元少年A 仕事を始めても「酒鬼薔薇らしい」と噂立ち職を転々

 6月11日に発売された元少年Aによる手記『絶歌』(太田出版)。遺族は猛抗議し、世間からは批判が噴出している。著者として公の立場に身を置くことが、世間の大きな注目や批判を浴び、自らの生活を脅かす危険があることも当然理解していたはずだ。それなのになぜ今、彼はこの手記を発表したのか。

 Aが強硬に手記を出版した理由は、手記の後書きで綴った「精神崩壊の危機感」が大きかったのだろう。しかし、逮捕から今日までの彼の動向を追うと、それだけではない別の事情も見えてくる。

 1998年3月から関東医療少年院に入ったAには、そこで精神科医3人と統括官1人による「育て直し」教育が施された。これは、精神科医や統括官がそれぞれ父、母、兄などの“模擬家族”を演じ、文字通りAを「赤ちゃんから育て直す」という徹底した矯正教育だった。

 「この手法はAにも功を奏し、一時は母役を演じた女性医師に恋心を抱くまでになりました。破壊衝動と性的快感が結びついていた事件当時と比べ、徐々に通常の思春期男性の精神状態に近づいて行ったんです」(法務省関係者)

 2001年になると被害者遺族への謝罪を口にするようになったというAは、2004年3月、法務省に「再犯の可能性はない」と判断され、仮退院する。

 6年間という異例の長期入院だったが、矯正教育の結果、21才になったAからは、快楽殺人者の面影は消えていた。しかし、出所後にAを待ち受けていたのは過酷な日々だった。

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