カルテの開示義務を「知らない」42% 精神疾患の患者で顕著

2015年1015 福祉新聞編集部
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厚生労働省
厚生労働省

 医療機関にかかった患者のうち、医療機関にカルテの開示義務があることを知らない人が42%に上ることが、2日、厚生労働省の調査で分かった。傷病別では、精神・神経系疾患の患者が46%で最も高かった。他の疾患の患者に比べ、医療機関で情報を得たり権利を行使したりできていないことが分かった。

 

 「診断や治療内容について分かりやすく説明を受けていると思うか」という問いでも、精神・神経系疾患の患者は「思わない」が16%。全疾患での平均(13%)を上回った。

 

 「医療従事者と良好な関係をつくれているか」との問いも、精神・神経系疾患の患者は「思わない」が10%。全疾患での平均(9%)をやや上回った。

 

 良好な関係をつくれない理由として「疾病を理由とする差別・偏見」を挙げた人の割合は、精神・神経系疾患の患者は22%。全疾患平均(12%)を大きく上回った。調査は厚労省の「ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会」(座長=多田羅浩三・大阪大名誉教授)の事業として、2014年12月~15年1月に実施した。

 

 調査会社の登録モニターから「6カ月以内に医療機関に入院または通院した患者」を1万2000人抽出し電子メールで協力依頼。インターネットで5000人が回答した。

 

 同検討会はハンセン病患者への差別的な扱いが他の疾患で再発しないよう、患者の権利などを規定した医療基本法の制定に向けて05年3月から議論を重ねている。

 

 

 

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