2015年11月12日23時38分
自民党は日清戦争から東京裁判、GHQ(連合国軍総司令部)の占領政策などを議論する安倍晋三総裁(首相)直属の新組織を今月中に発足させる。東京裁判について、批判的だった稲田朋美政調会長が新組織を主導してきたが、中韓や米国との摩擦を避けるため、トップに谷垣禎一幹事長をあて、「歴史修正主義」との批判を避ける狙いがある。
新組織ではさまざまな立場の有識者を講師に招く。また、提言などの形でまとめることは、関係国との外交摩擦を避けるためにやめる。谷垣氏は周囲に「検証というより、若手議員に歴史を勉強させる」と話しているという。
稲田氏は以前から、東京裁判は否定しないとしつつ、「(東京裁判の)判決主文を受け入れたのであって、判決理由にある20万人の南京大虐殺など、いろんな事実を受け入れる必要は全くない。思考停止になって、事実を総括できないのは問題だ。日本人による検証が必要だ」などと強調。東京裁判を検証する組織の設置を訴えてきた。
しかし、こうした動きは中国や韓国だけでなく、戦勝国である米国からも、「歴史修正主義」といった批判を招く恐れがあり、党内から慎重論が出ていた。首相が出した戦後70年の談話を参考に、議論する起点を日清、日露戦争にまでさかのぼることで、東京裁判やGHQの占領政策に焦点があたるのを避けたとみられる。トップも谷垣氏にすることで、「組織を『右寄り』に見せない」(首相側近の議員)狙いもある。
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朝日新聞官邸クラブ
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