アナザーストーリーズ「運命のトリプルアクセル 伊藤みどり・荒川静香・浅田真央」の感想
アナザーストーリーズ「運命のトリプルアクセル 伊藤みどり・荒川静香・浅田真央」を観ましたにゃ(・∀・)
タイトルの“運命のトリプルアクセル”が一部で物議を醸し(和猫の中でも・笑)
どのような番組になるのかと思いながら観ていましたが、思っていたよりも良い番組だったと和猫は思いました。
「良い番組だった」と思ったのは、伊藤みどりさんへのインタビューが豊富で、
アルベールビル五輪当時のみどりさんの心境ですとか、3Aに挑んだときの思いなどを
直接本人の言葉や山田コーチの視点から聞くことが出来たからです。
この密度なら1時間すべてを伊藤みどりさんの特集にしても良かったほどです。
(後ほど、みどりさんのところだけピックアップして記事にしますにゃ♪)
しかし番組タイトルと番宣の記事を読んだ時に抱いた、
「トリプルアクセルなのに荒川さん?」という違和感はけっきょく最後まで拭えずに終わりましたが、
そもそも番組のタイトルからして間違っていますよね。
みどりさん、荒川さん、真央さんに関する番組冒頭の紹介はこちらです。
動画はこちら → 20150805 MA
アルベールビル五輪で、世界初!3Aを成功させ、日本人初のメダリストとなった
和猫も大尊敬の伊藤みどりさん。
みどりさんにとって、トリプルアクセルとは―
誰もやったことのないというトリプルアクセルは、
やはり私のモチベーションを高めるもの。
トリノ五輪で日本人初の金メダリストとなった荒川静香さん。
今、世界で戦うために自分に何が必要なのか、戦略としてなかった
そして真央さん(*´▽`*)
バンクーバー五輪で世界初!SP1回、FS2回の3Aを成功させ、銀メダリストとなりました。
何が何でも思いっきり跳ぶ。踏み切るって思いました。
これだけでも、もうタイトルの「運命のトリプルアクセル」が破たんしていますにゃよ。
この番組が取り上げたかったのはトリプルアクセルなのか、メダリストの苦悩と覚悟なのか?
制作側が3Aにこだわるあまり、けっきょく中途半端で終わってしまいました。
「運命の決断 伊藤みどり・荒川静香・浅田真央」というようなタイトルにして、
挑戦か?戦略か?というアプローチで番組を制作していたらとても良いものになったと思うのに、
どうしてこうなった?
と、思っていたら、日経ビジネスに「アナザーストーリーズ」チーフプロデューサーの河瀬大作氏による
番組制作の意図が記してありましたにゃ。
これですにゃ。
(一部抜粋)
1992年のアルベールビル五輪銀メダリスト・伊藤と、2010年のバンクーバー五輪銀メダリスト・浅田は、決戦の舞台でトリプルアクセルを跳んでいる。現時点で、五輪でトリプルアクセルに挑んだ女子選手はこの2人だけ。2006年のトリノ五輪金メダリストの荒川は、トリプルアクセルを跳ぶことなく五輪女王となった。しかし、彼女もトリプルアクセルと無縁とは言えない。
「といった一連のことを、僕は、番組で取り上げると決めるまではっきりと意識していたわけではないんです。でも、ディレクターから最初のプレゼンを受けた時、トリプルアクセルが持っている特別な“何か”が面白いと思ったんです」
日経ビジネスオンラインより一部抜粋
〔2015年8月5日(水)〕
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/070300016/080300003/?P=1
トリプルアクセルの持つ“何か”が面白いと思うあまり、空回りしたんじゃ(^^;
またこうも書かれていました。
(一部抜粋)
「こういったディテールが集まって、これは番組として成立すると思いました。それを可能にしたのは、ディレクターの阿部修英の調査力です。そもそも彼は、決してフィギュア通ではないのですが、とにかく膨大な資料を調べるのが得意なディレクターで、アナザーストーリーズでは、今シリーズで作られる新作15本のうち、3本を担当するという、今のところ最多登板記録保持者です」
日経ビジネスオンラインより一部抜粋
〔2015年8月5日(水)〕
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/070300016/080300003/?P=3
膨大な資料を調べるのは和猫も得意にゃ♪
しかしそんなに資料を調べたにも関わらず、
カタリナ・ヴィットの発言があたかもみどりさんを指しているかのように放送したのはなぜでしょう?
これはカナダのコーチがヴィットの衣装が露出過剰であるとに文句をつけたことに対して発言した内容ですにゃ。
みどりさんとはまったく関係ありません。
ヴィットはむしろこのような発言をしていました。
技術がますます高度になっていく傾向を止めることはできないでしょう。より高く、より多くジャンプ出来ることは確かに素晴らしいことだと思います。しかし、フィギュアスケートはスポーツであると同時に氷上の芸術です。観衆がただジャンプを観るだけでなく、スケートの美に感動して欲しいのです
今でもヴィットの発言に対して勘違いしている人が多いようですが、
その勘違いを補強してやるような放送をNHKがするのはどうかと思います。
伊藤みどりさんにも、カタリナ・ヴィットさんにも失礼だと思うにゃ。
また、“膨大な資料”を調べてみたら、3Aとイナバウアーの得点を比較する気にもならないと思うのですが~。
荒川さんがあえて得点にならないイナバウアーを入れて、自身の個性を大事にしたことを強調したかったのだろうけど
これにはズッコケたフィギュアファンも多かっただろうと思います(^^;
それに荒川さんの代名詞といえば、あの美しいイナバウアーを外せないのもよくわかります。
今でも、何度見ても荒川さんのイナバウアーには「おお!」と和猫も思いますし。
だけど和猫のイメージでは荒川さん=表現力というよりも、その高い技術力のほうを思ってしまいます。
実際に3Lz+3Loという最高難度の3回転-3回転を跳ぶことが出来たし、
五輪の公式練習では3-3-3も披露して、ライバルたちの心理状態にも影響した・・・とか
そういうことを言われてもいましたよね。
ジャンプだけではなくスピンも綺麗だった。
金メダリストになる十分な技術力を備えていたところに、モロゾフコーチについて表現力が磨かれ、
その上で、より確実にメダルを取るための戦略が素晴らしかったのです。
直前に滑ったサーシャ・コーエンがジャンプミスを犯してしまったために、
当初予定していた3Lz+3Loを、安全策をとって3Lz+2Loに変更。(これは確かモロゾフコーチの指示だった)
安全策は批判されるようなことでは決してなく、逆に勇気ある選択だと思う。
3S+3Tが3S+2Tになったことや、3Loが2Loになる小さなミスはありましたが
全体的に落ち着いていて、ひとつひとつ丁寧に演技をこなしていった荒川さんが勝利したのは必然でしょう。
(参考 http://www.isuresults.com/results/owg2006/OWG06_Ladies_FS_Scores.pdf)
そういう訳なので、NHKも荒川さんのその戦略の部分や“決断”にアプローチしてくれたらよかったのに
荒川さん自信が「練習で跳べても、試合に入れるのは無理だろう」、
「特別な能力のある人が跳べる技だから自分には関係のないもの」だと話し、
長久保先生も「試合に入れられるところまでもって行けなかった」と話ている3Aに無理やり繋げようとするから
こんなふうに、なんだかちょっと違うよね?となるのですにゃ(;´・ω・)
最後にこれだけは言わせてもらうにゃ。
3Aは今も昔も「ハイリスクハイリターン」ではなく、「ハイリスクローリターン」のジャンプです。
・・・と、書き始めたら止まらなくなってしまいましたが(^^;
それでも全体的にはみどりさん特集に力が入っていた点では良い番組でしたにゃよ(*´▽`*)
冒頭にも書きましたが、この後はみどりさんの部分をピックアップした記事をUPする予定ですにゃ♪
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