国際陸連は13日に開いた臨時理事会で、組織的なドーピングが報告されたロシア陸連に暫定資格停止処分を科した。ロシア側は「ドーピングは個人の問題で、罪のない者が他人の責任を取らされてはならない」(プーチン大統領)と違反者に限定した処分を求めていたが、厳しい姿勢を示した。
世界反ドーピング機関(WADA)の第三者委員会が公表した調査報告書によると、WADA公認検査所長とロシア陸連幹部が共謀して隠蔽工作を図ったり、選手に見返りに賄賂を要求したりしていた。
モスクワには公認検査所とは別の「検査所」が存在し、陰性の検体を公認検査所に送って陽性検体とすり替えていた。反ドーピング機関の検査官は抜き打ち検査の予定を事前に選手に通知したという。こうした組織ぐるみの隠蔽に政府も関与していたとされる。
陸上界では過去にも多くのドーピング事件があった。1988年ソウル五輪の男子100メートルではベン・ジョンソン(カナダ)が9秒79の驚異的な記録で制したが、検査で筋肉増強剤が検出されてメダル剥奪。その後、永久失格処分となった。2003年には栄養補助食品を扱う米国のバルコ社に絡んだスキャンダルで、00年シドニー五輪で5個のメダルを取ったマリオン・ジョーンズ(米国)が違反を認めてメダルを返還した。
今回は過去の事例と違って、国を挙げてドーピングが行われていたという意味で根が深い。さらに、国際陸連のディアク前会長(セネガル)がロシアのドーピングを見逃す見返りに金銭を受け取っていた疑いでフランス当局の捜査を受けているとされ、国際陸連としても断固たる姿勢で臨んだといえる。
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