリズムや危機管理が専門の大泉光一青森中央学院大教授は、「多くの人が集まる場所は必ず狙われていると考えるべきだ」と危険性を指摘。「五輪が控えているのに日本の対策は序の口レベル。今のままでは防げない。テロリストを刺激する発言は控えるべきだ」と警鐘を鳴らした。

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