イラン:核合意が発効 制裁解除は年末から16年1月か
毎日新聞 2015年10月18日 21時49分(最終更新 10月18日 23時34分)
【テヘラン田中龍士】イラン核問題を巡り、同国と国連安全保障理事会常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国が7月にウィーンで最終合意した「包括的共同行動計画」が18日、発効日を迎えた。米国と欧州連合(EU)は核関連制裁の解除に向けた準備に着手し、イランは核活動の抑制措置を始める。制裁解除は年末から来年1月とみられている。
最終合意は7月14日に発表され、同20日に国連安保理で承認決議が採択された。採択から90日後の18日が「合意採択の日」として発効日となっていた。
イランは18日、国際原子力機関(IAEA)に査察頻度の増加や抜き打ち的な査察が可能になる「追加議定書」の暫定適用を通告した。
イランメディアによると、イランは合意前に保有していた遠心分離機約1万9000基を5060基の稼働に限定し、西部アラクの重水炉では兵器級プルトニウムが抽出できないよう改修に着手する。
その後、IAEAがイランの措置の進捗(しんちょく)を確認した上で「合意履行の日」が設定され、制裁が解除される。また、IAEAはイランに関する過去の核兵器開発の可能性に関する調査を進め、天野之弥事務局長が12月15日までに最終報告する。
イラン学生通信によると、イランのサレヒ原子力庁長官は18日、「履行の日は、おそらく2カ月ほど後になるだろう」と述べた。一方、ロイター通信によると、ドイツのシュタインマイヤー外相は同日、制裁は少なくとも来年1月まで続くとした上で「イランが合意事項を履行できることを示せるかが重要だ」と語った。
イランの国会(定数290)は今月13日、最終合意を賛成161、反対59、棄権13で承認。米議会では野党共和党が最終合意に反対したが、オバマ政権は議会が不承認とする事態を9月に回避した。