パニック障害克服・完治のための手法を考え、実践し、公開していきます
パニック障害は必ず治ると言います。それなのに、実際に治るまでの具体的な方法を示したホームページは少な過ぎる様に思えます。
特に薬を減らしたり、やめたりする過程が一番大変なのにも関わらずどこにもその克服の方法が載っていないのは困ったことです。
そこで思いました。「無いなら自分で作ろう」と・・・
5-減薬・断薬3――薬の飲み方について
今回は少し小難しい話をしますが、ここは覚えておくと非常に便利な考え方なので、是非とも頑張って読んで欲しいと思います。どうしても分からない場合は私にメールで聞いて下さい。書き方が分かりづらいということなのでしょう。
まず、薬の飲み方のための知識として以下のことを知っておくと便利です。
一つ目は、長期型の薬の一般的な減らし方として「漸減法」という方法が用いられるということです。これは2~3日おきに薬の量を30~50%ずつ減らしていくと約3週間であまり離脱症状を起こすことなく薬をやめる事が出来るというものです。その際に最初に減量する割合を多くし、次第に少なくしていくのが良いとされているそうです。ただし、これは睡眠薬としての利用などの場合であり、パニック障害の場合は薬の血中濃度がパニック発作とも関わっていますので、ちょっと単純ではありません。(今述べた事はこちらのホームページに詳しく載っています。ご参考下さい。)
二つ目は薬の「血中半減期」というもの。これは薬が一旦体内に取り込まれて、血中に溶け込みますが、血中の薬の濃度は飲んでちょっと経った辺りをピークに段々と減っていきます。その濃度がピークの半分になる時間を血中半減期というらしいのです。短期型だの長期型だのというのはその血中半減期が長いものか、短いものかという事によって決まるという事です。例えばメイラックスなどは長期型で、半減期が122時間もあります(ただし、人によって誤差はかなりあります。体質や生活習慣などで異なるのでしょう。例えば水をがぶ飲みしたらすぐに薄くなるという様に)。短期型のソラナックスなどは6~20時間。セパゾンの半減期は90時間、エリスパンは23時間という事です。
三つ目は「薬を半分まで減らす事は比較的楽だが、それ以上減らすのが途端に難しくなる」という情報。これはインターネットで仕入れましたが、実際自分の実感としてもあるのでかなり信憑性は高いと考えています。このことはある事を示唆しています。それは「まず薬を半減し、問題ない事が分かったらその量で慣れるまでしばらく様子を見て、慣れたらまた半分にする」というやり方で、とにかく時間をかければ半減半減半減で少しずつ減らす事が出来るという事です。この考えは少なくともこういう方法があるということで勇気を与えてくれます。
四つ目は「いつも断薬してから同じくらいの血中濃度のところでパニック発作が出てくる」という事。これは私が断薬中に何度か失敗する中で実感として感じたことです。
五つ目は、薬を段々減らしていって、一番最後のほんの僅かの量を減らしていくのが一番大変なことだという事です。これは実感としてもインターネットの情報を見ても言えることです。マラソンで最後の1kmはそれまでの41.195kmと同じぐらい大変だと言いますがそんな感じです。「100錠の薬を1錠に出来てもその最後の1錠をやめることは難しい」とも聞きました。最後に近付いても一気にやめずに慎重にやめていった方が良いと思います。
これらのことから、大体この様にやれば良いのでは無いかというやり方が導き出せると思います。まず、薬の血中濃度を管理します。現在体内にどれくらいの薬が残っているのかという事を常に把握している事により、減薬の舵取りをいつでも的確におこなうことが出来ます。これはエクセルで簡単に出来ます。具体的なやり方は今回の最後に書きます。
離脱症を抑えるために最初は漸減方で減らして行きます。最初の50%ぐらいまでは比較的楽に減らせるという事なので、一気に半分に落としてしまってよいでしょう。つまり1日2mg飲んでいる人は1日1mgまで、1日1mg飲んでいる人は1日0.5mgまで落とします。恐らく一番確実なやり方はこの量でまたしばらく維持する事でしょう。メイラックスの場合、服薬量を半分にしても血中濃度はすぐには半分になりません。徐々に徐々に半分の量に近付いていき、一ヶ月ぐらい経つと大体半分になります。これだけ時間をかければ恐らく離脱症もほとんど出ないで済むでしょう。私は一気にやめたので離脱症に苦しみぬきました。一気にやめた場合、5日間で半減してしまうわけですから、1ヶ月かけて減らすのに対して6倍以上のスピードで半分になってしまうわけです。それでは離脱症も出るわけです。今ふと思ったのですが、もしかすると半減して1ヶ月、半減して1ヶ月、半減して1ヶ月を繰り返していけば随分となだらかにやめていく事が出来るかもしれません。そうしたら仕事も続けながらやめられるかもしれませんし、私のやり方よりも全然上手いやり方です。もしそうだったらそれが一番良いので、そういうやり方のレポートがあれば是非とも教えて欲しいものです。私はでこぼこ道の急坂をガンガンぶつかりながら駆け下りる様な真似をしてしまったのでそのやり方しか教える事が出来ません
私の場合はこうしています。血中濃度を見ながら一気に減らし、パニック発作が出そうになったらその血中濃度より少し高い血中濃度に合わせる様に服薬してしばらく様子を見ます。それでその血中濃度に慣れたと思ったらまた減らして行くのです。これはパニック発作に出会う危険性は高いですが、恐らく一番スピーディーなやり方ではあると思います。
もしその途中でパニック発作になってしまったら薬を飲む必要があります。出来れば現在の血中濃度をかんがみて、最低限に抑えたいところですが、パニックになってしまった場合はそれを抑えるのが最も大事なので、多少多目に飲む必要があるかもしれません。
パニック発作を起こし薬を多目に飲んでしまうと、そもそもパニック発作による敗北感にうちひしがれている状態にあるので「ああ、また完治が遠のいた」という気持ちになって気分が滅入ってきてしまうかもしれません。そういう場合はこう考えましょう。「これでまた心が強くなる」と。と言うのは、私が思うに「心の強さとは固い決意を持ち続けた時間によって決まる」ものだからです。これは成功するか否かとか、スピーディーにやれたかどうかなどは一切関係無いものだと思っています。固い決意を長い時間持ち続ければそれだけ心が強くなるのです。だから、減薬途中でパニック発作に襲われて敗北感に打ちのめされたとしても、また「私はパニック障害を治して、幸福になる」と固い決意を持ち直し、また完治に向けて歩み始めればその経験はそのまま心の強さになって行くと思うのです
それでは次回に続きます。

薬の血中濃度の管理の仕方(ここが一番大変な様ですが、絶対に有効なので是非やって見て下さい)
まずエクセルを立ち上げて、一番左上のマスに「日付」と書きます。次にその右のマスに「経過日数」、その右に「服薬量」、その右に「血中濃度」と書きます。
次に「日付」の下に減薬を始める日の日付を書きます。そしてその日付のマスを選択し、マスの右下の黒いボッチにカーソルを合わせ、下の方へドラッグします。そうすると下の方まで日付が書き込まれます(この辺のやり方はパソコンに詳しい人に聞いて下さい)。
「経過日数」には最初の日付の隣には0、次の日は1、という様に日付に合わせて経過日数を書いて下さい。
「服薬量」のところにはその日に飲んだ薬の量を書き込みます。メイラックス1mgを飲んだら1、0.5mg(1mg錠剤を半分に割った状態)を飲んだら0.5、0.25mg(1mg錠剤を1/4に割った状態)を飲んだら0.25という様に書いていきます。
「血中濃度」のすぐ下に、もし一日にメイラックスを1mg飲んでいる場合は7.69、メイラックスを2mgを飲んでいる場合は15.38、メイラックスを4mg飲んでいる人は30.76と書き込みます。この数字は何かと言うとそれぞれ1mg、2mg、4mgのメイラックスを飲み続けると体内にどれだけメイラックスが留まっているのかという量なのです。毎日1mg飲み続けて122時間、つまり5日間で半減したとすると、長く飲み続けた場合7.69mg体内に留まっている計算になるのです。この量は厳密にいうと体内の薬の量であり、血中濃度ではないのですが、体内の薬の量を管理することは血中濃度を管理するのと全く同じことなので、血中濃度と考えて頂いて結構です。
その、7.69または15.38、30.76と書いたマスの下のマスに=D2*0.87+C3と書き込みます(式をコピーアンドペーストで貼り付けてください)。これは何かというと、前日の量を87%に減らし(5日で半減する場合、1日では87%になります)、更に今日飲んだ薬の量を加えるという式です。それが出来たらそのマスを選択し、右下の黒いボッチにカーソルを合わせて下の方にドラッグします。下にずらーっと数字が並ぶと思います。この数字が体内の薬の量を示しています。服薬量の数値を変えることによって、変化します。例えば服薬量を0.5mgにしてみれば0.5mgのみ続けた場合体内の薬の量がどういう風に変化するかがシミュレーション出来ます。
服薬量を実際飲んだ量にすれば、実際の体内の薬の量が分かるというわけです。最初は少し大変ですが、慣れればそれほど難しく無く、自分の体内の薬の量を把握、管理できるようになってくると思います。
なお、実際には薬の血中濃度の半減期というのは人によってかなりまちまちであり、この122時間という数字も平均値でしかないので、これで計算して出る値は正確なものではありません。しかし、目安にはなりますし、目安があるということは非常に心強いものなのです。この際(これは体質によっても違うと思うのでおいそれとは言えないのですが)、実際の体内の薬の量はシミュレーションよりも低めに抑えられると思います。というより、抑える様な生活をしていきます。というのはパニック障害を治すのには新陳代謝を活発にすることが有効であり、活発にする様な生活にしていくのですが、新陳代謝が活発であると血中濃度の減りも早くなるからです。
なお、他の薬を使っていてこの方法を試してみたいという方がおりましたらご連絡下さい。同じような長期型の抗不安薬であればどれでも応用可能だと思います。
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by masaya_nagakura | 2006-01-23 10:36 | はじめに~減薬・断薬
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