全国の「無線ロボット雨量観測所」跡地で長年、水銀汚染の心配がある空気湿電池が多く放置されていた問題で、和歌山県内では田辺市中辺路町の政城山など4カ所に合計102個の空気湿電池が放置されていたことが気象庁の調べで分かった。6月末までの調査より、2倍以上に増えた。和歌山地方気象台は早ければ年明けから、土壌汚染の調査を始める。
気象庁が26日に発表した。7月の発表では、6月末までに県内跡地6カ所すべてを調査し、うち4カ所で計43個が見つかったとしていたが、再び調査した結果、土の中に埋まっていたり、散在したりしたものも新たに見つけた。
見つかったのは、田辺市中辺路町の政城山で49個(前回発表時20個)、同市龍神村の護摩壇山で14個(9個)、和歌山市の友ケ島で8個(4個)、高野町の陣ケ峰で31個(10個)。
電池の大きさは縦約10センチ、横約20センチ、高さ約20センチ。一部が欠けたり、割れたりしているものもあったという。土壌調査の準備は整っており、早ければ年明けにも土壌を採取、解析し、結果が出次第、発表する。陣ケ峰については奈良地方気象台が管轄しているため、同気象台が調査する。
無線ロボット雨量観測所は、かつて気象庁が使用していた観測所で、人が常駐できないような山岳地帯の降水量を、自動で気象台に送信していた。1952年から、順次設置され、85年ごろまで電源に、水銀を使った空気湿電池を利用。その後は電源に太陽電池やニッカド電池を使用したが、この観測所は2010年までにすべて廃止した。職員が年に1回、電池を交換していたが、使用済み電池を放置していた可能性がある。和歌山地方気象台が当時の職員に聞き取り調査をしたが、年数が経っていることもあり、放置した個数やはっきりした経緯は分からなかったという。
気象庁による全国調査は、兵庫県の笠形山で不法投棄が発見され、国の基準を大幅に超える水銀が検出されたのを受けて4月以降、524カ所を対象に実施した。26日の発表では465カ所の調査を終え、91カ所で電池計2462個を発見した。
このうち59カ所で土壌調査を実施した結果、19カ所で国の基準以上の無機水銀が検出された。最高は奈良県天辻の1リットル当たり0・071ミリグラムで、国の基準の142倍だった。