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 日々仕事に追われ、責任ある役職を任されている今、親が介護を必要とする状況となりました。もちろん親の心配をしながら、仕事も放っておくわけにはいかず、心の整理もつかないまま、慌ただしく過ごしています。今後のことを考えると不安も尽きず…。(40代女性)

遙から

 この社会はつくづく不完全だなぁ、ある種類の人たちの目線で仕上げられているなぁ、と最も感じるのが、車椅子の人と街に出た時だ。

 高齢者施設で暮らしている知人の男性を歌舞伎にお誘いした。施設のホールでは高齢者たちが風船でバレーボールみたいなゲームをやっている。

 知人の高齢男性は「あんなこと、やってられるか…。僕はいつも参加せん」と言ってのける。彼にとっては高齢者=幼稚園児のように扱われることに辟易としているようだ。

 「では、私たちは歌舞伎に行きましょう」

 「行こう!」という時の知人は輝いた表情だった。

お洒落は不要ですか

 出がけに「ハンカチとティッシュを」と施設の職員にお願いしたが、答えは「ありません」。

 …そうだった。「お洒落な方ですので、観劇の日にはスーツを着せてあげてください」という私の依頼に、施設は「え? 服はありませんが」という回答だったのを思い出した。

 確かに日頃の生活にスーツは要らないだろうが、まさか入居に際して身ぐるみはがされるわけではないだろうから、外出用の服がないというのはどうしたわけか。詳しい仕組みはわからないまま、ジャージ姿での観劇を覚悟した。いつもポケットチーフにストールで決めていた高齢男性だから、こんな日だけでもお洒落をさせてあげたかったが、そこは多くを望むまい。

 「いいですよ。ジャージでも」と返事しておいたが、どうやらジャケットは手に入れたようだ。だが、ハンカチとティッシュは準備できなかった。

 「差し上げます。私のハンカチ」

 「すまないね」と私のを知人は受け取った。

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