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北星学園大学で再び焦点化 植村隆さんの雇用継続問題

 11月9日(月)15時59分配信

直面した試練と世界に広がった出会い ●植村隆

 昨年1月下旬に『週刊文春』に「ねつ造記者」と書かれ、転職先(採用が決まっていた神戸松蔭女子学院大学)を失った。北星学園大学まで激しい攻撃を受けた。北星の勇気、皆さんの支援に感謝している。大変な試練に直面したが、この試練はさまざまな出会いのきっかけにもなった。神が与えた試練だが、恵みでもあると思っている。
 ファクラーさんがニューヨーク・タイムズ紙に大きく書いてくれたおかげで、小さな大学が世界に知られた。この春に米国に招かれ、シカゴ大学、デュポール大学、マーケット大学、ニューヨーク大学、プリンストン大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の6大学で計8回講演した。ノーマ・フィールドさん(日本研究者、シカゴ大学名誉教授)に通訳と運転手までしてもらった。好意的な反応がたくさんあった。訪米中、米国の187人の歴史学者が従軍慰安婦問題に真摯に取り組むよう安倍首相に提言した。このうちの7人が私の訪米に関係した。改めて勇気をもらった。
 8月にソウルに呼ばれた。91年8月、元慰安婦の金学順さんの存在を日韓メディアで最初に書いた。その金さんの墓参りをした。私を「ねつ造記者」と言う人たちは慰安婦問題を否定している。ならばジャーナリストとしてもう一回、慰安婦問題に向き合って伝えていくことを墓前で誓った。
 15年度の雇用契約は更新されたが、いままた同じ状況が再来している。警備費用を理由に契約見直しの動きがある。私の授業は韓国、中国、台湾、インドネシアの留学生に日本の文化や社会事情を教えている。植村の雇用が危機にあるとして、韓国の教え子たちが署名活動をしてくれた。その一人の投稿が昨日の東亜日報に掲載された。「植村先生を守らなければならない。マスコミや世間の関心が薄まったすきをついて大学側は警備費用と学生の保護を理由に右翼の卑劣な攻撃に屈服しようとしている」と書いてくれた。韓国のカトリック大学の学生が900人の署名を集めてくれた。涙が出る思いだ。このような学生たちに出会えてよかったと思う。

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最終更新:11月9日(月)15時59分

創

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