「お家騒動」ロッテ創業者長男・宏之氏の腑に落ちない会見
2015年11月14日11時30分 スポーツ報知
11月も中旬、そろそろ「今年の〇大ニュース」といった話題が聞かれる時期になったが、今年の「2大家族げんか」といえば、大塚家具の父娘と、ロッテの兄弟による戦いといえるだろう。共に会社の経営権を争って、血がつながった親族が骨肉の争いを見せている。
先日、ロッテホールディングス(HD)の前副会長で創業者の長男・重光宏之氏が会見を行った。グループ各社の取締役解任を不当として、ロッテHD社長の佃孝之氏(72)とグループ4社を相手に訴訟を起こしたことを明らかにしたが、何となく腑(ふ)に落ちないところがある。
宏之氏が起こしたのは、損害賠償訴訟。本来、仕事を続けていれば得ることができたであろう給与や取締役を解任されたことで支払われるべき退職金、さらに慰謝料などを求めているのだが、会見で何度も口にしていたのは「会社をお客様のことを考えた、本来の形に回復すること」という言葉。それならば、取締役としての地位保全や、取締役会の決議の無効などを訴えればいいのではないだろうか。
会見でも、その点に質問が集中したが、宏之氏は「お客様に愛される会社にするために様々な手段を取る中での、今回は第一歩。今後、(さらなる訴訟も)選択肢の一つだと思いますが…」と奥歯に物が挟まったような言い方。会場には「何か、ピンと来ないんだよな」という空気が流れていた。
大塚家具の場合は、会長の座を追われた勝久氏が再び実権を握ろうと、長女で社長の久美子氏が強い影響力を持つ資産管理会社が保有する株式を自らの手に戻すための裁判を続けている。だが、宏之氏の場合は、現在のところ「欲しいのは金」というイメージしかない。今のままでは、宏之氏の「会社を良くしたい」という言葉は空虚なものにしか聞こえない。
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