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マンション傾斜:4棟建て替えには3年半…補償など説明会

毎日新聞 2015年10月16日 19時44分(最終更新 10月16日 21時00分)

マンションの住民説明会に参加するため集まる住民ら=横浜市都筑区で2015年10月16日午後7時17分、望月亮一撮影
マンションの住民説明会に参加するため集まる住民ら=横浜市都筑区で2015年10月16日午後7時17分、望月亮一撮影

 横浜市都筑区の大型マンションが施工不良で傾いている問題で、基礎のくい打ち工事で偽装データを使った旭化成建材は16日、くい打ちをした全国のマンションや商業ビルなど約3000棟の都道府県別の棟数を来週にも公表することを明らかにした。また、事業主の三井不動産レジデンシャルは15日夜の住民説明会で全4棟の建て替えを念頭に住民と協議する方針を明らかにした。建て替えの場合、3年半ほどかかる見通しを示したという。同社の藤林清隆社長は説明会で「皆さんにご心配をかけ申し訳ない」と謝罪した。

 一方、旭化成建材の前田富弘社長は16日夜、住民説明会に出席した。くい打ちを巡るデータ偽装について謝罪したとみられる。

 旭化成建材によると、同社がくい打ちをしたマンションに関する問い合わせが多いため、都道府県別の棟数を公表することにしたという。ただ、住民や所有者の同意が得られていないため、建物の名称は明らかにしない方針。

 傾いたマンションは他の3棟とともに三井不動産レジデンシャルが2006年に販売を始めた。同社は15日夜の説明会で、4棟の建て替えを基本的な枠組みとして住民と協議するほか、住宅の買い取り▽賃貸に絡む損失の補償▽工事や精神的負担への補償▽一時避難先のホテル宿泊や建て替え完了までの仮住まいの費用負担−−を基本方針として対応すると説明した。

 住民によると、昨年9月にマンションの西棟と中央棟をつなぐ渡り廊下の手すりにずれを見つけ、同社に連絡したが、「東日本大震災の影響で問題ない」との回答だった。管理組合が11月に同社に照会し、同社は調査の結果、今年3月に最大約2センチのずれがあることを管理組合に報告。一部のくいが強固な地盤(支持層)に届いていないことがわかったのは7月下旬だったという。

 同社は今月9日に始めた住民説明会で、全棟の建物に構造上問題となるひび割れがないことなどから、くいの是正工事で正常な状態に戻し、設計時の構造強度にする方針を示していたが、15日夜の説明会では方針を大きく転換し、全棟建て替えに言及した。【岸達也、水戸健一】

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